『Interview Archive』は、
『NewsLetter』『Spiritual Databook』に掲載されたインタビューです。

内容や役職などは当時のものです。予めご理解のうえお楽しみください。

SPECIAL INTERVIEW ARCHIVE #17 2001

引き合う反作用

アーノルド・ミンデル / プロセス指向心理学、プロセスワークの創始者の一人

現在の世界的な問題も、私たちの
日常の中にある問題と本質的には
同じものから生まれています。
もし、目の前に存在する身近な問題に
取り組み、これをなんとか解消できる
という感触をつかめれば、
私たちの恐れは減少し、人間としての
強さを実感できるようになるかも
しれません。そのような日々の
プロセスが、結果的に世界の問題を
解いていく力になっていくのでは
ないでしょうか。

争いや対立は人間の性(さが)なのか。
この先も世界は血を流し続けるのか。
内外で起こる様々な出来事は、
目には見えない心の闇が引き起こす。

明るく輝く月をみても、それは
月の一部であり、暗く欠けている部分を
地上から見ることはない。

「ドリーミング(夢見)」を心理学に
取り入れたミンデル氏は、
現在起こっている出来事の背後にある
マトリクスに注目し、量子物理学や
シャーマニズム、身体症状、
関係性の問題について答えを出しつつ
あるようだ。

精力的にプロセス・ワークを行う
ミンデル氏に世界が囚われている
ジレンマについてお話をうかがった。

ブッククラブ回 ─ 多くの人が、自分は平和的または調和的な生き方を望んでいると考える中、ミンデルさんは争いを恐れずその中に入って行くことの重要性に言及されています。社会的、精神的にランクの高い立場にいて、自分の深い内面に触れる能力に気がついている人の割合はどの程度だと思われますか?

精神的に高いランクを持ち合わせている人というのは、スピリチュアルやメインストリームの流れにも適応し、その能力によって社会的なランクも得ている指導者やファシリテーターということですね。もし、彼らが対立的な紛争の現場において、情熱と共に平静さを発揮し、自身がいつも動じずに内的なセンターの中にいられるなら、そういう人が必要です。もちろんそれと同じくらい、ランクの有無に関わらず、いわゆる「普通の人々」も必要だと私は思います。動きの中にありながらも静止することができ、毎日の現実的なことに対処しながらも自分の深い内面に触れることができる。そのような力は、やはり特別な能カだと言った方が良いかもしれません。ですからランクが高いからといって、必ずしもそのギャップに気がついているとは限らないのです。本当は、私たちすべてがそういう能力を持っているのだと思いますが、「どうしたらそこへ到達できるか」ということが難しい。「たまたまそういう能力に目覚めることができた」という人もいるかもしれませんが、大抵は努力しない限りそのような状態に自分を持っていくことはできません。何らかのトレーニング無しに初めからそういった紛争の現場に入っていって流れをサポートする役割を担える人というのは、かなり少ないと思います。その事がひとつの大きな原因で、現在、世界で起こっているような様々な紛争が存在するのだというのが私の見解です。

テロリストの性質というのは、誰でも持っているものだと理解していますが、個人の中で良いバランスをとるためにはどうしたらよいのでしょうか?

これは非常によい質問です。「テロリスト」という性質は、誰の中にもある一つの側面です。まわりから耳を傾けられなかったり、存在を無視されたという感覚がそういう状態を引き起こすのだと思います。置き去りにされてしまった子どものように周囲から自分の存在を無視されると、その人の気持ちや体は、そのことに対する恐れから死や破壊といったものに向かいます。あるいはそこまで行かなくても自己嫌悪感や嗜癖問題を引き起こすこともあります。否定的な緊張感から逃れたいが為に嗜癖の中に入っていってしまう、ということを回避するには自分の中にある静けさに耳を傾ける必要があります。それができればバランスを保つことも可能だと思います。これは、すべて内面的なワークと気づきのトレーニングになると思います。

日本人は今回のテロ事件(2001.9.11)について、どのように関わっていけばいいのかわからないというジレンマを抱えている人も多いようです。一方的にテロリストを糾弾するのも、単純に反戦運動をするのも、どこか本質的に違うと感じてはいるけれど明確な方向性を見いだせないでいます。加害者でも被害者でもない、紛争の直接的な当事者でない人は、どのような態度でプロセスに関わればいいと思われますか? またどんな役割を担っていくべきだと思いますか?

