vol.0736

2021年3月 満月のたより

心で旅を

– 心で旅を –

世界が光でいっぱいになり、新しいエネルギーを感じる春。

輝く世界に誘われて

どこか素敵なところへ飛び出したくなる気持ちが湧いてきそうです。

もしそれが、叶わない状況なら、
本の中の旅へと出かけてみるのはいかがでしょうか。

まずはゆっくりとした時間を確保。
そして、可能であれば、
選んだ本にぴったりのアロマか飲み物を準備して、深呼吸を1回。

表紙をめくって旅へと出かけましょう。

想像力を発揮して、いざ別世界へ。

日常から解き放たれた心に新しい風が吹いてくるかもしれません。

ITEM

me time
じぶんとつながる北欧の旅
西澤律子 / いろは出版/ 1760円(税込)

ふと目にした言葉に導かれて、教師を辞めて世界へと旅立った著者。そこは、ゆっくりと流れる時間の中で、自分のありのままの感覚をよみがえらせることのできる場所だった。まるで深呼吸するようにページをめくれば、なぜだか懐かしい北欧の景色とメッセージに心が和む。

Dear Earth
高砂淳二 / パイインターナショナル / 2640円(税込)

地球の見せる多様な表情が収められた作品集。溶岩の描く曲線の連なり、隆起した土地が見せる切り立つ壁面、風や水が生みだす土地それぞれにユニークな造形や一瞬の風景。地球自身が生きて活動している事実が、私たちの目の前に存在している。

地球の食卓
世界24か国の家族のごはん
ピーター・メンツェル、フェイス・ダルージオ / TOTO出版 / 3080円(税込)

世界24か国30家族の食卓を取材、1週間分の食材600食と共にポートレイトに収めた、現代の「食」の世界地図を描く壮大なプロジェクトだ。なんと言っても、日々食べているものこそ、もっともリアルに、その国の人の生活、価値観、経済状況を表している。半端な社会評論などよりもはるかに、その国のことが実感としてわかってくるだろう。そして何より、見ているだけで本当に楽しく飽きない。他の国と比べて、日本の食卓の特徴もよくわかる。食を通じて世界を知る写真集。

ワールド・トレイルズ
世界は歩いてみたい「道」にあふれている
ゲシュタルテン 編 / グラフィック社 / 3190円(税込)

日常から離れた旅先で出会う道は、人を惹きつける。それは、そこに何かのストーリーを感じるからかもしれない。本書は、世界の絶景名トレイル32コースを写真や地図、見どころ情報などで紹介。トレッキングの面白さと共に、地球の美しさを感じさせてくれる見ごたえある1冊。

日本の巨石
イワクラの世界 ROCK SANCTUARIES IN PRIMEVAL JAPAN
須田郡司 / パレードブックス / 3080円(税込)

聖地には、古代から人間によって崇められ、信仰されてきた石や岩が数多く残る。石に魅せられ、世界を旅しつづける写真家が、3年間の日本石巡礼で出会った、聖なる石たちのポートレート。その圧倒的な存在を感じてみてはいかがだろう。

たもんのインドだもん
矢萩多聞 / ミシマ社 / 1100円(税込)

14歳のころから1年の半分以上をインドで過ごした著者。その著者の素朴で柔らかな視線から生まれたエッセイは、インドの飾らない日常を映し出す。ふっと口元が緩んでしまい、いつの間にか肩の力が抜けているような、楽しくて優しい、ブレイクタイムにピッタリな本。

旅の効用
人はなぜ移動するのか
ペール・アンデション / 草思社 / 2420円(税込)

スウェーデン、フィンランド、デンマークで発行されている人気旅雑誌“Vagabond”。Vagabondとは放浪することや、放浪者そのものを指す言葉だ。この雑誌の共同創始者である著者は10代から放浪のような旅を続けてきた。ある種の人間が、仕事があり家がある母国を離れ、移動したい欲にかられるのはなぜなのか。そして放浪先で、様々な理由で定住の地を持たない人たちと出会うこともある。大げさな哲学というよりは、家を離れたことがある多くの人が様々な場面で感じるであろう、気づきや感情についての静かな考察に満ちた旅のエッセイ。巻末には旅を誘う旅行記リストがついている。実際に今いるこの場所を離れることができなくても、移動についての文章を読むことで、その場の制約や要請で硬くなった心を和らげることは可能かもしれない。

翻訳できない世界のことば
エラ・フランシス・サンダース / 創元社 / 1760円(税込)

よろしくお願いします」「お疲れ様でした」。普段使う言葉でも、いざ外国語で表現しようとすると、一言では置き換えられず困ってしまう。心や感情は人類共通だが、本書に集められたそれぞれの文化に根差した独特の言葉は、新しい世界の切り取り方や感じ方を読者の心に生み出す。

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