meeting with remarkable people #No14

和尚(ラジニーシ)

1931 - 1990

インド生まれ。精神世界のグルとして世界中に弟子を集める。アメリカ、オレゴンにコミューンを作ったが後に国外退去となる。晩年はインドのプーナで活動を行った。

「醒めていなさい
<行為>と<行動>の違いを感じとるのだ
そして<行動>があなたをとらえたとき

──実際のところ、それは憑依と呼ばれるべきだ
<行動>が幽霊のようにあなたに取り憑いたとき

──行動というのは実に幽霊だ
それは過去からやって来る
それは死んでいるのだ

その<行動>に取り憑かれて
あなたが熱病的になってしまうそのとき
もっと醒めること
それがあなたの為し得るすべてだ
それを見守ること」

– バグワン・シュリ・ラジニーシ -『存在の詩』より

日本で「精神世界」という言葉が出始めた頃、かなりの広範囲でラジニーシという人物の影響があった事をご存じだろうか? カウンターカルチャーの流れからニューサイエンス、ニューエイジ、各種の心理療法、ボディワークなどのムーブメントを牽引した日本人のリーダーの中には少なからずラジニーシの弟子がいた。直接の弟子にならなくとも、彼の『存在の詩』などの著作に衝撃を受けた日本人は多かった。絶大な影響力を持ったカリスマ、ラジニーシ。その背景には様々なスキャンダルも存在している。今回は、日本の精神世界史を語る上で避けては通れない、ラジニーシの光と影に目を向けてみたいと思う。

1931年、インド中央部の小さな村に生まれる。本名チャンドラ・モハン・ジャイン。ジャイナ教徒の一家に生まれた彼は、幼い頃から特異な性質を示し若くして催眠術を習得していた。20歳の時、ジャバルプル大学に入学。その後、サガール大学で哲学の修士号を取得。その後いくつかの大学で哲学の講師を勤める。多くのグル達と比較してもラジニーシの知識の広さ、インテリジェンスの高さは群を抜いている。

1966年、35歳の時、彼は教職を退き、遊説を始める。伝統的な宗教の色濃いインドにあって、彼の思想はラディカルで斬新なものだった。インド国内では反感を買ったが、当時、欧米ではヒッピームーブメントの最盛期。先進国の若者や知識人は彼の類い稀なカリスマ性と斬新な思想、そして卓越した雄弁さに惹きつけられ、彼をグルと仰ぐようになる。彼は自身の称号を「バグワン・シュリ」とし、デカン高原の学園都市プーナにアシュラムを開く。東西の新理論に挑戦した生活様式の実験場、フリーセックスの実践など、革新的な活動により、その名は世界に轟く。

1981年になると、ラジニーシはインドを追われるようにして、アメリカのオレゴン州に居を移す。東京都ほどの広大な土地を購入しそこにコミューンを作るためだ。コミューンの最盛期、ラジニーシの元には1億ドル以上という莫大な資産が集まった。弟子達はサニヤシンと呼ばれ公称50万人と言われた。しかしこの頃から、様々な問題が発生する。ドラッグやセックスにまつわるトラブル、陰謀画策、訴訟、はては高弟の殺人容疑まで。そのどこまでが事実なのかはわからないが、コミューンの質は確実に変化していたようだ。かつて知性派が中心だった弟子よりも、ドラッグやフリーセックスに惹かれて集まってきた若者達。笑気ガスを吸い、高級外車を乗り回すようになったラジニーシ自身。古参の弟子達は次々にコミューンを去り、組織は混乱していった。そして1985年、ついにアメリカ政府から偽装結婚や不正入国等の告訴をされ、罰金刑とともに国外退去を命ぜられる。

各地を転々とした後、再びプーナに戻ったラジニーシは、アシュラムを再開。尊称は次々と変えられ、最終的に「オショウ(和尚)」となった。アメリカでは一種のカルトとみなされるようになったが、彼を慕う人々は、それでもプーナに集まった。

1990年、59歳で死去。糖尿病、喘息、アレルギーなどの持病を持っていたラジニーシ。死因は諸説ある。

もし答の見つからない探求者が、暗闇の中でラジニーシの言葉に出会ったら、むさぼるようにそれを飲み干したくなるのも不思議はない。言葉にはできない何か、それを表現する術を彼は知っていた。彼の著作は膨大な数に上る(現在では市場に無い書籍も多い)。老荘思想、禅、仏教、スーフィー、キリスト教、インド思想、チベット密教……。それらのエッセンスを、現代人の感性に置きかえた彼の表現能力は卓越している。圧倒的な個性とカリスマ性を持った一人の神秘家は、20世紀に何を残したのだろうか?


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※以上の書籍の著者はすべて和尚です。

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