今、世界中の人々が現在の状況の中で、自分の感情をどう扱えばよいのかという疑問を持っていると思います。今、この瞬間、テロリズムの本質について考えることは人類にとって共通の問題として浮かび上がってきています。しかし、この問題は常に存在してきたもので、ただ今まで語り合われなかっただけのことなのです。どの学校の教室でも、どの職場でも、どこの道端でも、より権力を持っている人は社会的にカが無い人の声にほとんど耳を傾けないということが起こっていたのです。その結果、不幸や悲しみ、怒りや復讐という感情が生まれ、それが最終的にテロリズムという形になって現れているのです。 このような無視、抑圧、疎外といったプロセスは、社会の中で常に起こってきました。現代において、裕福な国のメインストリームにいる人々は、この問題についてより強く意識していく必要があるでしょう。なぜならば、この問題は世界全体が考えているからです。 私たち一人ひとりが、まず自分の内側にある問題を解決していくという方向性がとても重要です。そしてまた、組織、学校、職場、コミュニティーなどの中でもより開かれた対話の機会を作り、特に立場的に弱い人の言葉には耳を傾ける、という意識が必要だと思います。現在の世界的な問題も、私たちの日常の中にある同じ問題と本質的には同じものから生まれています。もし、目の前に存在する身近な問題に取り組み、これをなんとか解消できるという感触を掴めれば、私たちの恐れは減少し、人間としての強さを実感できるようになるかもしれません。そのような日々のプロセスが、結果的に世界の問題を解く力になってゆくのではないでしょうか。

世界全体が嗜癖に陥っているような気がします。その先頭を走るアメリカと置き去りにされた子どもである第三世界の人々との関係は、ひとつの問題の裏表なのかもしれません。ミンデルさんは嗜癖からの回復について、世界全体についてどのような可能性を考えていますか?

ここで言う嗜癖とは、私たちが無意識的な行動を繰り返してしまうこと、それが中毒症状のように自分の意志では止められないこと、という意味であるなら、アメリカのように強大な権力を持っている国々は立場的に弱い他の国に対して、ランクのカ、すなわち特権意識を意識せずに使ってしまうという嗜癖を起こしていると言えるでしょう。たしか第2次世界大戦中、ある日本人がアメリカを「眠っている巨人なので起こしたらとても危険だ」というように表現したと聞きました。確かに、アメリカを始め多くの国々は、「眠っている巨人」であり、私たちは自らの力や状況が、他に対してどれほどの影響力を持っているかということについて気がついていない部分があります。力への嗜癖から目覚めるには、やはり外部からの刺激が必要なのです。最近起こった事件は、まさにそのプロセスです。ただし、巨人がただ気づいていないだけだとしたら、 もしかしたら、彼等が本当に目覚めることによって、よい意味で世界のためにその力を行使するという可能性もあり、民主主義の国々は本来そのような力を秘めているはずです。しかし、問題は現在の民主主義の在り方です。より深い内面的な民主主義というものが働かない限り事態は動きません。だから私は、リーダーという立場にいる人が、どんな状況にあっても自分の内的なセンターを保つという感覚をもっと学ぶべきだと思います。また市民は自分たちの選んだリーダーが、人間性の問題、紛争や対立的な問題について深く学び、トレーニングを受けることを要求すればよいと思います。私たちもリーダーも、より多くの気づきと能力を求められているので、リーダーを選ぶ時、対立的な問題についてどのように理解し、解決の方向へ持っていけるか、という能力の見極めが必要です。公的な状況のみならず、個人生活においても、そのような資質が見られないかぎり、リーダーとして選ばれるべきではないでしょう。私たちすべてが、様々なトレーニングを受けていくことで、私たちは回復する……と、私は信じたい。なぜならばそれ以外に世界を変えていく方法というものを思いつけないからです。

今回の事件に限らず、世界には個人には変えようのない、大きなギャップが存在しています。ミンデルさんは、近頃アウシュビッツで非常に印象的なワールドワークを行ったと伺っています。そのプロセスでは、どんなことが起こったのでしょうか?

