Feature #10

白川静の宇宙に迷い込む

『白川静の世界 漢字のものがたり』(平凡社)より

学問の世界は、一見、積み重ねのように見える。特に、歴史や民俗学に関する研究は、すでに確立された価値観を掘り下げるという作業である場合が多い。
しかし、「漢字」という、一見、誰もが慣れ親しんでいる分野の研究で、何千年とも言える時間を隔てて、次々に新しい発見をしていった研究者がいた。

それが白川静だ。

氏の研究は、それまで通説とされていたいくつもの常識を覆した。
古代中国人の心象風景を露わにすることで、中国の研究者でさえ見出すことのできなかった斬新な解釈で「漢字」の宇宙を世に知らしめた。

いったい、何が彼の中に起こっていたのだろう?


字統 新訂 [普及版]
白川静
平凡社

6600円 (税込)

白川静の研究の全てが結晶化された漢字研究の金字塔である。一つ一つの文字の由来を、中国古代の呪術的な世界観と結びつける、その情報量は圧巻だ。日頃使い慣れた漢字7000余の文字の成り立ちを探った、日本唯一の漢字字源辞典。思いつくまま本を広げて拾い読みをするのもよし、系統を追いながら古代世界に想いを馳せるのもよし。一家に一冊あってよい本ではないだろうか?

字訓 新訂 [普及版]
白川静

平凡社
6600円 (税込)

漢字を日本の言葉の表記法として受容した時代の国語的状況を、古語辞典としてまとめたものが『字訓』である。「記」「紀」「万葉」 などに使用された上代語の基本語彙1800余語の漢字を取り上げている。

字通 [普及版]
白川静

平凡社
11000円 (税込)

「字統」「字訓」に続いて刊行された、白川漢字学を完成させる漢和辞典が『字通』だ。 漢字の成り立ち、意味の展開、造語などを体系的に知ることができる。親字9500字、熟語2万2千語を収録。思いつくままページを広げてみたい。

人名字解
白川静、津崎幸博
平凡社
2090円 (税込)

漢字研究の世界的第一人者により書き下ろされた人名用漢字の入門字典。人名用漢字983字を、古代の形を基に、その成り立ちを示し字形と意味との関係についてをやさしく解説。用例から、自分の名前の由来を知ることができ、名付けにも役立つ一冊。

孔子伝
白川静
中央公論新社
984円 (税込)

漢字研究の第一人者が描いた孔子像は、これまでの先入観を打ち砕くインパクトを持っている。孔子は表面的には道徳を説く思想家であったが、その正体は当時の中国の中でもかなり特殊な立場にある神秘家であったというのだ。呪術集団から生まれた孔子の実像。

文字逍遥
白川静

平凡社
1494円 (税込)

「遊字論」ほかを収録したエッセイ集。「遊ぶものは神である。神のみが、遊ぶことができた。遊は絶対の自由と、ゆたかな創造の世界である。それは神の世界に外ならない。この神の世界にかかわるとき、人もともに遊ぶことができた。神とともにというよりも、神によりてというべきかも知れない――」。本書に収録されたこの『遊字論』は「あそび」の本質をもっとも鋭く表しているのではないだろうか。膨大な文字と向き合ってきた白川静がことのほか愛した字が「遊」と「狂」であったという。神という大いなる宇宙と一体になって遊ぶことができた時、天と地をつないでなされる仕事は世界を創造する大きな力となるかもしれない。

文字遊心
白川静

平凡社
1494円 

『文字逍遥』の続編となる本書に収録された「狂字論」では、中国古代の思想家たちのこころを浮かび上がらせながら、現代の価値観とは異なる「狂」のルーツを明らかにする。霊的な力を帯びた狂の精神史の深処に迫る。

呪の思想
神と人の間
白川静、梅原猛
平凡社

1100円(税込)

白川静92歳と梅原猛77歳。学問の巨人2人が語る世紀の対談。人が神と心を交わす手段であった甲骨・金文文字を読み解く白川に、梅原が古代人の心を尋ね、東洋の精神を語り合う。

白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい
小山鉄郎 編、白川静 監修
共同通信社

1100円(税込)

漢字学の第一人者が、漢字の成り立ちや体系を楽しく教える一冊。関連性のある漢字を具体的に挙げながら、その古代文字の形、イラストなどを多用して、漢字の体系性を子供にもわかりやすく紹介する。

白川静さんに学ぶ 漢字は怖い
小山鉄郎
平凡社
1430円 (税込)

広大な漢字の海と対峙し、独自の文字学体系を築いた白川静。その理論を基に、「白」「遊」「笑」「狂」「女」など私たちが日常よく目にする漢字に潜む、「怖い」意味をわかりやすく解説。漢字の常識が覆るシリーズの第2弾。

常用字解 [第二版]
白川静
平凡社

3300円(税込)

「言葉」が持つ思想とはどのようなものだろうか。『常用字解』は、生涯をかけて漢字を研究し続けた白川静が、「常用漢字」の歴史をひもとき、神話と民族観、祭事、呪術的なバックグラウンドをつむぎ合わせた漢字の入門字典だ。何千年という時間を隔てた、文字の世界へ想いを馳せることができるだろう。

【used】白川静の世界
漢字のものがたり

別冊太陽スペシャル
平凡社
2200円 (税込)

怪人白川静の宇宙と日常をかいま見るために編まれた別冊太陽の特集。イメージ豊かな彼の世界にふれることができる。梅原猛氏、岡野玲子氏との対談も興味深い。古書。

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The Keys To The Chinese Characters(英語)
Christoph Schmitz
Christoph Schmitz
10780円(税込)

What is the thinking behind Chinese characters? “The Keys To The Chinese Characters” is the breakthrough dictionary of East Asia’s foremost Chinese character scholar Dr. Shizuka Shirakawa explaining 1948 characters and revealing their system for the first time. Bridge the gap of 3000 years, discover the meaning of character forms, and delve into the world of their history, myth, folklore, politics, and magical background through this enlightening translation and comment of specialist Dr. Christoph Schmitz. With alphabetical and classifier indexes.