SPECIAL INTERVIEW #03

違いを超えて

高砂淳二 / 自然写真家

大きな視点で地球全体を捉えるとき、まず思い起こすことの一つに、大気汚染や異常気象、森林伐採、生物種の絶滅など、様々な環境破壊の問題があるだろう。その多くは人間が引き起こしたものであり、環境破壊の警鐘が鳴らされて久しいが、肝心の人間は争いや諍い、私利私欲に走ることで忙しい。宇宙船地球号の乗組員たちが人種や民族、生物種の差を超えて共存共栄し、地球号を前進させるには、どうしたら良いのだろうか。目の前の生活に埋没するだけでなく、グローバルな見方で地球や、生き物の姿を思い起こすことが、私たち一人一人の意識の変化や解決策を考えるきっかけになるかもしれない。今回は、大自然の息吹きや地球に棲む様々な生命を捉え続ける自然写真家の高砂淳二氏にお話を伺った。

Photo by Junji Takasago

―新刊『Light on Life』を拝見して、絶妙のタイミングで撮られた生き物たちのツーショットが多いのが印象的でした。今回はツーショットを意識して撮影されたのですか?

うーん、どうだろう。特に狙っているわけじゃなく、何かいいシーンがあれば撮りたいな、と思っていつも探しているんです。たまたまそういうツーショットになったり、あとは単体でいいシーンがあったら撮る。自分としては親子や雄雌の愛情、もしくは同種類の愛情をすごく撮りたいと思っているので、やっぱりそういうシーンを意識して探しているところはあるかもしれません。

―写真を見ていると、動物たちのユーモラスな姿や触れ合いに心が温かくなってきます。

ありがとうございます。生き物って、ちょっと面白い面がありますよね。
普通の人は、犬や猫は好奇心や、面白い面があることは、わかっていると思うんですけど、自然の生き物はそんなに知らないし、怖いか怖くないかで分けている程度。でも、しょっちゅう見ていると好奇心もあるし、怖がる面もあるけど、好奇心の方が上回ってこっちに遊びに来る時もある。あとは、普段仲間同士で遊んでいる時にすごく可笑しい。コケちゃったり、喧嘩していたり、いろんなシーンがあるから、様々な面を見せたいなっていうのがあります。そういったところにもアンテナを張っているから、生き物の多様な面が見えて来るし、色々な場面に出会えるのかもしれないですよね。

―動物たちがすごく機嫌よく見えますが、いつも良い気分で撮るための工夫をされているのですか? 撮影の環境が寒いところだったり、暑いところだったり、身体にも負担がかかるのではと思います。

普段の生活でも、例えば相手が不機嫌だとこっちも不機嫌になるし、緊張しているとこっちも緊張するとか、相手にどうしても気持ちが合っちゃうじゃないですか。だから、なるべく、笑いながら撮ろうかなと(笑)。そうすると、向こうもちょっとそういう気持ちになるかもって思います。あんまり、気合い入れて「絶対撮ってやる!」と思ってやると、なんかダメなんですよね。笑いながらシャラッと入ると(笑)、結構いい感じの時が多いですね。

―生き物が相手だと、気配を消したりするんですか?

