Feature #08

からだのひみつ

おんなのからだ

もしあなたが、心や身体に不調を抱えていたら、その不協和音は、あなたに向けて送られた、何かのメッセージかもしれない。そして、もしあなたが女性なら、その不協和音は、「おんなのからだ」のリズムを無視していることから起こっている可能性がある。 「おんなのからだ」は、自然と連動しながら動いている。そのリズムに目覚めたら、不協和音は消え去り、想像もできないほどの「力」が、自分の内に宿っていたことに気づくだろう。

日本の現代に生きる女性は、心と体に多くのトラブルを抱えている。しかし、また日本の女性は、世界の中で見ても、幸運に恵まれていると言える。それと言うのも、「おんなのからだ」のメカニズムについて、非常にわかりやすい形で教えてくれる本が続々と登場しているからだ。その原点とも言えるのが、野口整体の創始者、野口晴哉による『女である時期』という本だ。女性の身体の特徴、一生に起こる変化について書かれたこの本は、西洋の医学ではとうてい及ばない、卓越した視点を与えてくれる。体の波や、出産と骨盤の関係、体構造の違う男女の更年期の過ごし方などを解説。まずは、ご一読をおすすめする。

その知恵を、現代の女性に向けて、よりわかりやすく、より具体的にアドバイスしてくれる本をご紹介しよう。『女性のためのじぶんで治る整体法』は、肩こり、生理痛、冷え性など、女性の体の悩みを解消する整体法を紹介する。もともと体中にある<治る力>に気づくためのヒントや具体的な動作をイラストで解説し、春、夏、秋、冬に応じた体の営みが学べる。
そして、「骨盤」の動きに焦点をしぼって紹介している『骨盤にきく』。骨盤は、体内リズムや変化に応じて常に変化している。その「骨盤」を通して身体の声を聞き、「ゆるめる」ことで、気持ちよく眠り、集中力を高めることができる。疲れやすさ、不眠、摂食障害、生理痛、孤独感に悩んでいる人に、簡単で効果の高い調整法を教えてくれる。『女は毎月生まれ変わる』は、月経血コントロールを行うための、ゆる体操を紹介している。女性のからだは男性より優れている、と言う高岡英夫の視点も興味深い。

また、『月のリズムセラピー』では、月と生理のリズムで暮らすと心も体もすごく喜んだという著者が、あれこれ試して見いだした女性のための28日間の生活術。月のサイクルと女性の関係を、ヨガ・アロマ・NLP・マクロビオティックなどの知識も絡めながら基礎から紹介。心や体に悩みがあっても、女性は毎月生まれ変わることができる。

ここまで、個人としての女性のからだに注目してきたが、本当は、関係性抜きに「おんなのからだ」を語ることはできないと言えるだろう。こころとからだは、「誰かにさわられたい」「誰かをさわりたい」という、シンプルで問答無用の欲求を持っている。それは、本能に基づいた原始的な欲求でもある。

『人は皮膚から癒される』 は、身体心理学者の著者が皮膚から癒す、癒される、幸福に生きるためのメソッドを探る。その考察は、スキンシップの効果や療法としての「触れる」ことについてだけでなく、皮膚をひとつの境界線と捉え、なわばり感覚や人間の心理的境界、人間関係の結び方にまで及び、視野が広がる。人間同士が直接触れあうことの大切さを思い出させてくれる。

そして「さわりたい」欲求の究極の形としてセックスがある。自然な形で行われるセックスは、互いに快感を与えるだけでなく、体をゆるめ、満ち足りた心を生み出す機能を持っている。『愛のヨガ』は、セックスの持つパワーとエッセンスの謎を解く古典とも言える本。「内なる異性」をはずし、純粋女性と純粋男性としてのセックスを提唱する。著者のアドバイスによって、多くの夫婦が満ちたりた関係をとり戻したという。

