Feature #15

もし、あと3カ月の命だとしたら?

あしたもきのうと同じように続くと、私たちは当然のように思っている。
それが幻想だとどこかではわかっていても、
そのような事実は頭の片隅のどこかに埋没されてしまっている。

けれどもある日突然、あたりまえのようにあった全ての現実が、もろくはかないもので
あったと、突きつけられる日が来る。想像してみてください。
ある事情によって、あなたはあと3カ月しか生きられないとわかったら。
自分の持っていた全ての人間関係も、キャリアも、
あなたのアイデンティティさえも90日後には嘘のように存在しなくなるとわかったら。
次の瞬間からきっと全てのものが違って見える。

本当は、明日にも次の瞬間にも、あなたの存在はなくなるかもしれない。
死は仮定ではなく、まぎれもない事実。


死ぬ瞬間
E・キューブラー=ロス
中央公論新社
1048円+税

死を目前にした時、人はどうなるかというシビアな問題について見つめた本。否認→怒り→取引→抑鬱→受容。それが人が死ぬとわかった時に辿るプロセスだという。このプロセスは死だけのことではなく、自分に取って望ましくない理不尽なことが起こった時、同じようなプロセスが起こる。確実に逃れられない現実だからこそ、死はその究極でしかない。他の選択肢を選んだり先送りすることができない。こういう時にこそ、人間の存在の力が浮かび上がってくるのかもしれない。

グレープフルーツ・ジュース
オノ・ヨーコ
講談社
700円+税

パニックが治まった後はどうだろう? 眼に映るすべてのものが美しく愛おしく見えてくるのだろうか? 自分を飾る必要性も、もはや消えて無くなる。本書は、全て命令形でかかれたシンプルな詩集。世界を愛おしむために感覚を開きたい。

チベット死者の書(原典訳)
川崎信定
筑摩書房
1000円+税

チベット仏教では、人が死ぬ時、どんな体験が待っているかをシミュレーションする。死の瞬間から次の生を得て誕生するまでに魂が辿る49日間の旅を描写して、死者の解脱の方向を示すのだ。それは、未知の、しかし誰もが通る旅路をあらかじめ知ることで、恐怖が無くなるという機能があるのかもしれない。仏教的な世界観の中で、一度死を見つめてみるために。

もしも人生をやりなおせるなら
ナディーン・ステア
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1200円+税

アメリカ、ケンタッキー州の片田舎に暮らしていた、ナディーン・ステアという85歳のおばあさんが書いた一編の詩。人の一生を凝縮した深さと、素朴な願いがこもっているこの詩は、いまでも世界中の人々に愛されている。人生を一からやり直すことはできない。だからこそ、できる限り後悔しないように一瞬一瞬を大切に生きていくことに気づかせてくれる。

さよならのあとで
ヘンリー・スコット・ホランド
夏葉社
1300円+税

自分が亡くなった後、遺した大切な人たちには、悲しまず、幸せに過ごしてほしいと願う。本書は、英国教会の神学者で哲学者の42行からなる一編の詩を、挿絵を添えて一冊の本にしたもの。「死は何でもないものです。私はただ、となりの部屋にそっと移っただけ。」大切な故人からのようなメッセージが大きな悲しみを癒してくれる。

わすれられないおくりもの
スーザン・バーレイ
評論社
1200+税

イギリス出身の絵本作家が生んだ、「身近な人を失った悲しみを、どう乗り越えていくのか」をテーマに描かれた温かい絵本。物知りのアナグマが死んでしまい、悲しむ森の動物たちは、アナグマから教わったことや、共に過ごした時間のかけがえのなさに気づいてゆく。大人にも静かな感動をもたらす作品。

想いが伝わるあなたと家族のエンディングノート
禅が教える豊かな人生の終い方
枡野俊明
PHP研究所
1400+税

誰もが未完成のまま死を迎える。だが、心に描く想いが、人を惹き付け、巻き込んでいくものであれば、未来にその想いは引き継がれていく。本書は、大切な人へのメッセージや、ペットのこと、希望する治療や、葬儀や埋葬、具体的な財産・保険の整理など、人生の幕引きを自分で書き残すことができる、命の引き継ぎノート。

DVD 死ぬまでにしたい10のこと
監督:イザベル・コヘット
松竹
4700+税

23才の若さで、あと2ヶ月の命と宣告されたアンは、夫と2人の娘がいる平凡な人生を振り返り、「死ぬまでにやりたいこと」リストを作って実行していこうと思い立つ。死という人生の終わりを自覚することで、彼女の生き方が、静かに、力強く変わり始める。