Feature #13

やさしい つながり やがて・・・

私たちのからだは、独自の働きをもつ37兆個の細胞がつながり協力してひとつの生命として動いている。自然の法則がそうであるように、分裂しているようにみえるこの世界も、目に見えないレベルではつながり合い、ひとつに形づくられている。

世界の表面に現れているさまざまな今の問題は、全体とのつながりを失った、マイナスの感情や思考パターンが生み出しているとするならば、ひとつひとつは繊細で弱そうにみえる者たちが、自分らしく、生き生きとした有機的なネットワークを紡ぎだしたとき、そのエネルギーは世界を持続的に癒す光となりはしないだろうか。今回はやさしいつながりのヒントとなる本を集めてみた。


木を植えた人
ジャン・ジオノ

こぐま社
935円(税込)

たったひとりで、ただひたすらに木の実を植え続けた男がいた。時が過ぎ、その行為は荒れ地から森を甦らす結果を生んだ。荘厳ともいえるこの仕事を成し遂げた、孤高の羊飼いに学ぶところは大きい。「自分ひとりぐらいいいだろう」という自己中心的な思いを手放し、グローバルな視野で、ローカルに行動する。そんな小さな積み重ねこそ未来を変える力となる。

スピリチュアリティの興隆
新霊性文化とその周辺
島薗進
岩波書店
3080円(税込)

日本のスピリチュアリティ興隆現象を試掘的に調べたという本書。現在の宗教やスピリチュアリティがどのように広がったのか? そして、現代社会において個々人がどのようにして宗教や霊性に関わっていくのか? さまざまな方向から光をあてて考察する。

【used】嗜癖する人間関係
親密になるのが怖い
A・W・シェフ
誠信書房
1980円(税込)

人間関係、宗教、性といった潜在的なプロセス嗜癖について理解を深めさせてくれるこの本。親密さを求めているようで、実はその恐怖から”逃走”している人々があまりにも多いのだ。苦痛でありながら繰り返してしまう 「嗜癖」に至るプロセスを、実際の事例を通じ明らかにし、世界とのつながりを回復するための12ステッププログラムを提供する。

警告!
あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので精神科には注意しましょう
ウィリアム・グラッサー
アチーブメント出版

2640円(税込)

ある青年医師が、回復不可能と診断された重度の統合失調症患者と面接する機会を得る。彼は何も診断せず、何も指導せず、ただ彼女の話を聞いただけだったが、その日から奇跡的な自立的回復が始まったという。薬物療法に頼る精神医療の盲点をつき、人間にとって根源的な癒しとは何であるか、袋小路から抜け出すための真実に迫っていく。

シリーズ思想の身体 悪の巻
島薗進 編
春秋社
2200円(税込)

善であれ、悪であれ、偏った狭い思考にとらわれることは、他への攻撃や自己の分裂につながる危険を孕んでいる。私にとっての善が、あなたの悪になる可能性がある。人は多様性を受容することで、世界と柔軟な関わりが結べるのかもしれない。現代人のリアリティに寄り添いながら、新たな視点で日本の思想文化史を捉え直し「悪」と向き合う術を探っていく。

覚醒のネットワーク
上田紀行
河出書房新社
792円(税込)

たくさんの殻に囲まれた私たちの世界。ただ表面的な連帯で安心していても意味がない。本当は一人ひとりが目覚め、知的なネットワークを起こすべきだ。社会や環境に対する鋭い指摘と陥りやすい精神的逃避を警告する、目を覚ますための1冊! これほど重要なテーマを、驚くほど優しい言葉で綴るこの本は、これからの時代を生きていく私たちに必要な勇気を与えてくれる。

バックミンスター・フラーの宇宙学校
R・バックミンスター・フラー
めるくまーる
1980円(税込)

子どもは誕生したときから、総合的な能力と、自分をとりまく様々な要素とうまくやっていくための調整力を備えている。宇宙から人類に与えられた<シナジー>という知恵こそ、未来を創る鍵なのかもしれない。天才フラーの教育論。