2021年12月

新月のたより

年末特別号

『ブッククラブ回 2021年の10選』

ブッククラブ回 新月のたより特別号をお届けします。

今号は『ブッククラブ回 2021年の10選』と銘打ち、
今年、スタッフの心を捉えた書籍10冊をご紹介します。

 心のもち方、心身の健やかさ、
身近な楽しみ、社会への取り組み、
古代からの智恵、精神の探究、新たな視点、未知への好奇心、
そして、心を動かす物語など、

2021年、スタッフがもう一度改めてお薦めしたい、
今年中に是非紹介しておきたい!と感じた1冊に、
いつもの書籍紹介プラス、選者からのひと言を添えました。
今年の総括や新年の読書に、是非お役立てください。

現在もコロナ禍での暮らしが続いていますが、
新しく迎える2022年は平和で安全な年になるよう、
ブッククラブ回スタッフも心から願っています。

ITEM

Mind/セラピー・心理療法

マンガでやさしくわかるオープンダイアローグ
向後善之、久保田健司 他 / 日本能率協会マネジメントセンター / 1760円(税込)

フィンランドで生まれた「オープンダイアローグ」とは、開かれた対話による、心理療法の治療だ。入院や薬物投与はできる限り行わないかたちで、病や障害を抱えている本人、カウンセラー、医師だけではなく、家族を含めたすべての関係者をまじえて、ただひたすらに「対話」をする。一見、遠回りに思えるこのセラピーが、うつ病や統合失調症、引きこもりなどの治療に大きな成果をあげるという。

「オープンダイアローグは対等性と多様性が特徴です。心理療法の本ですが、集団の中にいながらも自分の居場所を感じさせてくれる考え方は、家庭や職場などあらゆる人間関係の場で応用できそうです。」

Mind/セラピー・心理療法

サイコマジック
アレハンドロ・ホドロフスキー / 国書刊行会 / 4180円(税込)

健やかな心のバランスは意識と無意識の良好な関係によって保たれるもの。しかし社会生活を営むなかで、無意識の心的エネルギーを排除しようとする意識の働きが過剰になりすぎると、無意識に抑圧された感情や欲求は出口を求めて暴れ出し、人生の危機を招くこともある。人間のタブーに触れる強烈な映像作品で集合的無意識にアクセスする鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督による本書は、肉体を介した行動によって意識と無意識を和解させ、心の全体性を回復する斬新なアートセラピーを提案する。

「仮面を脱ぎ捨て、内なる狂気を抱擁する。無意識の大掃除におすすめです。」

Body/ヒーリング

コアライトヒーリング
究極の光の手 上、下
バーバラ・アン・ブレナン / 河出書房新社 / 各2750円(税込)

人体を包む生体エネルギーが、実際の肉体上の不調と大きく関わっていることを発見、科学的な見地から解説、紹介した前著『光の手』『癒しの光』からの待望の新刊。人生を創造するためのエネルギーは、自分のコア(核)にあり、それを癒し解放する方法を実践的に学べる。著者自身の霊的な体験も多く紹介され、興味深い。

「これを待っていた! 個人的にヒーリングの名著だと思っています。」

Body/感覚・五感

瞬間は勘と愛なり
混迷の時代を生き抜く力
桜井章一 / さくら舎 / 1540円(税込)

溢れかえる情報、刻々と変わりゆく世界。生きることは、決断と選択の連続である。麻雀の世界で20年間無敗の伝説をもつ著者は、ここ一番の大勝負で本領を発揮するには、水や風のように柔軟な心持ちと身体感覚が不可欠だという。物事の本質を見抜く「勘」の育み方を伝える。

「しなやかさ、柔らかさ。自然体で生きることの極意。」

Society/民族・文化(日本)

日本異界図典
朝里樹 監修 / ジー・ビー / 1980円(税込)

「遥か昔、人々は人間界の外側には闇の世界が広がっていると考え、それを異界と表現した」。異界は畏怖の対象から、江戸時代には大衆娯楽の題材に、現代ではその気配を感じることで生活に彩りを与えてくれるものともいえる。日本人は古くから異界との境目を大切に生きてきた。それは身の回りのあらゆるものに今も静かに潜んでいる。

