ブッククラブ回で今年から取り扱いを開始した、クレイ製品の「CLAYD」。
お風呂に入れることでさまざまな不調に役立ち、健康へと導くこのクレイの、
取り扱いスタートの直接のきっかけは、今回インタビューに登場いただいた、
代表の羽田賀恵さんが当店を直接訪れたことでした。
ブッククラブ回から徒歩1分のご近所にスパがあり、
スパのセラピストさんから当店のことを聞いて、その足ですぐに来店されたこと、
好きな書籍や著者、興味のあるトピックについてなど、
初対面だったにも関わらず、会話はさまざまな方向へと広がりました。
そして、会うたびに羽田さんのお話はいつも興味深く、
ブッククラブ回のスタッフだけではなく、
より多くの人たちとお話をシェアできたらと思い、
今回のインタビューが実現しました。
シンプルに美しくパッケージされた「CLAYD」の製品たちは、
羽田さんの佇まいそのもののようですが、
その中にはチャレンジを乗り越えてたどり着いた、熱い思いが存在していました。
体から始まり、心、そして社会やこの世界までをも含む、
循環し続けることを通した変化への希望など、
ご自身の変化も交えて、率直に語っていただきました。
「CLAYD」:アメリカ西海岸の砂漠地帯、地中約6mの深さから採集されるミネラル豊富なクレイであるモンモリロナイトは、この地に住むネイティブ・アメリカンたちによって、心身を整えるために古くから使用され、受け継がれてきました。古代に降り積もった火山灰が数万年をかけて変化した、100%ナチュラルなクレイを「CLAYD」では使用しています。
過去のインタビューで、音楽が好きで、今もライブハウスやロック・バーに行かれるとおっしゃっていました。
すごく好きで大事なんです。クリス・コーネル(アメリカのシンガー、ギタリスト、ソングライター。元サウンドガーデン)が特に好きです。
そのロックを通じて、素晴らしい出会いもあったようですね。
これからCLAYDを世に出そう!というタイミングでした。バーの片隅で企画書をわーっと、一生懸命書いていました。その私の様子を見て、あるバンドマンの方が声をかけてくれて。もともと大きな会社を経営する家庭で生まれ育ったので、企業経営について詳しい方なのですが、事情を話したらCLAYDの製品に興味を持ってくれ、キャッチコピーを一緒に作ったりと、手伝ってもらうことになりました。でも、ちょっとおかしいですよね? 普通はあまりありえないことだと思います。こんな風に突然、必要な時に助けてくれる人が目の前にぱっと現れるなんて。
羽田さんの歩みには、そういう出会いやドラマが節目節目に起こっているように感じます。CLAYDで使用しているクレイにも、きっと何か出会いのエピソードがあるのではないでしょうか?
CLAYDのスタートもまさにそうです。3.11、東日本大震災での原発事故がきっかけではありましたが、もともと私は子供の頃から現在まで、外から入ってきた毒物にすぐに反応して、それを出そうとする体質のため、それが肌の状態に現れたりします。例えば、強い調味料がたくさん入っていると、口が腫れたり、上顎の皮膚が剥がれてきたり。いわゆる過敏なんですが、それが異常をすぐに察知してくれるとも言えます。これは想像ですが、一歳の時に、風邪で出された薬の処方ミスで死にかけたことがあって、その時に解毒しようとして肝臓にかなりの負担がかかったと思います。恐らくそれで、キャパ・オーバーになりそうになるとすぐに反応が起きる。早く出さないと体がうまくいかないんです。そういう体質なこともあって、西洋医学だけでは治せないということに気がつき、自然療法をいろいろと勉強しました。勉強を続ける中で、アメリカに住んでいた時期の師匠がいるのですが、東日本大震災が起きた当時、すでに日本に帰っていた私にその師匠から連絡がありました。日本ではまだ報道されていないかもしれないが、原発で事故が起こっているからすぐに逃げろと。そしてクレイを手に入れろと。それで、クレイのことを調べ始めました。
ここでも出会いが助けになったんですね。
すると、クレイはチェルノブイリの原子力発電所事故の時にも使われていて、重金属や化学物質を吸着する力があることが認められていることがわかりました。作業員たちが濃いクレイ風呂に入ったり、クレイのペーストを塗った上に作業服を着て作業をしていました。チェルノブイリは放射性物質を遮断するために、事故現場をコンクリートで固めて封鎖していますが、その中にもクレイが入っています。そういったことは実は広く知られていて、論文も多く発表されています。なので、これは本気で役に立つものなのだなとわかりました。このクレイというものが、害のあるものを吸着して出してくれるかもしれないと思い、世界中からいろいろな種類のクレイを集めました。ちなみにゼオライトという、これもクレイの一種ですが、日本では放射性セシウムを吸着させるために福島の海に投下されています。
たくさんのクレイの中から、現在のCLAYDの原料となるクレイにたどり着いたのは?
