2026年4月 満月のたより
コミュニケーションの根っこ
いいコミュニケーションてなんだろう?
いいコミュニケーションのあとには、胸がすとんと落ち着くような、晴れやかな感覚がある。
それは上手い話し方といった技術を超えた、その人の「在り方」が、心地よい響き合いとなって相手に伝わった証かもしれない。
単なる情報伝達以上に、言葉の奥にある考えや感情を交わし、つながりを育むこと。
そんな「在り方」に、コミュニケーションの本質はあるのではないだろうか。
難しいのは、言いにくいことを伝える時や、意見が異なる時。
けれど、そんな言葉に詰まる瞬間こそ、自分や相手を深く知るチャンスにもなる。
今月は、そんなコミュニケーションの根っこを育むために、ヒントとなる本を集めました。
理解し合うことの難しさを改めて感じています。世の中にこれだけの対立があるのには、理由があるのです。この世界で生きていくということは、自分の芯を持ち続けながら、別のスキーマを持った人々の立場や考え方を理解し、折り合いながら暮らしていくことです。相手の中にも自分の中にも存在する認知バイアスに注意しながら、物事を一面的ではなく様々な観点から評価し、判断する。自分の所属する集団の価値観を、一歩引いて見つめてみる。メタ認知をしっかりと働かせることを意識していく。しかし自分の芯はぶれさせない。これは決して簡単な生き方ではありませんし、ぼんやりとつかみどころのない生き方のように思われるかもしれません。そんなときは、逆の生き方を想像してみるとわかりやすいかもしれません。
– 今井むつみ - 『「何回話しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』より
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?
認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策
今井むつみ / 日経BP
1870円(税込)
著作『言語の本質』で、言語の誕生と進化の謎を紐解いた認知心理学者が、「ちゃんと伝えたつもりでもなぜ伝わらないのか」といった日常の悩みに対し、個人の能力に帰せず、人間が本来持つ「認知の仕組み」から解き明かす。自他の間で起こるコミュニケーションの摩擦や食い違い、そこで何が起こっていたのかについての想像力が働くようになる一冊。より良いコミュニケーション、ひいてはよりよい仕事や人生を実現するために知っておきたい、認知の力の性質と対策。
NVC 非暴力コミュニケーションワークブック
親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て
koko(丹羽順子) / 小学館
1650円(税込)
アメリカの臨床心理学者マーシャル・ローゼンバーグ博士が1970年代に体系化した、対立を平和的に解決するコミュニケーション手法「NVC(非暴力コミュニケーション)」。このワークブックは、NVCを子育てに応用した一冊。日常のやり取りの中、親子で楽しみながら、心を通い合わせる関係性を築いていける。自分と子供の「感情」や本当の「ニーズ」を言語化できるようになるためのカードも付属。まずは、自分の内面に耳を澄ますことから。子供のためだけでなく、ひとりの大人として「自分の心とどう向き合い表現するか」を学べる。
平木典子 / 金子書房
1650円(税込)
自己を理解することなしに、他者を理解することは難しい。本書で詳しく学べるアサーションとは、「自分を大切にしながら、同時に相手のことも配慮する対応」のこと。ありのままの自分と対峙することで、適切な自己表現がわかる。自信を育てて、人間関係を向上させるための、自分づくりテキスト。
やっぱり、それでいい。
人の話を聞くストレスが自分の癒しに変わる方法
細川貂々、水島広子 / 創元社
1320円(税込)
『ツレがうつになりまして。』で知られる漫画家と精神科医の水島広子による、メンタルヘルス・コミックエッセイ『それでいい。』シリーズの第2弾。精神科医のすすめで、「聞くこと」のワークショップに参加することになった著者。精神科医も実践する「疲れない聞き方」は、話し手にも心地いい空間を生み出すものだった。聞き方のコツをつかんでいくまでの「体当たりの成長物語」。
発声と身体のレッスン
魅力的な「こえ」と「からだ」を作るために
鴻上尚史 / 筑摩書房
1056円(税込)
「あなたの感情やイメージをちゃんと表現できる体を持つこと」を目標に、発声のしくみや体のメカニズムについての理解を深め、レッスン形式で発声の基礎体力を育んでいく本。体内を震わす声の響きに耳を澄ませ、体をほぐし、自由に脱力することのできる振動・共鳴する体へと導く。あなたの生まれ持った「こえ」と「からだ」の魅力を開花させる基本書。
ダニエル・ゴールマン / 講談社
1078円(税込)
論理的思考力などを指すIQに対し、EQ(=Emotional Intelligence Quotient)とは、自分や他者の感情を認識・理解し調整する「こころの知性」のこと。後天的に伸ばしていくことができる、「EQ」を育む方法を、家庭、職場、結婚生活や教育、医療などさまざまな場面において事例を挙げつつ考察する。1996年7月、講談社より刊行されたものを、文庫収録にあたり2021年に再編集。
もしもこの世に対話がなかったら。
オープンダイアローグ的対話実践を求めて
横道誠 / KADOKAWA
1650円(税込)
人は他者との対話を通して、心が安らぎ、自分をより深く知ることができたり、反対に嫌な気分を味わったり、傷つくこともある。本書は、当事者同士の自助グループ「ゆくゆく!」で実践されている、対話にルールを設け、安全な場で参加者同士が助け合うオープンダイアローグ(開かれた対話)的対話実践の実情をフィクションを交えて紹介。場を守るルールのもと、ほどよく緩く、結論を出すことを目的としない、相互支援の対話の形から新しい可能性を発見するだろう。
ミヒャエル・エンデ / 岩波書店
1870円(税込)
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子の不思議な物語。「人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまう」。ほんとうの心の豊かさ、生きる喜びとは何かを問いかけた、大人と子どものための童話。










