Vol.865

2026年7月 満月のたより

世界を旅して 出会うもの

Photo by Allauddin Miajee on Unsplash

今月も皆さまに素敵な出会いをお届けできれば幸いです。

2026年7月 満月のたより

世界を旅して 出会うもの

どこか遠くに行きたい。
夏は、そんな気分になる季節である。

住む場所を遠く離れることには、それ相応の準備とエネルギーがいる。
長い旅に出る、あるいは仕事を辞めるとなれば、なおさらだ。

それでも自分の内側の声に従って、実際に荷物をまとめ、未知の土地へ飛び込んだ人たちがいる。
見るもの聞くものすべてが新鮮な土地で、思いがけない出会いや価値観に触れながら、彼らは何を感じ、何を思ったのか。

一見外へと向かう旅だが、それは同時にこれまで知らなかった自分に気づく、内へと向かう旅でもある。その気づきの中身は、旅した人の数だけ違っている。
その追体験こそが、旅行記を読む醍醐味だろう。
今回は、そんな旅を経て、新しい自分に出会った人々の本を紹介する。


しばらく考えていると、もやもやとイメージが浮かんできた。そうだ、バウルだ。バウルの歌を聴きに行く、というのはどうだろう。その考えは、意外なほどしっかり心を捉えた。最後の出張地での小さなリベンジだったのかもしれないし、私は本当にバウルが見たかったのかもしれない。とにかく行こう。そう決めた頃には、「記録的な猛暑」と叫ぶいつもの日本の夏がすでに終わろうとしていた。

– 川内有緒 - 『バウルを探して〈完全版〉』より


[Life / 旅・移住]

バウルを探して〈完全版〉

川内有緒 文、中川彰 写真 / 三輪舎
2530円(税込)

バングラデシュのベンガル地方には、精神修行と音楽演奏に生きる行者、バウルがいる。その伝統は師から弟子への口伝でのみ受け継がれ、歌や哲学はタゴールやボブ・ディランにも影響を与えたという。彼らの起源は定かでなく、思想や歌に込められた深い意味も、修行者以外には秘密とされる。本書は、そんなバウルの謎を追う旅を綴ったノンフィクションであり、第33回新田次郎文学賞受賞作。単行本、文庫本を経たこの完全版には、同行した写真家による旅のカラー写真を100ページにわたって加え、若松英輔による解説も収録。矢萩多聞によるこだわりの美しい装丁も、この本の魅力をいっそう引き立てている。


[Life / 旅・移住]

インスピレーションは波間から
自然の教えを知る、シーカヤック地球紀行

平田毅 / めるくまーる
1980円(税込)

シーカヤックに出合い、自分の直観に従いとことん追求してみたいと始まった海の旅。身体の一部のようにシーカヤックを操り、フィジーや南インド、ザンジバル島など辺境の島々を漕いでゆく。感覚と知識、洞察力を駆使して自然現象を読み、身体知で捉えた世界。海洋民族の歴史、旅の途中で湧き上がる直観、自然観。海と音楽の関係性などが、感性豊かな描写と小気味いいリズムで語られる紀行エッセイ。読み終える頃には、自分もまた世界をこの身体で感じてみたくなるはずだ。


[Art / エッセイ]

旅をする木

星野道夫 / 文藝春秋
770円(税込)

写真家の星野道夫は、生涯を通して、アラスカという地に身も心も捧げていた。荒涼とした自然に囲まれてはいるが、そこで生を営む人や動物には、数々の物語が存在する。そんなアラスカの暮らしの中で、出会いや気づき、想いについて綴った小エッセイ33編を収録。素朴さと情緒に溢れる言葉には、心を潤す温もりがある。文庫版。


[Art / 文学・詩(その他国)]

アルケミスト
夢を旅した
少年

パウロ・コエーリョ / 地湧社
1601円(税込)

スペインの羊飼いの少年が、夢で見た宝物を求めて旅に出る物語。様々な出会いと別れ、そして錬金術師の導きによって、彼は人生の大いなる秘密を手に入れる。少年の姿を通して夢を追い求める生き方を描き、読む者に勇気を与えてくれる作品。温かみのある装画のハードカバー版で、贈り物としても人気の高い一冊。


[Society / 民族・文化(北米)]

ソングライン

ブルース・チャトウィン / 英治出版
3080円(税込)

アボリジニの先祖たちは、天地創造の旅の記憶を歌に残した。その歌は、過酷な大地で生き抜くための地図であり、多様な部族が交流、共存するための術であった。「放浪」の意味を問い、世界をさすらいつづけた著者が、ソングライン(歌の道)を辿って見出した答えとは?


[Spiritual / スピリチュアルライフ]

今すぐ駆け出すように旅に出たら

森田富雄 / コスモス・ライブラリー
1980円(税込)

内なるメッセージのままに、自分自身のハイアーセルフに出会うため、インドへの瞑想修行へと旅立った著者のエッセイ。旅の途中で遭遇する個性豊かな人々とのエピソード、ヒマラヤの奥深くに佇むサドゥーの小屋に身を寄せ、瞑想を重ねた日々、そしてついに自らのハイアーセルフへと行き着くまでの道のりが、味のある写真とともに綴られている。