先ほど話したようにすぐに反応が現れる体質なので、すでに体に不調が現れていて、鼻と喉から出血するようになり、普通に話していていきなり血が出てくるような状態でした。連絡を受けて、いろいろなクレイを集めて使ってみました。それぞれに良いところがあって、例えば日本のクレイも非常に質が良く、優しい柔らかな使い心地ですし、フランスやイタリアのクレイには美肌のために使われるものが多いです。ただ、このアメリカの砂漠の地下から採れたクレイを使った時に、出血がぴたっと止まったんです。原発事故後からずっと続いていた頭痛もしなくなった。それで、これはちょっと他のクレイとは違うなと思いました。
ネイティブ・アメリカンの人たちは体調不良時に飲用もしていたんですよね?
そうなんです。アメリカでは食品のカテゴリーでも扱われています。そこはもともとネイティブ・アメリカンの住む土地なのですが、彼らが止めるのを聞かずに科学者たちが原爆製造のためなどにウランを採掘した場所でもあるんです。その同じ場所にクレイという答えがあるのは、「あ、だからか!」と思いました。同じ土地の同じエネルギーを持っている、だからだと。
それは、どういうことですか?
ホメオパシーでも言われますし、地産地消の持つ役割もそうですが、同じエネルギーのものはすぐ近くにあるんです。昔は身近で採れる食物を摂り、排出もそこで起こり、全てが循環していた。そこ住む人間は体調が悪い時は、近くに生育する薬草を食べて病気を防ぐ。そのように、自然な状態で循環さえしていれば、ちゃんとそこに住む人間にあったものが入ってきます。だから、そのクレイの採掘場所について知った時に、あ、きっと同じだって、すごく納得したんです。
それは直感で。
最初に直感で「あっ」と思いますが、その後になぜこれが良いと感じたのか、全部科学的にも調べ尽くします。ただ、人間にはわかる能力があるはずです。ですが、現代は言語もあるし、添加物やさまざまなもので感覚が麻痺している。「こうでなければ」と思わされている部分もあるし、社会的に身につけたものがたくさんあって、それをキャッチできなくなっているだけだと思うんですよね。そういうものが無くなれば、サッとキャッチできる。例えば、あれ?この状態はおかしいんじゃない?ということも。絶対こっちの方が気持ちが良いとわかっていても、私たちは今そうしないですよね。社会的にこういう服を着ていなければいけない、とか。
ロックですね?(笑)
(笑)そうそう。そういうものが全部無くなれば、これが一番気持ちいい、これが一番素敵、これが本当の愛、ということがすぐにわかると思うんですが、そう思わないようにさせられています。例えば金銭的なことも。私の場合は体が弱かったので、そういう余分なものを少しずつ排除していきました。本当にピュアなものであれば体が大丈夫なので。その積み重ねのおかげで、もしかしたら、要らないものをたくさんくっつけている状態では、今はなくなっているのかもしれないです。だから、スッとキャッチできるのかもしれません。今のこの社会の仕組みはちょっとおかしい!とかも。すぐに、「ねえ、おかしいよね? 絶対おかしいよね?」って訴えたり(笑) なかなか理解してもらえないみたいですが。
今のお話をうかがっていると、最初に就かれたお仕事が金融関係なのがとても意外です。どうしてだったのか、聞かせていただけますか?
若い頃は、全部逆のことをやっていました。日本文化はこうである、女性はこうであるというような、いわゆる世の中のあるべきコースの中にしっかり乗っている子どもだったので。もう絶対に「いい子ちゃん」というか(笑) 2時、3時まで毎日勉強しているような。それに、まだ、世の中がだいぶ古かったです。仕事の世界も男尊女卑が当たり前でした。これはまだそうですが。そういう中でがっちり育ちました。バブルがちょうど大学生だった頃で、金融はその頃はやはりいい会社というイメージでしたし、ランキングの上にある航空会社も受けました。自分のやりたいこととは全然違うし、知識も無いですが、社会通念的なものでそういう所に行かなくちゃいけないと思わされていたというか、勝手に思っていたというか。
働いてみてどうでしたか?
いくら女性がこういうことをやりたい、頑張りたいといっても、金融は特に男尊女卑な世界でした。私は勝手にいろいろやり始めたんですが、そうすると、「いいんだよ、やらなくって」って言われるような。
え!?