世界には大きなギャップがあり、そこから私たちの多くの悲劇が生じています。その一つに対する試みとして、オーストリアの右翼保守派の人々と、生き残ったユダヤ人たちに働きかけて、関係の再構築を望んだのが、そのワークです。まず私たちは強制収容所の中で死者と対話するというワークを行いました。その後、大規模なグループプロセスをウィーンで行いました。このグループプロセスには、多くのドイツ人、オーストリア人、ユダヤ人、そして日本人を含む世界各国から参加者が集まりました。とても痛みを伴うプロセスだったのは言うまでもありません。かつて誰かに与えてしまった苦痛をお互いに再認識するというのは、もちろん、とてもとても辛い作業です。戦争の後、過去の流血の歴史を覆い隠そうとセメントで道路を敷設したり、新しい建物を建築したりするという、何が起こったかを忘れ去りたいという気持ちも、私は理解できないわけではありません。しかし、再び同じ惨事を起こさないためには、過去を思い起こすという難しい作業が必要なのです。私たちは「加害者」と「被害者」という役割を何度も考え、繰り返しロールプレイしました。まあ、ここでそのワークの詳細のすべてを語ることはできませんが著作の『Sitting in the Fire』の中で、そのいくつかのプロセスについて触れました。また、来年、Hampton Roads から出版される 『Beyond War, Creating Deep Democracy』でも取り上げています。

人間に遺伝子的な生命プログラムがあると仮定した場合、今起こっている現象というのは、本来の調和的なプログラムが進化のプロセスによって失敗し誤動作を起こしてしまったのか、あるいは自然界の暴風雨のように進化のプロセスのために必然のプログラムとして、そこにあったのでしょうか?

私たちは生物学的な遺伝子プログラムを持っています。また、家族の在り方というものにも強く影響されています。それに加えて私たちは社会から与えられる習慣や文化からも多くの価値基準を植え込まれており、これも意味としては「遺伝子」に近いものかもしれません。そのような固定観念はある集団意識のようなものを形作っていて、私たちはそこに所属しているという感覚を持っています。その結果、家族、グループ、宗教、国籍、人種など、自分たちと違うものに対しては、好きか嫌いかのどちらかでないといけないような気がしてしまうという反応が起こります。しかし、その一方、私たちは意識という才能も持ち合わせています。それは、このような「遺伝子」的な反応の行動特性について気づくことを助けてくれます。気づくことによって、家族の歴史の中にいる自分というものを客観的に見ることもできます。そして、必要であれば、自発的にその歴史に変更を加えていくことも可能です。歴史とか将来は決して固定化されているものではありません。気づきがあれば、私たちはそこに関わりながら変容させていくこともできるのです。個人としてもコミュニティーとしても、抑圧や疎外といったものに対して、私たちの気づきのレベルを上げていくことは可能だと思います。そして、お互いに対して、その力を抑圧や疎外という方向ではなく、むしろその問題の本質を理解したり、学んだりする勇気として使っていくことができるでしょう。私はこのような変容のプロセスが起こる可能性を知っています。今まで、何千人もの人々とワークを行い、その中にはテロリストも含まれていますが、確かに何かが起こった事を何度となく体験してきたのです。

自然界は一見調和しているように見えますが、その中には、生存のための自然淘汰やサバイバルがおそろしい力で存在しています。人間の世界は文明の発達によって、その働きを排除するあり方を必死に作り上げてきたように見えます。その副作用によって、嗜癖問題や戦争などが起こっているのでしょうか

自然界が壮大であり力強いことに、疑問の余地はありません。私たちの中にはサバイバルの法則のような何かが確かにありますね。これは心理的にも遺伝的にもそうですが、またさらに、重カ、電磁気、原子力などの物理的なものによる反応もあるでしょう。これは、宇宙を創造し、同時に破壊していく大きな力なのだと思います。しかし、どこかに自然界の法則に対し、何かを反映させてゆくキャパシティのようなものがあると思います。量子物理学の分野では、数値としてその反映の表れ方を見ることも可能です。意識が物体に影響を与えていくというこの認知科学的な影響力は自然界の法則的な力に対して、何らかの距離を保つことができる可能性を秘めています。まあ、ほとんどの場合、そういう場面に出会うのは、死ぬ時まで待たなくてはいけないという人が多いのですけれど。私は進化というものについて、未だ予測不可能であると認識しています。それは、今まで触れることのできなかった反応や感情的な気づき、そしてどのようなプロセスを経験するか、ということにかかっているのだと考えています。

 ギリシャ時代の幼い民主主義によってソクラテスは殺されましたが、約2400年後の今、民主主義は発展しています。我々が抱えている同じような幼い文化が花開くために、現在テロリズムが存在し大きく世界を揺るがしているのでしょうか?

