vol.763

2022年5月満月のたより

大麻がつなぐ過去・現在・未来


大麻がつなぐ過去・現在・未来

はるか昔、神話の時代から邪氣を祓い清める聖なる植物として神事に用いられてきた大麻(おおあさ・おおぬさ・たいま)は、日本人の衣食住を支える農作物として稲作以前から栽培され、茎・葉・花・実・根まで余すところなく活用されていました。近年、深刻化するエネルギー問題や環境問題への関心が高まるなか、化石燃料に代わるサステナブルな資源のひとつとして大麻の有用性が国内外で見直されています。

足尾山麓の南側に広がる栃木県鹿沼市は日本一の大麻の産地として知られており、その栽培面積は全国のおよそ70%を占めています。この鹿沼市で麻農家8代目となる大森芳紀さんが設立した野州麻紙工房では、大麻を種から栽培し、収穫、湯掛け、麻引き、精麻干しまでを一貫して手掛けています。就農前は立体造形の世界で活躍していた大森さんは、失われつつある麻文化を次世代に継承するため、大麻という素材がもつ可能性を形にすべく日々研究と実験を重ねているそうです。時代が移り変わるなかで人と大麻の関係が変化しつづけるように、大麻から取り出した3種類の繊維「精麻(せいま)・麻殻(おがら)・麻垢(おあか)」は、伝統的な手法と大森さんが独自に開発した加工技術を駆使して、現代の生活スタイルに合った美しいアート作品や日用品へと姿を変えます。

今号では、野州麻紙工房の職人さんの手仕事によって生み出された、日常を清々しく彩る国産大麻アイテムをご紹介します。麻農家という生産者の立場から、大麻がつなぐ過去・現在・未来についてお話しいただいた大森さんのインタビューは近日配信予定です。どうぞお楽しみに。


“今みたいに物がない縄文時代に、麻はより早く成長して、食べ物にもなり、お魚を釣るための糸や服も作れた。人間が命をつなぎ、明日を生きるために、麻を神聖に思うのは自然なことです。それぐらい麻という植物はいろんなことができる。だから今、僕たちが「いったい何屋さんなの?」って聞かれるくらい、いろいろと加工できちゃうんですよね(笑)。コロナ禍になって少しのあいだ輸送が止まっただけで、木の値段なんて3倍になる。日本では昔から麻を使っています。これからを考えたら、島国の日本にこれほど合っている植物はないんじゃないかって思います。今の技術を使えばバイオプラスチックにもなるし、建材にも紙にもなります。二十数年育てた木材を紙にするよりは、110日で取れるパルプの方がよっぽど良い。まぁ、ペーパー時代じゃなくなってしまうかもしれないですけど(笑)。神事や伝統工芸という大切な部分もありますが、普通の日常生活でも、これから先、もっともっと身近になってもらいたいと思いますね。メディアで悪いことばかり取り上げられて目立ってたのが、ここ最近は少しずつイメージが変わってきているのはうれしいですね。”

– 野州麻紙工房 代表 大森芳紀さんインタビューより –

ITEM

精麻 せいま
1枚 660円(税込)

野州麻紙工房で栽培される野州麻(品種:とちぎしろ)と呼ばれる銘柄の精麻は、古くから優れた品質で知られています。この野州麻から取れる精麻のなかでも、最も光沢があり薄くしなやかな特等精麻です。1枚の精麻は長さが約170~180センチあり、とても薄くて割きやすいため、細かい作品作りに向いています。このまま神棚や車の中に置いて、お麻もり(おまもり)としてもお使いいただけます。

精麻のより紐 せいまのよりひも
1650円(税込)

厳選された高品質の特等精麻をよった「より紐」。魔を除けるお麻もりとして、またネックレスの紐やお飾りなどにご利用いただけます。太さ約2ミリ、長さは80センチと長めによられていますので、お好みの長さに切ってご使用ください。

麻のふさ
1430円(税込)
サイズ:縦17センチ×横1~2センチ

古くから魔除けや祓い清めの神具として用いられてきた大麻(おおあさ)は、神社の注連縄や横綱の注連縄、岩田帯、共白髪など神事や冠婚葬祭といった人生の大きな節目に使われる、日本の伝統文化にとって欠かすことのできない植物です。また麻は種を蒔いてから収穫までが110日と成長が早く、大きく根を張ることから、商売繁盛や子孫繁栄を願う縁起物として親しまれてきました。この商品は種から育てた野州麻で作ったお麻もりです。玄関やちょっとしたスペースにも飾りやすいコンパクトサイズ。

麻殻 おがら 小・大
小 660円(税込)・大 1100円(税込)

小サイズ:長さ 16センチ(約40本入り)
大サイズ:長さ 88センチ(8~15本入り)