「え!?」ですよね。頑張ろうとしているのに、「やらなくていい」と言われてショックでしたね。本当に女性は後ろで、お手伝いをしていればいいんだよという所でした。社会全体もそういう流れで。だから抑圧はすごくて。ぎゅっと押しこまれるような感じでした。なぜかいつも、何かがつらい、苦しい。認められないとか、褒められないのは全然かまわないですが、「やりたいことをできないのは嫌だ!」と、ものすごい抑圧を感じていました。
その後アメリカへと生活の場を移されたのは?
当時、結婚していた人がニューヨークに転勤することになり同行しました。そこで、「あ!いいんだ!」と思いました。日本の男尊女卑の文化の習慣なんかも、「しなくていいんだ!」「言いたいことを言っていいんだ」と。そういうアメリカの文化に触れて、自分の蓋がパカンっと開いて、その時にそれまでの全部が終わった感じがしました(笑) 「え、全部? これもこれも、やんなくていいの?」って。
言葉はどうされたのですか?
学生の頃は勉強を頑張っていたので英検も取っていましたが、英語は全然喋れなかったんですよね。でも話したくてたまらなかったので、単語帳を作って毎日毎日勉強しました。結婚相手の会社ではアメリカ文化にならってカップルで出席するパーティーがよくありました。そこに同伴しますが、私だけ一人、みんなの話していることの意味がわからなくて輪に入れない。何を聞かれても全然聞き取れない。それがつらくて帰るたびに泣いてました(笑) 1日で急に話せるようにはならないんだから地道に勉強すればいいと言われて、こつこつ勉強して少しずつ喋れるようになって。その頃はまだ、時間をかけて少しずつ馴染んでいくような感じでした。
ただ、プロフィールを拝見すると、その後かなり積極的にやりたいことに取り組まれるようになりますよね。何かきっかけがあったんですか?
それは、大きなことがいくつか起きたからですが、一番大きい出来事が9.11、ニューヨーク同時多発テロです。同じアパートメントに住んでいた日本人の家族がいて、仲良くしていました。当時、ビルに飛行機が突っ込んだ映像が流れましたが、そのご家族のご主人があのビルで働いていました。行方不明とされている間、家族の子どもたちのお世話をしたり、奥さんとお話ししたり、あの時期を間近で一緒に過ごして、自分に起きたことと全く同じようなショックがありました。トラウマというか、怖くて、しばらくノイローゼのような状態で過ごしていましたが、1年経って、その方が亡くなられたことがDNA鑑定でようやく確定しました。そこでやっとお別れだという気持ちになれたことで、あ、立ち上がらなくてはと思いました。その時に心に浮かび上がってきたことが、人間は何かあったら明日死ぬかもしれない、それは誰にでも平等に起こるということでした。その方が出かけた日も、朝はいつも通り普通に出かけていった。だけどそんな普通の日常でも、その日が最後になるということが実際に起こる。起こり得る。自分もそうだ、そのことを肝に銘じなければと本気で思いました。だったら、ちゃんと自分がやりたいことや、こうしたい、こうでありたいと思ったことは、もう、すぐにやろうと思いました。ぐずぐずと英語が喋れないとか、駐在妻だから働けないとか言ってないで、やりたいことがあれば「すぐにやらなければならない」ということを刻みつけられました。人とコミュニケーションをきちんと取り始めて、英語も難しいとか思わずに喋るようになって、上達しはじめたのもその頃です。
その後、日本に戻られたんですね?
離婚したというのがありました。やはり、9.11きっかけでした。駐在先で仕事を持てないということで、自分は一生誰でもない人なのか? 誰かの奥さんなのか? 何もしなくていいということなのか? そういう思いがありました。もちろん家庭をきちんと守ったり、子どもを育てたりということは、それは本当に重要で、何事にも勝る仕事です。ただ、私自身で考えて、私自身が発することをしてみたいという気持ちが強くありました。でも、それができない。この先ずっと妻として海外にいて、仕事ができないということを予感して、怖くなってしまいました。自分の人生を、自分のやりたいことを、きちんと実現できる人生にしたいと思った。それが離婚だったんですよね。相手の方もきちんとわかってくれて、最後に「やりたいことをやってね」と言って、握手してくれました。
すごく。今でも大好きです。本当にいい人だと思います。余談ですが、彼はバーニーズ・ニューヨークが大好きでした。最初にもらったボーナスをバーニーズで散財して、「そんなに好きなの?」というぐらい。それで、彼に伝えなくてはと思ったんです。CLAYDをバーニーズで販売してもらって、ちゃんと自立してやっていけるようになったよということを。バーニーズに行ったら見てくれるかなと思って。彼とはあの握手の後は一度も会っていないし、話してもいないですが、本当にありがとうと、おかげでできたよと伝えたくて。だからバーニーズにはどうしても扱って欲しかった。すみません、私の恋愛話なんてお話しても……
いえいえ、そんなことないです。すごく人間的で良いお話しだと思いました。
そうですね、人間でしかない(笑) だからそういう時代だったというのもありますね。時代の波がザブーンと押し寄せて、本当に私もそれを体感したというか。日本が変わる時でもあったし、波の内側に入って打ちつけられるような。今は同行する配偶者もイギリスやアメリカなどでは働けるようになりましたし、いろいろと変化しました。
日本に戻って会社勤めをしながら起業の準備をされて、ローチョコレートのお店を開業されました。その後クレイに出会ったわけですが、なぜ製品化しようと思われたのですか?