そうですね、大きく分けて三つあって、一つは気配をなるべく消して、こっちのことを意識させないで近寄って撮る。二つ目は遠くから自然の、野生のままを望遠レンズで撮る。三つ目は、こっちを意識している相手とコミュニケーションをなるべく図って撮る場合。向こうが警戒心を解いて、好奇心の塊になって遊びたい感じとか、面白がってる顔とか、興味津々でこっちを見ているところを撮るっていうのが僕は一番好きです。
例えば前にアメリカで白熊を撮影していた時、軽トラックで移動しながら探し回っていたら、200メートルくらい先に狐がいたんです。「あ、狐だ!」と思って、車を停めてドアを開けて出た瞬間に、ダーっと逃げちゃって、「やっぱり、こんだけ距離があっても怖いんだな」と思ったんですよ。だけど、止まってまたこっちを見てたから、「もしかして興味があるんだな」と思って、かなり遠いけど、その場に寝転がってみた。日本語で「俺は高砂って言うんだぞ」とか(笑)「写真撮りに来たんだぞ」みたいなことを話し続けたら、段々近づいて来てね。20~30メートルくらいのところまで来たんだけど、そのままずっとしゃべり続けていたら、結局3メートルくらいまで近寄って、そばにあった岩の後ろ側に回り込んで、こっちを覗いているんですよ(一同笑)。そこですかさず、カメラだけ出してパッと撮ったりとか。もし、こちらが背が高いままで少し近づいたらそのまま逃げちゃったんだろうけど、背を相手より低くして、動かないで、気を向けないまま気を引きそうなことをしていたら、やって来た。警戒心よりも、好奇心が上回ったっていう例ですよね。

―熊がこちらをまっすぐ見つめている写真がありますが、結構近い距離で撮られたんですか?

あれは8メートルか9メートルくらいですかね。でも、向こうも水に入っていたし、こっちは小舟に乗っていたんで、そんなに走ってこられるような状況じゃなかったので、安心して撮っていました。その時期は川をシャケが遡上していて、それを食べに熊が海の方から上がって来るという話を聞いていたので、ガイドさんと一緒に小舟で待っていたら、子供二頭と母親の三頭で来たんです。こっちはずっと、なるべく気配を消す感じでじっとしていました。時々、向こうもこちらを気にしていて、半分警戒して、半分好奇心で見ていた感じですよね。

―見合った時はどんな感覚ですか?

怖いという感じではないですね。ビシッと合った感じ。そういう時は何かに反応すると、向こうも怖がったりするから、あまり動揺しないように撮ります。というのは、カメラを覗いている時って、意外と冷静なんです。例えば、空撮している時でもね、一応ベルトはしますけど、ヘリコプターからグーッと身を乗り出して撮ったりするんで、すごく怖いんです。けれど、カメラを覗いているとあんまり怖くなくなる。覗いた世界に入ってしまうからか、それとも現実が分からなくなるからなのか。だから、動物をカメラで覗いている時も、落ち着いていられるのかもしれないです。

―夜の森に行くとか新月の日に海に入られるそうですが、恐れや暗さで動揺する場合もあるのですか?

前はよくありましたけど、慣れますよね。最初は真っ暗な時に森に入ると、ちょっとした物音に「うわっ!」とか思っていたんですけど、ある時に割と大丈夫だった。でも、「何かあったらどうしよう」と思った途端にゾクゾクときて、怖いという感情が湧いてきたんです。それで、「ゾクゾクも怖い感情も、全部自分が作り出しているんだ」ということが分かったから、「じゃあ、作り出さなきゃいいんだ」と思ったんです。その辺から、割と大丈夫になった感じですかね。何かゾクゾクって来たり、悪い感情がパッと頭に閃いても、「ああ、これは何かあるに違いない」と思いがちですけど、その前に自分が勝手にそうしたものを作り出していることを疑ったほうがいいかもしれないです。
あとは、なるべく理性的にきちんと物事を見られるようにすること。例えば、新月の夜、海に入っていても、「今、水深はこれくらい」とか、「エアもちゃんとある」というのを一つ一つ捉えておけば割と大丈夫ですが、それを忘れて感情的になっちゃうと、ダメですね。

―著作『夜の虹の向こうへ』で、「夜の虹は、見る人にとっての大きな変化がある時に現れる」と書かれていますが、高砂さんにとって夜の虹に出会う前と後とでは、何が一番の変化でしたか?