発酵した麻茎の皮を剥いだ芯の部分、麻殻。古来より祓い清めの神具として用いられてきた大麻は、燃やすことで空間を清浄にするとされてきました。ご先祖様をお迎えするお盆の迎え火、送り火として焚くのはもちろん、茎の中は空洞になっているのでヒンメリなどのクラフト材料や生け花などのアクセントとしてもお使いいただけます。無数の微細な穴が空いている多孔質の麻殻は、とても軽く、調湿性や消臭力に優れているため、建築材としても注目されています。室内の余分な湿氣を吸収し、乾燥時には取り込んだ水分を放出する天然のエアコンとして、そのまま花瓶や陶器に挿して飾るのもおすすめです。

麻香パウダー
880円(税込)
[内容量:50g]

日本の寺社などで行なわれる火祭りでは、成熟した麻の茎芯である麻殻を束ねて「たいまつ」にして、火を灯します。その炎と煙は場を清め、邪氣を祓うと伝えられています。この方法を家庭でも使いやすいように麻殻をパウダー加工しました。耐熱性のあるお皿などに盛り塩のように置き、先端に火を付けてお使いください。

麻香 杉の香
1320円(税込)
[内容量:20個]

「麻香パウダー」に、野州麻紙工房と古くから付き合いのある神社からいただいたというご神木の杉の葉を香料として調合したコーン形のお香。石やアクセサリー、空間の浄化にご活用いただけます。

麻殻炭スティック Long
1320円(税込)
[長さ:約25センチ(6~10本入り)]

種から栽培した野州麻の麻殻を野州麻紙工房で炭にした100%国産の麻炭です。麻殻炭はお部屋の余分な湿氣を吸収し、そして乾燥時には湿氣を放出します。インテリアとして飾っておくだけで室内の空氣を快適に整えてくれます。水を張った花瓶に麻殻炭スティックを入れて飾ると天然の加湿器になり、水をアロマ水に変えれば天然のディフューザーとしてご利用いただけます。

ぽかぽか 麻炭&黒糖生姜パウダー
1188円(税込)
[内容量:60g]

お湯で溶かして「麻炭&しょうが湯」、紅茶に入れて「麻炭&ジンジャーティー」など、ドリンクやスムージーに加えるだけで手軽に美味しく腸内クレンズを実践いただけます。麻炭は無数の小さな穴が空いた多孔質性で、この穴が腸にこびりついた老廃物などを吸着し、排出する働きがあるため、腸活のスーパーフードとして人氣を集めています。麻炭の穴の数(=吸着する力)は備長炭のおよそ4倍、竹炭の1.6倍と言われています。野州麻の麻殻を工房で炭にした100%国産麻炭に加えて、生姜は発汗促進、吐き氣を抑える、抗菌、アンチエイジング、デトックス作用など様々な効果効能があり、黒糖は各種ビタミンや鉄、カルシウム、カリウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。免疫力を高める生活習慣のひとつとして、腸内環境を整える麻炭の力を取り入れてみてはいかがでしょう。

麻紙 まし 4色セット
1320円(税込)
[白(精麻の麻紙)・黄(麻殻の麻紙)・ピンク(茜染め麻紙)・青(藍染め麻紙)]
[A4サイズ(210ミリ×297ミリ)]

野州麻紙工房の大森芳紀さんが麻という植物に魅せられ、麻をもっと身近に感じて欲しいと考案したオリジナル商品「麻紙(まし)」。麻茎の繊維から作った手漉き麻紙の4色セットです。どの麻紙も触るとツルツルした面とザラザラした面がありますが、表裏はありません。お好みでお使いください。

麻炭染め ブックカバー
2200円(税込)
[サイズ:縦15センチ×横10.5センチ(文庫本サイズ)]

昔、神社などで紙衣として用いられた布のように強い紙「紙布」。多少の水に濡れても破けることはありません。この紙布を麻の繊維(麻垢)で再現した野州麻紙工房オリジナルの「麻紙布(ましぬの)」で作られたブックカバーです。麻炭染めは黒色というよりグレーに近く、やさしく、あたたかみを感じる色合いです。一枚ずつ手漉きで紙漉きをしているため、同じ商品でも色の出方が異なります。大麻の繊維は縁起物であり、魔を除けるとも言われています。日常使いはもちろん、贈り物にもおすすめです。

麻紙 一輪挿し (茜染め・藍染め・柿渋染め)
各880円(税込)
[サイズ:長さ23センチ(麻紐含む)×幅2センチ]

野州麻紙工房オリジナルの「麻紙布」を茜、藍、柿渋で染め上げて作られた一輪挿し。付属の瓶に水を入れ、お好みの生花をお楽しみください。

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