Vol.842

2025年8月 満月のたより

かけがえのないこの時

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今月も皆さまに素敵な出会いをお届けできれば幸いです。

2025年8月 満月のたより

かけがえのないこの時

いつも心の中にある大切な人への思い。
それはいつからか、
どこかの壁に貼られた見慣れたポスターの景色のように
あたりまえの中に溶け込んでしまっているかもしれません。

時には、
ちょっと恥ずかしくても
きちんと形にならなくて不格好でも
素直な言葉で届けよう。
あとで悔いることがないように。

わたしたちが、かけがえのない今この時を
あたりまえでない奇跡のような時間だと思い出し
大切に生きることができますように。


吸う、吐く
深く、ゆっくり
静まる、安らぐ
微笑む、手放す
今このとき
すばらしいこのとき

– ティク・ナット・ハン - 『今このとき、すばらしいこのとき』より

[Wisdom / 禅]

今このとき、すばらしいこのとき

ティク・ナット・ハン(釈一行) / 野草社・新泉社
2750円(税込)

詩人であり平和活動家、キング牧師の推薦によりノーベル平和賞候補にも挙がったベトナム出身の禅僧ティク・ナット・ハンによるガーター集。ガーター(褐)とは、日常で唱える詩のことで、起源は2千年以上前に遡り禅僧の伝統をなしている。日常生活の79の動作の持つ意味を短い褐文で記した本書。あらゆる場面で永遠の存在が目の前に舞い降りてくるこれらの詩は、するべきことに追われた日常の中で自分の内部に注意を向ける時期をつくってくれる。どんな時であっても喜びを創りだすことはできる、ただ気づくだけであるとシンプルに伝える。


[Life / 人生・生き方]

ターシャ・テューダー 人生の楽しみ方

食野雅子 / 河出書房新社
1760円(税込)

ターシャが残した、たくさんのメッセージの中から選ばれた言葉や生き方は、どんな環境にあっても人生を楽しむことができるのだと感じさせてくれる。そして著者、食野雅子氏とターシャとのあたたかい雰囲気のやりとりの様子がうかがい知れ、ターシャと一緒にのんびりお茶を飲んでいるかのような優しい気分にさせてくれる。


[Life / 人生・生き方]

今日、誰のために生きる?
アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語

ひすいこたろう、SHOGEN / 廣済堂出版
1760円(税込)

1万年以上もの間、争いのない平和な社会を築いたとされる縄文人の精神性とはどんなものだったのか? ペンキ画家SHOGENが訪れたアフリカの小さな村では、シャーマンが夢を介して縄文人から学んだという教えが大切に受け継がれ、心豊かなやさしい暮らしが営まれていた。世界の未来のために、ひとりでも多くの日本人にこの村の話を伝えて欲しいという村長の願いから誕生した本書は、能率や効率が重視される現代日本で、今こそ求められる生きることの本質を思い出させてくれる。作家ひすいこたろうとの共著。


[Art / 物語・童話]

ほんとうの私たち

M.B. ゴフスタイン / トンカチ
2970円(税込)

私たちの地球には、争いごとや自然破壊、貧困など様々な問題がある。だけれども、そのような中にあったとしても、この美しい地球に満ちる愛のエネルギーを感じ取りながら、やさしさを持って生きることはできる。シンプルにそう感じさせてくれる、やわらかい水彩画で布張りの表紙のかわいい絵本。


[Life / 人生・生き方]

笑って、バイバイ!

たかのてるこ / テルブックス
550円(税込)

「生きるって、なに?」シリーズの第3弾。自分自身が嫌になった時、希望が持てない時、大切な人を失って悲しみから抜け出せない時など、つらい状況においても、世界は愛で満ちあふれていると感じさせてくれる。そして、いつの日かやってくる最後の日まで、命いっぱい自分を生きようと思わせてくれる。


[Life / 人生・生き方]

泣こう

パット・パルマー / 径書房
1100円(税込)

悲しい時や寂しい時は誰だって泣く。それは人間の心と体にとって思っている以上に大事な行為。みっともないなんて思う必要はない。負けるものかなんて思わないで悲しいと言って泣いてみよう。悲しみを乗り越え、心の平安を取り戻す本。


[Art / 文学・詩]

さよならのあとで

ヘンリー・スコット・ホランド / 夏葉社
1430円(税込)

自分が亡くなった後、遺した大切な人たちには、悲しまず、幸せに過ごしてほしいと願う。本書は、英国教会の神学者で哲学者の42行からなる一編の詩を、挿絵を添えて一冊の本にしたもの。「死は何でもないものです。私はただ、となりの部屋にそっと移っただけ。」大切な故人からのようなメッセージが大きな悲しみを癒してくれる。


[Life / 人生・生き方]

センス・オブ・ワンダー

レイチェル・カーソン 著、上遠恵子 訳 / 新潮社
1650円(税込)

早くから環境問題に取り組み、現代文明に警鐘を鳴らしてきた著者が、すべての人が生まれながらに持つ「センス・オブ・ワンダー」、つまり「神秘さや不思議さに目を見はる感性」を、いつまでも失わないでほしいという願いを込めた本書。嵐の夜の海の荒々しい興奮、夏の森の散歩で出会う岩やシダ…。生きることの喜びを思い出させてくれる。