まず、自分の体感があった瞬間に、あ、これはみんなに伝えなくてはと思いました。自分が小さい頃から学んできたことは、入るべきではないものが体に入ってきた時に、いかに速やかに出すかということだったので。自然の力でどんどん出していくということを、これを今こそ伝えなくてはと。原発の事故後、都内のお母さんたち、子育てをされている人たちがものすごく不安になっていました。どうしたらいいのか誰もわからない。みんな情報を求めて右往左往していた。こういう時期だからこそ、私が今までやってきたこと、私が知る範囲のことを全て伝えようと、体から毒素を排出するためのデトックス・セミナーを開講していました。そこでクレイについてもお伝えしていましたが、参加者の皆さんの方から、クレイがこういう風に良かった、ああいう風に役立ったということを教えてくれるようになり、それで製品化しようということになりました。
現在はカリフォルニアのクレイを特別に取り扱われているわけですが、そこまで産地の方と絆が深められた理由はなんだったのでしょうか?
最初は、いろいろなクレイを集めている時に送ってもらったものの中の一つでした。使ってみて、先ほど説明したようにこのクレイは全然違うと気づいたので、セミナーではこのクレイを使おうと決めました。その後、セミナーを4年ほど続ける間、採掘者とずっと連絡を取りあっていました。参加者の方から質問を受けたら、それを問い合わせるということを、もう毎週のように。例えば、「歯に金属の詰め物をしている場合は使用してもよいのか?」などですが、そういう小さな、細かな質問のひとつひとつを問い合わせました。それらに対して、採掘者の方もとても詳しく答えてくれました。その方自身も生まれつき体が弱かったのが、クレイで少しずつよくなっていった人でした。自然療法を学んで、クレイについては論文や本を出して、自分が世の中で一番詳しいと言っているぐらいで。そのようにして、クレイについてずっと教えてもらっていたのですが、一生懸命、日々、本気でこのクレイについて理解しようと、調べて研究をし、それを言葉できちんと説明して伝える人だったら、自分は信頼するので任せますと言ってくれました。
セミナーから発展してクレイをCLAYDとして製品化し、一般への発売へと至ったわけですが、今は何年目ですか?
発売開始からは今年で9年、来年10周年です。会社設立は今年が10周年です。クレイを使うことを入り口にして、「全て循環すれば、元に戻るんだ」という考えを伝えたいというのがあります。食べ物やその他さまざまな、入ってくるべきじゃないものが体に入ってくるので、本当にミクロのレベルで詰まってしまっています。油は種類によってそうですし、汚染物質、薬品など、それらが詰まって流れていかない、だからその部分が病気になる。空気の流れが悪いとカビが生えますよね。海もそうです。大量のゴミで循環が起こらなくなり、魚が生きていけなくなる。とにかくぐるぐると回って循環さえしていれば、誰もがとても健康な状態でいられる。体の中もそうですし、環境もそうです。循環するということを伝えています。
ブッククラブ回も「回る」ですし、書棚の配置に循環を感じるスタッフもいます。
一緒ですね。循環の逆は、「私だけが欲しい」ということなので、だからそれを手放せればオーケーなんです。クレイを使うと体の中に溜まっていたものがぐるぐる循環して、要らないものは手放して、外に全部出せる。それがスタートです。詰まってしまうものは、人間が手放したくなくて作ったものばかりです。例えば、プラスチックが生まれたのはその形を永遠に残したいからです。環境がどんなに変化しても残しておきたいというのは、強い強い欲です。食品添加物もそうで、このサクサクした状態を3年間持たせたい、お弁当を長く置いておきたいというのは、強いエゴです。循環していて、その時その時、欲しいものだけを手にして、使わないものは要らないとしておけば、それらは全て作られなかったはずです。その集大成が、この詰まっている世の中です。「私だけが欲しい」という気持ちが集まったせいで、お金が全く循環せず、大部分の人たちが貧しく、人口の3%だけが超お金持ちです。彼らが手放せば全人口の年収が2000万円ほどになると言われています。みんなが幸せでハッピーになるには、どんどん手放して、次の人にパスする。幸せをどんどんパスして、自分のところにだけとどまらせない。エゴで、「私だけに欲しい」という思いで行動しなければ、常にみんなが与えられるし、もらうことができる。体の中もそうですが、ぐるぐると循環する世の中になれる、クレイの販売にはそれを伝えるためという理由もあります。
