meeting with remarkable people #04

カルロス・カスタネダ

19xx - 1998

ペルー生まれ。アメリカで文化人類学を専攻。ヤキ・インディアンの呪術師「ドン・ファン」の元で学んだシャーマニズムの教えを出版、シリーズはベストセラーとなった。

 「なんであれ、百万もある道のうちのひとつなのだ。だからこそ、戦士たるものは、この道はその道の一本に過ぎないということを、心に刻んでおかなくてはならない。自分がこの道を進むべきでないと感じたときは、いかなる状況に置かれていても、そこに留まっていてはならない。その道を進むか離れるかの決断においては、恐怖や野心に、いささかもとらわれてはならない。だから、たとえどんな道であっても、じっくりと、かつ慎重に、それを見据えなくてはならないのだ。そんなとき、どうしても戦士が自らに問いかけてみなくてはならないことがあるとすれば、それは、この道には心があるか、というものだろう。
 すべての道はどれも同じである。どこかわからないところに行くだけだ。しかしながら、その道に心がなければ、少しも楽しくはない。反対に、心のある道なら、そこには安らぎがある。しかしだからといって、戦士はその道を好きにならなくてはならないというものでもない。ただ楽しく旅ができるというだけのことだ。そういう道に従っているかぎり、戦士はその道とひとつになる。」
– カルロス・カスタネダ –
『時の輪 古代メキシコのシャーマンたちの生と死と宇宙への思索』より

世界を止める。
この短い言葉にあなたの全神経を注いで見てほしい。
たったこの一語に、少しでも血が騒ぐのを感じるのであれば、これから紹介する人物の軌跡にも強く惹きつけられ、彼の数々の著作から思わぬ収穫を得ることになるだろう。

カスタネダ…精神世界に少しでも触れていれば、いやでも耳目せざる得ない名前である。
昨今のブームが、いったい第何次ブームに当たるのかはわからないが、彼の著作は、常に俎上にあげられては、良いようにも悪いよにも、物議を醸し出している印象を受ける。

それほどまでに人気を維持し続けてきたカスタネダの背後には、実際どのような「人生」があったのであろうか?注目を浴び始めた当初は、実在するかどうかさえ疑われたほどだという。
巨大な謎に覆われながらも、大きなうねりを生み出してきた彼の生涯を、かなりざっとではあるが「観て」ゆくことにしよう。

カスタネダの生年月日についての記述は実に様々で、1925・1931・1935年のいずれかであるという説が最も有力。
生まれ故郷について本人は、ブラジルであると主張していたが、のちにペルーであることが判明。
大学教授であるはずの父親も、実際は、金属工師・時計職人であったことが確認されている。

なぜか彼には、そのように「履歴」を隠す傾向があった。
高校卒業後カスタネダは、国立美術学校へ進んだ。
在学中に母が亡くなったのだが、葬式へは出席せず、三日間何も食べずに、部屋に閉じこもったという。
この瞬間が、彼にとってターニング・ポイントであったことを想像できる。
部屋から出てきてすぐに、家出を宣言して、家族に何も言わぬまま、アメリカへ渡ったというから、そのショックは、私達が想像する以上に深いものだった。

そこから先の「履歴」には作り話が多く、信憑性に欠けるような出来事が連続する。
スペインでアメリカ軍に入隊したり、ジプシーの一団と旅をしたり、その中の少女と結婚したことなどが伝えられているが、どこからどこまでが本当なのか、真実を知るものは、もはやカスタネダ自身だけである。

1957年の日付で残されている「帰化嘆願書」には、ロサンゼルス在住の商業画家とあり、特徴については、目は茶色で黒髪、身長165センチ、体重65.3キロ、ペルー国民で未婚と記されていたという。

芸術の世界を志し、順調に歩んでいたように見えた彼だったが、1959年に心機一転して、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で文化人類学を専攻するようになる。
その在学中に旅の途中で、かの有名なヤキ・インディアンの呪術師「ドン・ファン」と出会い、彼の元で修行を積むことになるのである。

1968年、その貴重なる経験を『呪術師と私』のタイトルで発表すると、たちまちに全米でベストセラーとなる。
ヒッピーやフラワー・チルドレンと呼ばれる若者達がもたらしたカウンター・カルチャー・ムーブメントの渦中であっただけに、
ニューエイジ運動の「ゴッドファーザー」と称され、教祖的な存在に祭り上げられたことは周知の事実である。

ドン・ファンのシリーズがベストセラーになり、後半生、彼は弟子達を導いてゆくことにも力を傾けた。
しかし、最後まで後継者を見出せぬまま、1998年、ロサンゼルスの自宅で死去した。

カスタネダの語る物語に、仮に多くのフィクションが混じっていたとしても、かけがえのない「本物の知」が根底に存在する限り、
私達は、カスタネダ(そして、ドン・ファン)に惹きつけられていくだろう。

「自由」に憧れているだけの者が、「自由とは、憧れるような類のものではなく、すでに手にしているものである」ということに気付くために、カスタネダは存在しているのではないだろうか?

(注:カスタネダの経歴については、様々な解釈が存在するために、ここに書かれたことがすべて真実であるとは限りません。
どうぞ、ご理解のほどお願いします。)


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