再び、世界と出会う
生まれてくる前、人間は、世界とひとつだった。
自分という意識を持ちだした時、私たちは分断された世界を眺めるようになる。
自己という不安定な存在。しかし、そのアンバランスがゆえに
私たちは様々な感情を経験し出来事に遭遇することができる。
つまりそれは、再び世界と出会うということ。
人間が世界と分断されたのは、いつの頃からだろう。ふと目の前に現れる現象、偶然の出会い、夢の風景・・・・・・。 自分の深層と世界がつながっていることを感じるのは、そんな瞬間だ。神話はそのようなシンボルの宝庫である。『神話の力』で著者は個としての自分の意味を解く。神話というフィルターを通して語られる言葉は明快で人生のすばらしさを教えてくれる。
美しい自然は、見る者の存在を認め、祝福してくれているように感じる人も多いのではないだろうか。『Children of the Rainbow』は、ハワイの多彩な表情を捉えた写真と、土地に伝わる叡智が生んだ独自の言葉への思いがともに収められた作品集。生命力にあふれるハワイの風景は、正しい姿を何度でも取り戻しながら進むことができるという優しい教えを実感させてくれる。
音楽には人間を解放する力がある。直観する一体感と至福。『音の神秘』はスーフィーの音楽に宇宙のハーモニーを感じる一冊。すべての生命は音調とリズムを表し、宇宙はハーモニーの法則によって動いていると著者は言う。 人は楽器であり、それぞれに音色を奏でているとするならば、世界の奏でるハーモニーは、調和と不調和が混ざり合うカオスだ。 泥の中から蓮の花が咲くように、不調和という泥の中から、変容が生まれるのかもしれない。
今この瞬間を精一杯生きる。それは未来へとつながり、私を創り上げていく小さな一粒の砂のようなもの。大きな時間のうねりも全ては1秒の集まりにほかならない。『1秒の世界』は、今起こっている様々な1秒を見つめる本。人が93mlの空気を呼吸し、テニスコート20面分もの自然森が消失し、4秒に一人が飢えて死んでいる。世界のあらゆるものは、とどまることなく変化している。刻一刻と過ぎていく1秒という現実を、あなたは生ききれるだろうか。
様々な葛藤が待ち受けている人生。しかしその出来事こそ、人を活かす源でもある。『それでも人生にイエスと言う』では、アウシュヴィツ強制収容所へ送られた経験を持つ著者が、苦難や死が決して人生を無意味にするものではないと説く。たとえ輪廻転生が存在したとしても、この姿形で生きる人生は一度きり。二度と訪れない瞬間瞬間にどう対峙していくか、私たちは問われている。
病いを敵とし、身体を戦場として戦うのではなく、常に変化する調和と不調和のバランスを取りながら生きる。それを『いのちを呼びさますもの』の著者は「全体性を取り戻す」と表現し、西洋、東洋などの枠組みを越えた医師として活動を行う。全体性を取り戻すための医療の可能性を、芸術や心の働きに見出す考察する。
手放すことは退化ではなく進化だ。とくに怒り、苦しみ、煩悩、執着を手放すことは心を成長させ、悩みからの解放、安定へと向わせる。『手放す生き方』は、タイの森で高僧アーチャン・チャーと共に暮らし、師の語ったことをまとめた法話集。 生活に根ざした日常の中の実践をアドバイスする。
喜ぶこと、悲しむこと、シンプルなこと、複雑なこと、そのすべては、私たちが世界と出会ったからこそ、起こるもの。 ただ、「開く」だけでいい。世界はいつでも、そこにある。
神話の力
ジョ-ゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ
早川書房
1100円(税込)
children of the rainbow
高砂淳二
小学館
2750円 (税込)
1秒の世界
GROBAL CHANGE in ONE SECOND
山本良一、Think the Earth プロジェクト 編
ダイヤモンド社
1047円 (税込)
それでも人生にイエスと言う
V・E・フランクル
春秋社
1870円 (税込)
いのちを呼びさますもの
ひとのこころとからだ
稲葉俊郎
アノニマ・スタジオ
1760円(税込)