しかし、今の実際の社会は資本主義が極まったような状態で、その中でお仕事をされています。とてもサバイバルなことだと思うのですが。
それが、サバイバルじゃないんです。うちの会社だけで富を蓄積したいとは全く思っていません。入ってきたら、きちんと出します。社員に出していますし、新しい研究をするためにも出しています。それと、同じクレイを扱う会社のみなさんとも一緒にやって行きたいと思っています。他を蹴落としてというのは絶対に気持ちが悪いので、そんなことはしたくない。どのクレイもいいものなので、この会社のも、あの会社のもすごくいい。世の中全部がそうだと思います。なぜそう言えるかというと、みんなが持っているように、うちだけの、私だけの特別なものをきちんと持っているからです。その部分をしっかりと伝えていけば、全員が共存できるんです。自信が無かったり、誰かに負けるかもしれない、自分は何者でもないかもしれないという気持ちが生まれたりする時がありますが、自分にしかないものを、これに関しては世界中で自分が一番詳しいと言えるとか、そういうものが見つけられていれば、全員と手をつなぐことができる。そうすると、一番詳しい人にこの件は聞きたい、一番良いここのこれを使いたいということになります。それぞれが自信を持って、社会がそのように手をつないで、競争ではなく共存していく。そうすると、戦場でも弱肉強食でもない、ただぐるぐると巡っているだけという状態になります。そのようにしているので、経営で苦しいということはあまりないです。誰とも戦っていないし、戦略を立ててうちだけが目立たなくちゃということもなく、ただこれが良いということを伝えているだけで。今のような資本主義社会の中でも、そこに乗っかってしまわなければ、幸せに、楽しく、そしてきちんと健全な財政状況で進んでいくことができると思っています。日々苦しんで仕事をせず、そうすればストレスもあまりなく、きちんと役割分担をして、頭をよく使って考えて、効率よくやっていけば、それほど残業などしなくても、みんなでやっていけるんですよね。私も全然仕事してないし(笑) あんまり。苦しまずにやっていく知恵をきちんと知っていれば、みんな本当に幸せにやっていけると思います。
自分のやりたい事と実際のキャリアをどう繋げるかで模索している人は多いと思います。
起業について語った動画を投稿したことがあります(Instagramにアーカイブあり)。私ももがいてもがいて、失敗に失敗をし続けて、それで今にたどり着いているので。最初に、オーガニックのローチョコレートの会社をアメリカ人2人とやっていましたが、あの時は、すごい売れているのに全然儲からないなんていうこともありました。値段のつけ方から何から、いろいろと間違っていました。全然食べていけなくて貯金を食いつぶしたり。そうやって模索したことを投稿しました。ただ、本当に本当に自分がやりたくて、気持ちが本物だったら、失敗してもやり続けてしまうんですよ。それが私だと思っています。過去にいっぱいいっぱい失敗して、普通の人はここでやめるでしょっていうような。失敗かどうかというよりも、ただやり続けただけで(笑)
必ず起業しないといけないわけでもなく、ナチュラルなものや、ホリスティックなものを求める人たちの土壌がもっと豊かになると、きっとその中で経営する人、職人のようにスキルを磨く人、例えばスパのセラピストのみなさんがそうだと思いますが、全体の中でそれぞれの役割を持って生きていくということができるのではないかと思います。例えばものを多く持ってというより、食べる分を稼いだらしばらくは働かなくても大丈夫というような、スナフキンのようなスキルの使い方もあり得るのでは…
旅人的な。私も所有する気持ちがあまり無いタイプです。CLAYDも路面店を一切出していません。会社も基本は一緒だと思います。ただそれを大規模にやっているだけです。ものすごい大企業になって資産を貯めるぞみたいな気持ちは無く、それに上場して人のものになってしまうのも嫌です。思いのある人たち以外、そうじゃない人たちの欲が入ると違うことになる。やっている意味が無くなって、だったらやらない方がマシということにもなりかねません。全員が幸せであれば、もっとこの仕事に関わりたいと思うし、この仕事をやると楽しく、みんなのためになる。そうやっていくことで利益がきちんと上がっていきます。お店のスタッフのみなさんも、CLAYDを売ることが好きだと言ってくれます。お客さんからのフィードバックが良いのでとても売りやすいし、楽しいと。これもまた循環で、その結果お金が勝手に回っていく。そして貯めないで出していく。同じようなことを会社の経営でやっているわけです。