「『異界』の印象を変えてくれる一冊。私たちが普段生活するありとあらゆるところに、実は異界との境目があり、異界は怖いものではなく、感じることで生活を豊かにするものかもしれません。」

Society/社会

精霊に捕まって倒れる
医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突
アン・ファディマン / みすず書房 / 4400円(税込)

タイトルでもある「精霊に捕まって倒れる」とは、モン族の言葉でてんかんの症状を言い表す言葉だ。戦乱に追われ、ラオス、タイを経てアメリカにたどり着いた難民である患者の家族達、そしてアメリカで教育を受け、経験を積んだ医療従事者達。言葉の大きな違い以上に、両者の文化と経験の間には想像を超える深い隔たりがあった。上手く進まない治療中に実は何が起こり、それぞれが何を思っていたのか。著者の丁寧な聞き取りによって、両者の視点が明かされていく。アメリカでの刊行は1997年。以降、医療以外の幅広い分野でも本書は読み継がれている。異なる文化が出会う場所で発生する、お互いへの理解し難さがもたらす消耗。それを乗り越えた先にある、共生の可能性を探るための必読書。

「『いつか分かり合えるだろう』という生半可な期待を粉々に打ち砕くほど強烈な文化の衝突が描かれ、だからこそ、多様性という言葉を現実のものとするために何が必要であるかを考えさせる、力強さと深い思いやりを感じる一冊です。」

Sprit/スピリチュアリズム

いよいよはじまる、皇の時代
天縄文理論はどのように生まれたのか
小山内洋子 / エムエム・ブックス / 2200円(税込)

宇宙物理学研究家の故・小笠原慎吾が構築した理論によれば、今は2500年周期の時代の変わり目だという。新しい「皇の時代」は、動くこと働くことにブレーキをかけ、人生を楽しみながら、ゆっくりのんびり「樂しく生きる」時代になるそうだ。すでに見られる変化の兆しや、魂職(天職)を見つけるアドバイスなども書かれた一冊。

「新しい時代の変わり目にわくわくした気持ちになり、インスピレーションが湧く本。ブッククラブ回でも多くの方に購入いただいた一冊です。」

Sprit/スピリチュアルライフ

内なる力が目覚める! 癒しのマスター・キー
アラン・コーエン / ナチュラルスピリット / 2530円(税込)

世界的なライフコーチであるアラン・コーエンが、長年積み上げてきた癒しについてのマインドの在り方やスキルを伝える本書。そこから引き出される自分自身を癒す内なる力は、いつの間にか身に付けてしまった不必要な思い込みを解放し、健康面や人間関係、経済面などにも影響を与え、より良い人生へと導いてくれるだろう。

「気づきと癒しにより内なる力を呼び覚まして、あらゆる面での豊かさを受け取れるようになりますように。」

Thought/哲学・思想(東洋)

ヨーガ・ヴァーシシュタ
至高の真我
スワミ・ヴェンカテーシャーナンダ / ナチュラルスピリット / 4070円(税込)

ラマナ・マハルシが真我実現のための書物として、特に重要視した本で、アドヴァイタ・ヴェーダーンタの金字塔とも呼ばれる聖典。聖仙ヴァシシュタが若きラーマ王子に教えを説く対話形式で書かれており、物語も多く登場する。毎日少しずつ読み、その内容について黙想することが勧められており、見開き半ページほどの一日分の文章の始めには、番号が振られている。最初は理解できなくとも、止まらず読み進めていくうちに明確になっていくだろうというヴァシシュタの言葉が探求者の背中を後押ししてくれる。

「どのように霊的な進化を達成するのかを理解するのに役立ちます。」

Art/絵本

シンデレラ
自由をよぶひと
レベッカ・ソルニット 作、アーサー・ラッカム 挿画 / 河出書房新社 / 2200円(税込)

心優しく美しい主人公が、恵まれない境遇から他者によって救い出してもらい、幸せになるといった物語の定型からは外れている。主人公のみならず、登場人物たちがそれぞれ自分の本当の望みを認識し、本来の姿に変容していく様は、目の前の景色を明るく開けたものにし、自由の価値をしみじみと感じさせてくれる。

「登場人物たちが、それぞれに見出す自由の形に心が躍ります。」

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