2023年6月満月のたより
美しいってなんだろう?
美しいと感じるものは人それぞれです。
時には自然の中に美しさを感じたり、時には自分の内側から溢れるものに美しさを感じたり。
綺麗なものだけではなく、醜く見えるものにも美しさを感じる瞬間があります。
人は美しいものに触れた瞬間、心が震え、生命の躍動を感じます。
今号では、美や創造性、芸術性に触れる本をご紹介します。
美しいものは、ときにはみにくく、ざんこくである。
とりとめがなく、たよりなくもある。
おしゃべりであり、無口でもある。
若さであり、老いでもある。
身近なところに隠れているのに、手をのばせばけむりのように消えてしまう。
ことばにしたとたんに、まったくちがうものに変わりはてる。
いま、ぼくは、流れゆく雲のようにあてどもないものを書こうとしている。
それでも、忘れえぬ美しい光景をあらためて書きとめ、娘とともに「美しいってなんだろう?」ということを考えてみたい。
– 矢萩多聞、つた - 『美しいってなんだろう?』
ITEM
[Art / アート・芸術]
矢萩多聞、つた / 世界思想社
1980円(税込)
幼い頃からインド・ネパールに慣れ親しむ画家・装丁家である著者と小学生の娘が、美しいものについて手紙を書くように綴った対話型エッセイ。ネパールのカトマンドゥ、旅の思い出、父と母、小学校のこと――悲しいことも辛いことも、さまざまな出来事、思い出の中にちりばめられた美しい瞬間が、父と娘それぞれの感性によって綴られる。
[Science / 科学]
ロジェ・カイヨワ / 創元社
4620円(税込)
風景石、瑪瑙、セプタリア(亀甲石)など、特異な模様を持つ石は、人の想像力にどう働きかけてきたのか。その中に普遍的な美はあるのか。聖なるもの、遊び、神話、詩学、夢といったテーマを縦横に行き来しながら、フランスの文学者、批評家でもある著者が語る石の世界。長らく日本語では入手困難となっていた著作の新訳版。
[Art / アート・芸術]
ミラ(橋本一枝) / OEJ Books
2530円(税込)
著者の創り上げた「瞑想アート」は、各人の内側にあるクリエイティブな衝動や独自の表現とつながるアートセラピー。本書は、OSHO瞑想リゾートで行われていたグループ・トレーニングの様子を紹介しつつ、真のクリエイティビティを目覚めさせる意義や素晴らしさを描く。
[Art / アート・芸術]
C.G.ユング著作財団 編 / 青土社
19800円(税込)
『赤の書』が2009年に発表され、分析心理学の創始者としての顔だけではなく、芸術家としても注目が集まったユング。本書はそのユングの視覚的作品に特化した一冊として出版された。デッサン、絵画、彫刻と多岐にわたる作品の数々を惜しみなく紹介し、芸術家ユングをじっくりと味わえるものとなっている。
[Wisdom / 人智学]
黒板絵 Tafelzeichnen
シュタイナー・メソッド
マルグリット・ユーネマン / イザラ書房
3080円(税込)
シュタイナー学校の日々の授業で用いられる黒板絵。何もない黒板に教師の手によって生み出されるチョークの色とりどりの線や面、それを用いた描画は、子どもたちの想像力と創造力を豊かにし、それを写し取る子どもたちの言語を超えた学びは大きく深い。本書は、黒板絵のテキストでありながら、美しいアートとしても味わうことができる。
[Art / アート・芸術]
ALEX GREY / Inner Traditions
8030円(税込)
ビジョナリー・アーティストALEX GREYがアヤワスカのセレモニーで受け取ったビジョンを表現した絵画「NET of BEING」ほか200点を超える作品を収録。物質的なこの世界から内なる精神世界、そして無限の宇宙へと広がる意識の旅。私たちの意識を進化させる芸術のチカラが体感できるだろう。洋書(言語:英語)。
[Art / アート・芸術]
薬師丸郁夫 / 薬師丸郁夫美術館
12100円(税込)
ヴィジョナリー・アートの巨匠、薬師丸郁夫氏の画集。細部まで緻密に描き込まれた作品は、CGやコラージュ作品に見えるが、すべて手描きである。氏の内的世界から発せられる強烈なエネルギーにふれるたび、心洗われ、多層的なリアリティをつらぬく普遍的な領域へと意識は拡大する。1977~2021年までの作品68点を収録する永久保存版。
[Art / アート・芸術]
GOMA 絵、谷川俊太郎 詩/ 講談社
3850円(税込)
交通事故で脳を損傷し、高次脳機能障害となった後、突然緻密な点描画を描きはじめたディジュリドゥ奏者のGOMAの絵に、谷川俊太郎がインスピレーションから言葉を描き下ろした詩画集。描かれた点描画は、人体の細胞にも宇宙全体にも見える。絵と言葉が響きあう二重奏の世界。