今、お邪魔してお話しをうかがっている「CLAYD SPA AOYAMA」は、代表の方が男性なのが意外な気がしたのですが、でもよく考えると、女性だけではなく男性たちも自分をケアすることは大事ですよね。
CLAYDの製品は全てジェンダーレスです。パッケージもそうですし、香りもです。このスパにも男性も来ていただけます。男性は特にクレイでの変化を感じやすいと思います。もちろん体表面が大きいというのもありますが、金属が付くと黒くなる世界でも稀な性質を持っているため、お風呂に入れたクレイの色がかなり変化するので、その分実感もあるようです。食品添加物や空気、水道水や農薬には重金属が含まれていますが、体に入ったものがイオン化して汗と一緒に出てきます。男性は汗の量も多くて、それらをクレイが全て吸着するので黒くなるんです。重金属は六価クロム以外は全てプラスに帯電してます。このクレイはマイナスに帯電しているので、浸透圧作用が働いてそれらを引き寄せて引っ張り出します。マイナス帯電は傷ついた細胞を早く修復するので皮膚の修復にも役立ちます。山形大学の山本教授による床ずれへのクレイの効果が研究、発表されています。
使い続けることで変化が起こる?
例えば、CLAYDを入れたお風呂に入っても全然汗をかきませんという人がたまにいます。そういう人は繰り返し入ると汗をかき始め、段々と循環するようになります。クレイから出る遠赤外線に血流とリンパの流れを巡らせる力があるので、汗をかくようになっていきます。それから、よく眠れるようになります。
体への影響はわかりますが、眠れるようになるということはメンタルにも影響する仕組みがあるのですか?
その仕組みひとつはアーシングです。クレイのマイナス帯電で、体に帯びてしまった余分なプラスの電気を抜いてバランスを整えます。土に触ると電気が地面に流れていくので、すっきりしたり、もやもやが消えたり、鬱々としていたものがおさまったり、いろいろな不調が消えますが、現代人は土に直接触れる機会がほとんど無いので電気が溜まり過ぎています。クレイ入りのお風呂に入ることでそれが抜けて、アーシングと同じことが起きます。だから眠れなかった人が眠れるようになって、どんより疲れていた人がシャキっとしたり。もうひとつは、これは科学的なリサーチ結果はまだ無いですが、同じように電気の働きだと思うんです。ポジティブなエネルギー、ネガティブなエネルギーなどという言い方をしますが、そういったもの、気なども周波数だと思うんです。ということは電気なので、そのあたりはそろそろ科学的に解明されるのではないかと思っていますが、それが整うということではないかと思います。
自分のように働きながら子育てをする家庭では、目の前の現実をこなすことに精一杯で、目に見えない部分を意識する余裕があまりありません。ただ、それでもコロナ禍以降は、忙しい日常の中でも見えないことを意識する、自覚する傾向があるように感じます。
感じますね。ずっと家にいたおかげできちんと自分に向き合えた。普段は自分のことを考えずに、外側のことにばかり気持ちが向いていた。今のことに向き合うより、次のための準備が必要で、例えば子どもの明日の準備をしなくっちゃとか、自分と向き合うことが1秒も無いまま、ずっと時間が過ぎていく。それが自分と向き合う時間ができて、やっと今感じていることや、なんでこんなことが起きているんだろう、どっちがいいんだろうと、流されずに考える時間ができたんだと思います。そういう意味ではものすごく進んだと思います。クレイもあの頃とても売れました。「おうち時間」で、みんなお風呂に入るようになったというのもあるんですけど(笑) 恐らくみんな調べ始めたんだと思います。治療薬が無いですし、本当はなにが良いのか、何を食べたら良いんだろうかと。体のことを、体に心地いいものを調べていく。そうすると、添加物の入っていないものがいいということに気がつき始めるとか。そういう余裕が持てる時間だったと思います。もちろん、失ったこともたくさんありましたから、良いことではないのですが、ただ、ある意味では大きなチャンスだったとも思います。
例えば、羽田さんの過ごされたニューヨークもそうだと思いますが、ホリスティックな健康観が比較的ポピュラーな国や地域があります。どうしたら日本もそういった方向に進んでいけると思われますか? 医療現場への働きかけが必要でしょうか?
