2026年5月 満月のたより
あわい(間)の風景
「あわい」という言葉は、何かと何かのあいだ、重なり合う部分を指すのだそうです。
大人と子ども、海と陸、生と死、狂気と正気、文化と文化など、
複数の物事があれば、様々なあわいも存在するわけで、
それらの間には、時に深い断絶があるように見えても、
本当はなだらかなグラデーションでつながっているのかもしれません。
どちらともつかない、でも、どちらでもある場所というのは、
不安定で、どこか落ち着かない気分にさせられます。
彼我の間の橋を渡って、どちらかに行きついてしまえば、
気持ちは楽になるかもしれません。
ですが、昼と夜のあわいの時間帯、
朝焼けや夕焼けは、ドラマチックな美と変容を見せてくれます。
二つの世界のあわいに立ち、そこで自分を失わずに何かを見出すということは、
大きな変容と学びを、私たちにもたらすのかもしれません。
今回は、そんなあわいの世界に触れる本を集めてみました。
どこにたましいがあると思うかは、
それほど大事じゃないの。
大事なのは、そのたましいで何を探すかよ。
えっ、何を探すかって?
………
生きるっていうことがなんなのか、
そのなぞを解くてがかりかな。
― ロバート・コールズ ― 『子どもの神秘生活』より
[Science / 生命・生物]
海辺
生命のふるさと
レイチェル・カーソン / 平河出版社
2530円(税込)
潮の満ち引きによって、海にもなり陸にもなる海辺では、長い年月をかけて、劇的な生命の進化のドラマが演じられた。そこで繰り広げられる生命力溢れる生物たちの神秘の世界を紹介する。化学物質がもたらす環境汚染について警鐘をならした『沈黙の春』の著者の原点ともいえる書。
[Mind / 心理学]
吉福伸逸 / サンガ新社
2200円(税込)
ラム・ダス『ビー・ヒア・ナウ』や、ケン・ウィルバー、フリッチョフ・カプラらの著作の訳者であり、トランスパーソナル心理学の紹介者、そしてセラピストである吉福伸逸氏が行ったセッションの書籍化。言葉を過信することをよしとしなかった氏が遺した、数少ない自身の言葉による書籍が、さらに新たな章を加えて再版された。社会という関係性の中で生きながら、自己を確立することを問いかけ続ける。
[Mind / 心理学]
無境界
自己成長のセラピー論
ケン・ウィルバー / 平河出版社
2200円(税込)
トランスパーソナル心理学の論客ウィルバーが繰り広げる、超意識の入門書。<わたし>と<外界>との間の境界はいつ発生したのか? もし全ての境界が崩壊したら? 神秘思想の知識なども背景にわかりやすく展開された、成長と変容をめぐるセラピーの実践書。
[Spirit / 過去世・ソウルメイト]
ロバート・コールズ / 工作舎
4180円(税込)
子どもたちは、時には大人より鋭い洞察力を持って、霊的な世界や宗教を捉えている。本書では、主にキリスト教、イスラム教、ユダヤ教圏の世界中の子どもたちが神や霊的世界をどう考えているか、インタビューした記録を収録。大人の価値観を押しつけずに、本当は彼らが何を考え感じているのかじっくりと時間をかけて耳を傾けると、実は豊かな内面生活を秘めている子どもたちの姿に驚かされる。
[Science / 科学全般]
多様化世界 新装版
生命と技術と政治
フリーマン・ダイソン / みすず書房
3960円(税込)
科学者たちが集まり意見を交わすとき、そこに意見の一致はなく、合意させる必要性もない。人種、宗教、国籍を超えた大きな社交場となることこそが科学の楽しみだと著者は語る。宇宙、人間、自然、あらゆる生命、そして人間の知恵は多様性にあふれている。物理学者の視点から見た、宇宙と生命の可能性、政治や宗教、技術と社会の近未来とは?
[Society / 環境・エコロジー]
エドワード・ホール / みすず書房
3080円(税込)
私たちの生存に影響する様々な「かくれた次元」=「間」。空間は人間の五感を刺激し、本能的に適当な距離間を生み、民族によって私的・公的な空間への知覚の変化を起こす。コミュニケーション、未来の都市計画や異文化の関わりに重要な要素を提案する名著。
[Society / 民族・文化(日本)]
「間(あわい)の文化」と「独(ひとり)の文化」
比較社会の基礎理論
濱口惠俊 / 知泉書館
3520円(税込)
日本人は世間体や恥の意識など社会心理や社会倫理に強く拘束されるとした従来の日本人論を批判的に考察。通底する個人主義対社会主義に対し、他者との関係性としての<間人>の視点から相関存在論という独自の比較文化の方法論を展開する。
[Society / 民族・文化(アジア、ロシア含む)]
マルコ・ポーロ / 平凡社
3080円(税込)
中国・日本・朝鮮・タイなど東アジア地域を総称して、欧米人は、「Far East(東の果て)」と呼ぶ。彼らは、東洋の国々をどんな目で眺め、どんなことを感じてきたのだろう。13世紀、イタリアの商人だったマルコ・ポーロは、元の初代皇帝フビライ・カーンの庇護を受け、中国各地を見聞。イタリアに帰国してから口述した『東方見聞録』は、ヨーロッパ人の東洋観に大きな影響を与え、東方へのバイブルとなった。コロンブスも携行したという本書には、中国の物質的豊かさや経済活動も詳しく記されている。
[Art / 物語・童話]
梨木香歩 / 新潮社
935円(税込)
だいじょうぶ、世界は終焉を迎えない。どんな形を取っても、何に形を変えても、伝わってゆく何かがある……。地球上の生命の進化を、意表を突く視点からたどり、未来への変容をたどる旅。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を伝える新しい時代の物語。生命の新しい可能性を感じさせてくれる。
[Art / 物語・童話]
上橋菜穂子 / 講談社
748~1034円(税込)
獣ノ医術師の母と暮らす少女、エリン。ある日、王国の兵器として育成される凶暴な蛇 ―闘蛇を死なせた罪に問われ、母は処刑されてしまう。死の間際、母の不思議な指笛によって九死に一生を得たエリンは、蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうちに、山中で天を舞う野生の王獣に出逢う。その姿に魅了され、母と同じ獣ノ医術師になろうと決心するが……。国際アンデルセン賞受賞の傑作ファンタジー。 文庫版。













