人生のおさめ方
若かったり、年老いていたり、突然だったり、緩慢だったり、
形は様々ながら、必ず訪れる人生最期の時。
看取る、看取られる、誰にも知られずに逝く。
死とどう向き合い、どのように人生を終えたいのか、
それを考えることは、とりもなおさず、豊かに生きるための、ヒントを探ることのようにも思われます。
今号では、人生のおさめ方に関わる本をご紹介します。
あなたが老いと闘い、その悪い面について不満を言い続けるならば、残りの人生は悲惨なものになるだろう。
なぜなら、老いることは止められないからだ。
今あなたが老いを受け入れることができれば、さらに五歳年を取ったときも、
同じように平穏であるだろう。
老いを受け入れることができるならば、あなたは良い出発点に立っている。
そのとき、自分の状況を改善するために他のことができる。
過去の黄金時代の回顧に溺れたり、別の未来を切望したりしてはいけない。
風に吹かれる落ち葉はあなたの思い通りにならないが、
そのままにして、あなたの人生の美しさを見るのだ。
– トマス・ムーア - 『老いること』より
ITEM
[Life/エイジング]
老いること
エイジレス・ソウル:人生の意味と喜びを探求する生涯にわたる旅路
トマス・ムーア / コスモス・ライブラリー
2420円(税込)
「老い」の体験は、人生が与える変容の機会。ワインのように味わい深く熟成する命のプロセスを、心と魂の側面からアプローチする。加齢によって起こる苦悩への対処、内なる若者と老人との付き合い方、成熟しつづけるセクシュアリティなど、歳を重ねる愉しさと恩恵へと視界を広げる。
[Life/エイジング]
ボクはやっと認知症のことがわかった
自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言
長谷川和夫、猪熊律子/ KADOKAWA
1430円(税込)
認知症の診断に広く使用されている「長谷川式スケール」の開発者で、その道の権威である著者が、自身、認知症であることを公表した。研究者としての立場から、当事者となることでわかったことを伝えたいという真摯な言葉と共に、認知症の予防策、歴史的な変遷、超高齢化社会を迎える日本で医療が果たすべき役割までを幅広く網羅した、渾身のメッセージ。
[Life/死]
想いが伝わるあなたと家族のエンディングノート
禅が教える豊かな人生の終い方
枡野俊明 / PHP研究所
1540円(税込)
誰もが未完成のまま死を迎える。だが、心に描く想いが、人を惹き付け、巻き込んでいくものであれば、未来にその想いは引き継がれていく。本書は、大切な人へのメッセージや、ペットのこと、希望する治療や、葬儀や埋葬、具体的な財産・保険の整理など、人生の幕引きを自分で書き残すことができる、命の引き継ぎノート。
[Life/死]
死すべき定め
死にゆく人に何ができるか
アトゥール・ガワンデ / みすず書房
3080円(税込)
老いや不治の病は遠くない死を意味している。だがそれを知っていることと、実際に死を受け入れることは全く別の問題であり、それは当事者本人だけではなく、家族にとっても同様だ。医学の進歩によって死への時間が引き延ばされたことで生まれた、いつどのように死と向き合うべきなのかという問題。患者や家族だけではなく、多くの医療従事者たちでさえ対応する覚悟ができていないことは、本書で語られる描写や心象から明白だ。最期の時を自律した心で豊かに迎えるために、今をどう生きるべきか。私たちが自身の問題として自らに引きつけずにはいられない課題について、現役の外科医である著者が、父を看取った経験やホスピス、介助付きホームなどへの取材をもとに、現状の問題をためらうことなく明らかにし、未来への展望を語る。
[Life/家族・親子]
川内潤 / ポプラ社
1320円(税込)
年間約10万人にのぼる介護離職者。だが在宅介護のストレスや再就職の困難など、介護者が抱える負担は大きい。著者は、介護で本当に大切なのは「任せ方」「頼り方」だという。 家族が大切だからこそ、自分達だけで抱え込まずに利用できる支援機関や制度を紹介する。
[Life/死]
死んだらどうなるの?
選べる行き先は4つ!奇跡の魂ツアーに出発しよう
桜井識子 / KADOKAWA
1650円(税込)
神仏研究家として多くの神社仏閣をめぐり、神様仏様世界の真理、参拝の恩恵などを広く伝えている著者。本書では死後の世界をテーマとし、あちらの世界のなりたちを具体例と共に紹介。供養やお見送りの方法など、今から役に立つ情報も満載だ。
[Spirit/変性意識・ドラッグ]
天からのダイヤモンド
LSDと宇宙の心(マインド)
クリストファー・M・ベイシュ / ナチュラルスピリット
4070円(税込)
宗教哲学者である著者は、個人の意識、宇宙の意識を、できる限り深く、体系的に探究するため、慎重に計画された治療的セッティングの下でLSDを摂取。20年間、73回に亘る「セッション」の中で現れたのは、想像をはるかに超えた宇宙の姿だった。内的宇宙を探訪していくと、死への恐れがなくなるという著者の言葉が印象的な1冊。
[Life/死]
藤原新也 / 三五館
1980円(税込)
「本当の死が見えないと本当の生も生きられない」――「死を想え」というラテン語の宗教用語“メメント・モリ”を題名に冠した本書からは、生の光景に潜む無限の死の様相が、極彩色の写真と短い言葉によって、眼前に出現する。世界の始まりから連綿とつづく生と死を謳う。