西洋医学や東洋医学、ホリスティック(全体観的)医学など、どれもがそれぞれに得意な分野があります。例えば西洋医学は外科的なアプローチが非常に得意で、東洋医学やホリスティック医学は身体全体のバランスを整え、治癒するのが得意です。ただ、そうした医療を行うことと現在の医療制度は別のものなので、これは元を辿ると政治が変わらないと変わらない話です。法律が変わらないと。現在の医療制度はお金を儲けるという仕組みなので、本来の治療とは全く違う柱が立っています。ですから、いくらその個人が治してあげたいと思ったとしても、ボランティアで行うわけにはいかない。お金が動くようにしなければならない。薬を出さなければ、こういう手術をしなければならないということが決まっているわけです。例えば、その医師個人が抗がん剤は使わなくていいと思っても、今の制度では使わなければビジネスとしてはゼロということになります。ビジネスとはお金です。治療がビジネスになっているという仕組みそのものが、人類として絶対的に間違いなんです。しかも政治を動かすことさえできる巨大ビジネスになっている。矛盾に気がついた人も、生活ができなくなるので絶対に言えなくなります。病院に行きなさい、注射を打ちなさい、薬を飲みなさいと、メディアをはじめ何もかもがそう言う中で、これは何か違うと気がつくというのは相当難しい話です。ただ、少しずつ土台がじわじわと出来つつある感覚はあります。大自然の力に触れる、このクレイもそうですが、そうすれば気づきしか起こらないです。そういう人たちが増えていけばと思います。オーガニックコスメやスーパーも市場が大きくなり、ちゃんとしたものを使いたい、食べたいという、そういった知識が集まり始めていると思います。
確かにオーガニックコスメのショップが定着するようになりました。
CLAYDのクレイもその波に乗れたのだと思います。これまではいくらチョコレートで伝えようとしても、小さいままで終わっていましたし。やっと波が来てクレイも理解される、伝わるようになってきた。もう少し前だったら、また伝わらないまま終わっていたかもしれないと思います。それが伝わる層がだんだん厚くなってきた感覚はすごくあります。もっと知りたいという人が大勢いるという感覚が。実はチョコレートでもできることだと思うので、もう一度やらなければと感じています。以前の伝え方や経営はまだ学びの段階でした。トランス脂肪酸などの要らないものを排除するということだけでなく、食べるのだったらより美味しいものを食べればいいという考え方に、あのチョコレートならたどり着けると思っています。添加物も乳製品も、砂糖も使っていないのに、なんでこんなに甘くて美味しいの?というところに。
ぜひ食べてみたいです。そういったさまざまな取り組みが視野にある中で、CLAYDも目標の中にある一つということですね。
はい、クレイを売るためだけじゃなく、世界中を循環させるということを伝えたいです。世界中で循環させれば、みんなが幸せになるんだよということを、わかりやすい形、感じやすい形、その入り口になる形で伝えようとしています。驚きがないといけないですし。一回使ったら、えっ?すごい! 一口食べたら、えっ?おいしい!(笑)というような。そういったことをずっと、どうすればみんなに伝わるかを、ずっと考えています。そしてやっぱり、楽しめるということは大事です。
羽田さんの今後の活動やアイディアに出会えるのがとても楽しみです。今日はありがとうございました。
撮影協力
CLAYD SPA AOYAMA
羽田賀恵(はだ かえ) マザーアース・ソリューション株式会社代表。
幼少期からのアレルギーや癌を患った経験から、根本的な体質改善に働きかけるアメリカ薬草学やローフード食事法、ホメオパシーディプロマを修得。長年の自然療法の実践から得た、本質的なデトックスの知識を発信していたブログやワークショップが人気を博すなか、オーガニックのローチョコレートの製造事業を開始。その後、クレイを使った「温泉を超えた入浴剤」を開発し〈CLAYD〉をスタート。現在は、クレイを用いた天然由来成分のマスクやクレンジング、石鹸、マウスケアなど幅広くボディケア商品や、スパを展開している。
羽田さんの愛読書ご紹介
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福岡伸一 / 小学館
各1100円(税込)
分解と再構成を絶え間なく繰り返し、止まることのない流れの中で一時的に保たれたある状態、それが「動的平衡」だ。著者は生命とは何か?という問いかけに、動的平衡こそが変わらないために変わり続ける生命の本質であると語る。取り換えやピンポイントな修理が可能なパーツとして身体を捉えるのではなく、天秤のような釣り合いを求める全体のバランスを重視した身体観は、最新の科学的見地をベースにしながら、ぐるりと循環し、古くからの身体観と呼応しているように見える。