民主主義はまだ若いステージにいるのでしょう。私たちは形式的な民主主義しか知らないですが、全ての人に権利や平等を与えようとしているのは確かです。しかし、私が言うディープな民主主義というのは、現在の制度よりさらに先のステージにあるものです。それはより深い感情、夢、スピリチュアルな経験が他の要素と同じぐらい重要なものとして扱われる民主主義になるでしょう。人選だけではく、人々の感情、夢や無意識をも捉えた民主主義ということです。これは、政治的においても、スピリチュアルな観点からも次のステップに進むことによって生まれるものだと思います。テロリズムは、今、存在する民主主義が、現実の心理的な問題、社会的な問題を対処するには不十分であるということの表れです。私たちは、よりディープな民主主義を必要としています。また、それを作ることこそ、私たちの責任ではないでしょうか?

どうもありがとうございました。


■本文で使用されている用語の解説

・ランク
一般的には階級とか地位とか格のようなもの。ここでいう「ランク」には「社会、経済的ランク」「心理学的ランク」「スピリチュアルなランク」などがある。ランクは低い方からしか見えないという。そしてこのランクも場面によって変化する。

・ファシリテーター
英語で「事を容易に運ぶための促進者」という意味。プロセス指向心理学では、療法家とクライアントというような、一方向の関係がない。ファシリテーターはワークの中で起こるプロセスに気づき、流れを促す「長老」のような役割を担う。

・ワーク
ミンデル氏のワークは気づきや道(タオ)の流れを重要視する「プロセスワーク」と呼ばれている。ユング心理学、シャーマニズム、コミュニケーション理論、タオイズム、量子物理学などのエッセンスが下地になっており、「現在生じていることにはまだ表現されていない意味や目的がある」という観点がある。例えば病気や身体症状を単に悪いものとして取り除くのではなく、その中に抑圧された感情やメッセージ、新たな可能性が埋もれていると考え、「視覚」「聴覚」「触覚」「動作」「世界」「関係性」などその全てのプロセスに注目している。

・プロセス
自分の自覚や意識、アイデンティティに比較的近いプロセスを「一次プロセス」といい、その反作用をもつプロセスを二次プロセスと言う。例えば「自分は優しい人」と言う一次プロセスは無意識の中に「冷たくきびしい人」と言う二次プロセスを生む。

・エッジ
一次プロセスのパターンが壊れないように、二次プロセスから浮上してくるものをブロックする境界のような役割をするのが「エッジ」という。それは自分が受け入れられる限界と、未知の世界を隔てている境界線でもある。直面したくない時にプロセスが止まってしまうことがあり、その時は「エッジ」に差し掛かっているという使い方をする。プロセスワークではこの「エッジ」をチャンスとしていて、そのブロックを理解して外すことによって様々な状況が変化し出すと言う。

・ワールドワーク
「世界の苦しみは個人の悩みから、個人の悩みは世界の苦しみから」と考えるグループワークで、全体と部分を意識した世界的、普遍的な問題について行われる。ここにも「ランク」は存在する。

・ロールプレイ
もともとモレノ(Moreno.J.L)のサイコドラマ(心理劇)において概念化され、発展してきたものである。様々なサイコセラピーや教育の現場でもよく使われる手法である。場や状況によって様々なロール(役割)をとりながら、自発的学習をしてゆく。

・嗜癖
嗜癖とは、本人が望んでいる行為が、結果的に自分に害を及ぼすという行動を指す。アルコールやドラッグなどの物質嗜癖、ギャンブルや仕事などのプロセス嗜癖、そして共依存などに代表される関係嗜癖がある。中毒は、肉体にとって毒であるものを取り入れた結果、生ずる肉体の生理変化のことを言う。嗜癖が起こる原因として、全てをコントロールできるという幻想が阻まれた時、その危機的状況から逃避するために、代償行為に走ることが考えられる。


アーノルド・ミンデル(Arnold Mindell)
1940年生まれ。ユダヤ人の家庭に生まれる。マサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了(論理物理学)、ユニオン大学院ph.D.(臨床心理学)。
ユング派分析家でもあり、スイスとアメリカにプロセス指向心理学研究所を創設。アメリカのポートランドにあるプロセスワークセンター所長。

オフィシャルサイト
http://www.aamindell.net/

 ※インタビューは当時のものです。

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