『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』は、日本人の性生活の実像を庶民のあいだに分け入り、生き生きとした語り口調で記録した本である。夜這いという伝統的風習の元に、男も女もおおらかに性に関わっていたことが伝わってくる。かつての日本に、コンプレックスや抑圧を解放する柔軟なシステムがあったことを教えてくれる。
そして最期に、女性にとって、もっとも神秘的で豊かな体験を与えてくれる出産について。『自然出産の智慧』は、世界の500の民族に伝わる、素晴らしいナチュラル・バースの智慧を集大成。病院出産が忘れたお産のわざの数々を紹介する。 特別な医療処置や複雑なテクニックを必要としない、自然でシンプルな出産方法を知ることができる。どんな状況にあっても、目の前の一歩を 踏み出し、子どもという未来を生み出す女性の強さ、賢さを、ここに見いだすことができるだろう。

生きていることは、それだけで神秘である。その神秘を、十分に感じながら生きることができるとしたら、人間の一生は、豊かさに満ちあふれたものになるだろう。その神秘は不可思議で、限界の無いエネルギーの流れだ。個として分断され、自分を閉じている限り、そのエネルギーに触れることはできない。女性の「からだ」は生まれながらにして与えられた、ひとつのアンテナと言えるかもしない。


女である時期
野口晴哉
全生社
2200円 (税込)

妊娠―出産が可能な時期を、「女」である時期とみる野口整体の視点による女性論。生殖器が体内にある女の身体は、機能の影響の波が出やすい。体の波や、出産と骨盤の関係、体構造の違う男女の更年期の過ごし方などを解説。実践に基づいた、生きるための知恵。非流通本。

女性のためのじぶんで治る整体法
自然な体をとりもどす
野村奈央
エムオン・エンタテインメント
1571円 (税込)

野口整体を基本に、肩こり、生理痛、冷え性など、女性の体の悩みを解消する整体法を紹介した本。もともと体中にある<治る力>に気づくためのヒントや具体的な動作をイラストで解説し、春、夏、秋、冬に応じた体の営みが学べる。

骨盤にきく
気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門
片山洋次郎
文藝春秋
583円 (税込)

身体は、体内リズムや変化に応じて常に自分自身で調整する。それが顕著に表れるのが「骨盤」だという著者。「骨盤」を通して身体の声を聞き「ゆるめる」ことで、気持ちよく眠り、集中力を高めることができる、誰でもできる整体法。

女は毎月生まれ変わる
からだと心が元気になる「月経血コントロール」ゆる体操
高岡英夫、三砂ちづる
ビジネス社
1100円 (税込)

現代の女性が忘れてしまった知恵「月経血コントロール」を初公開!エクササイズと呼吸法によって月経が快適に過ごせるようになり、様々な不調が改善される。からだと心が元気になる「月経血コントロール」ゆる体操。

月のリズムセラピー
女性の心と体を整える28日間のセルフケア・ブック
城谷朱美
日貿出版社
1650円 (税込)

月と生理のリズムで暮らすと、心も体もすごく喜んだという著者が、あれこれ試して見いだした女性のための28日間の生活術。月のサイクルと女性の関係を、ヨガ・アロマ・NLP・マクロビオティックなどの知識も絡めながら基礎から紹介。心や体に悩みがあっても、女性は毎月生まれ変わることができる。

人は皮膚から癒される
山口創
草思社
1430円 (税込)

身体心理学者の著者が皮膚から癒す、癒される、幸福に生きるためのメソッドを探る。その考察は、スキンシップの効果や療法としての「触れる」ことについてだけでなく、皮膚をひとつの境界線と捉え、なわばり感覚や人間の心理的境界、人間関係の結び方にまで及び、視野が広がる。

愛のヨガ
ルドルフ・フォン・アーバン
野草社
2200円 (税込)

セックスは、肉体的な行為であっても同時に精神的交流でもある。真に満ち足りた経験を得るための考え方と実践方法を説く本。

夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
赤松啓介
筑摩書房
1320円 (税込)

日本人の性生活の実像を庶民のあいだに分け入り、生き生きとした語り口調で記録した名著。「夜這い」という独自の性文化。

自然出産の智慧
非西洋社会の女性たちが伝えてきたお産の文化
ジュディス・ゴールドスミス
日本教文社
2723円 (税込)

特別な医療処置や複雑なテクニックを必要としない、自然でシンプルな出産方法とは? アフリカ、アジアなど非西洋圏の文化に伝わる、伝統的な出産の智慧を学び、安全で豊かなお産を行なうための本。