福岡伸一 / 講談社
968円(税込)
今では誰にとっても身近な言葉となった「PCR検査」だが、では、PCRとはどういう意味なのか、どのような人物が何のために考えだしたものなのか?改めて本書を読み返すと、私たちの現実「コロナ禍」が、科学の目で見た時にどのようなものなのかが鮮明に浮かび上がる。止まること無く変化し続ける、動的平衡が生命だとする著者が、「生きている」ことの謎を生命を科学する現場の臨場感とともにつづる。
三木成夫 / 河出書房新社
990円(税込)
胎児の成長による形態変化を語った、代表的講演「胎児の世界と〈いのちの波〉」など、生命の意味とその形態を追い続けた解剖学者、三木成夫によるエッセイ、論文、講演集。何十億年にも及ぶ生命の進化と、まるでそれをなぞるようにして起こる胎児の成長。そして誕生後の生命活動と時間、地球の持つサイクルとの関係など、著者独自の生命観を幅広く網羅する一冊。
第三の脳
皮膚から考える命、こころ、世界
傳田光洋 / 朝日出版社
1650円(税込)
元々化学を専攻していた著者が皮膚の研究を志したのは、皮膚が自らをモニターし、判断し、元に戻るという、開かれた場所で起こる自己修復の仕組みを持つと知ったことがきっかけだった。脳がさまざまな情報を処理するように、身体のバリアである皮膚でも起きている情報処理や伝達。消化器官が脳との接続が失われても自ら食物を運ぶことで「第二の脳」と呼ばれるのであれば、皮膚も「第三の脳」であると著者は語る。皮膚の持つ機能を明かしながら、心と体に与える影響や可能性についてを探る。
生命形態学序説
根原形象とメタモルフォーゼ
三木成夫 / うぶすな書院
4059円(税別)
本書は、解剖学者、三木成夫による論文「生命の形態学」、看護テキストとして書かれた「解剖生理」、小論「解剖学とはなにか」を、一般向けに編纂したもの。「かたち」や「しくみ」「おもかげ」など、平易な言葉を使った独特の語り口による、解剖という対象をつぶさに観察することから導き出される、形態を基にした独自の身体観を知るのに最適な一冊。また後半には、著者の論を解説するために、自らが描いた驚くほど精緻な原図集が収められており、見ているだけで好奇心を刺激される。
福岡伸一、西田哲学を読む
生命をめぐる思索の旅
池田善昭、福岡伸一 / 小学館
1320円(税別)
「動的平衡」の著者、福岡伸一による哲学者、西田幾太郎をめぐる思索。対談の相手は西田哲学の研究者で、自身もまた哲学者である池田義昭。理系と文系、西洋と東洋、サイエンスとヒューマニティーズ(人文科学)、対立するかのような知恵を統合しようとする試みである、「統合学」を目指す学者たちの集いを通して知り合った二人が、難解だとされる西田幾太郎の思想について、科学者と哲学者というそれぞれの見地から語りあう。
銃・病原菌・鉄 上・下
1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド・ダイアモンド / 草思社
各990円(税別)
進化生物学者である著者は研究のために訪れたニューギニアで、ニューギニア人の青年に問いかけられる。「白人はたくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜか?」文明がそれぞれ異なる場所で、異なる速度と発展の仕方を遂げたのは、一体なぜなのか?そしてそれが及ぼす影響とは。分子生物学から言語学に至る知見を緻密に積み重ねて探る、人類史の謎。ピュリッツァー賞受賞作。
文明崩壊 上・下
滅亡と存続の命運を分けるもの
ジャレド・ダイアモンド / 草思社
各1540円(税込)
ベストセラー『銃・病原菌・鉄』(草思社刊)では人類の発展の謎を紐解いた進化生物学者の著者が、文明の衰退を語る。環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手の存在、環境問題への社会の対応 ―これら5つの要因を軸に、現在進行形で問題を抱えるアメリカのモンタナ州、イースター島やマヤなどの既に失われた文明、グリーンランドという同じ場所にたどり着きながら、社会を維持したイヌイットと終焉させたノルウェー人たちの違いなど、世界各地を調査、比較し崩壊の法則を探り出す。
エンデの遺言
根源からお金を問うこと
河邑厚徳、グループ現代 / 講談社
935円(税込)
「人間のつくったお金であるからこそ変えられる」と、代表作『モモ』で知られるファンタジー作家、ミヒャエル・エンデは言う。ファンタジー作家が日本人への遺言として残した一本のテープをもとに制作されたドキュメンタリー。そこから生まれた本書は、シュタイナーにも深く影響されたというエンデの貨幣観をとり上げながら、とらわれのない目で、お金の未来やお金の意味を常識を超えて問い直す。