変化としては、自分なりの役目ということに気づいてきて、そういう方向を見て仕事するようになったということが大きいです。それまでは、普通に「気持ちいい」とか「可愛い」だけで撮っていて、自分がどういう立ち位置でどんな仕事をしていけばいいのかや、伝えることのあるなしについては、あまり考えなかったんです。夜の虹に出会った頃は、「これは本当はどうなっているんだろう」とか「こういうことは何を意味しているのだろう」とか、いろんな疑問が膨れていました。当時、色んな人にも出会って、疑問点が解決されたことが多くあったんです。それと同時に、それまではただ撮っていたのが、「何か伝えたほうがいい」とか「俺は写真を使ってこういうことをした方がいい」ということが明確になってきました。
もともと、それまでの人生の中で目に見えないものに興味がずっとあったし、その延長上で武術にも興味があったんですよ。自然が好き、武術が好き、不思議なことが好き、みたいなところが段々一緒になってきて、「そういうのを使って写真を撮りなさいよ」、「自然で見たことを話しなさいよ」ってなったかな。

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―武術というと?

今やっているのが合気柔術という武術で、「気を合わす」という感じなんです。写真を撮る時に生き物が相手でも、それを全然気にしないのと、意識してやるのとでは、結構違います。相手がいて、相手の様子を無視してバーンと行ったら、もちろん向こうは逃げますよね。あとは、気の方向ってあるじゃないですか。こっちに向けるのか、あるいは逸らすのかでも違って、その気の向け方も、意識すると使えます。顔も相手に向けないで、横向いて、気持ちもなるべく向けないで、横歩きで近づくと意外に近づけたり(一同笑)。気配を消す時も、空っぽになるような感じを使ったりします。あとは、生き物じゃなくても、自然もそういう対象というか、地球自体が生きてるようなものじゃないですか。大地もそうだし、虹や色んな自然現象もそう。ただ、たまたま光と水が合わさったから虹が出たというより、裏の部分に何か原因があって出ているんだろうし、大地も木ももちろん生きている。そういうのを意識してアプローチすることで、こっちの見方も変わる。
その辺をすごく感じるようになったのは、ハワイと出会い、ホ・オポノポノを教えているアカさんという人に出会ってからです。アカさんが最初に教えてくれたのは、「自分の周りの環境は自分が作っている」ことを意識して、感謝し、愛情を持って接しなければいけないということでした。それは人対人だけじゃなくて、対動物もそうだし、自然全体もそうだし、地球相手にもそうだし、自分自身に対しても、全部です。例えば自分自身といっても、何を本当にしたいのか、自分の本当の気持ちにちゃんと耳を傾けること。その延長線上で、地球に対しても、愛情やリスペクトを持って接することで、向こうからも(同じものを)得られる。そういう風に接する意識を人間全体が持っていないから、環境も壊れる方向に行くんだと思います。

―そうした自然との接し方が「人が地球を守る」ことにつながるわけですね。

そうですね、多分。僕が思うには、ちゃんと相手を命ある、自分と同じような大事なものとして接するというのが大事かな。それがホ・オポノポノの原点だと言われていたので、そういうことを意識して写真を撮るようになりました。そうすると、風景でも何でも、なんとなく微笑んでくれる感じがあるんですよ。

―ハワイで“Tales from the Night Rainbow”という本に出会われたことも、変化を導くきっかけの一つになったそうですが、人生で大きな影響を受けた本は他にも何かありますか?

そうですね。「気」というものを何だろうと不思議に思っていた高校か大学くらいの時、合気道の藤平光一という先生の『気と生活』という本に出会ったんです。
単純に言うと、すべては自分の気の持ち方であり、問題が起こってもいちいち「困った、困った」と思う必要はない、と書いてあった。一回二回よく考えてみて、それでも分からなければ、後は置いておけば良い。未解決というのも、解決の一つなんだという言葉に、「そうか」と(笑)
あとはね、先生が一番よく言っているのは、何かあって、頭に来た時には、気が頭まで上がっているから、「頭に来る」けど、肚に座っていれば頭に来なくて済む、ということ。特に武道では、丹田をすごく意識します。ここに意識を落としていると、結構押されても動かないというような、心と身体が統一された「統一体」の状態になる。だから、何かあっても、気は丹田に(笑)。「頭に来た」と言わないで、「肚に来た」と言いなさい(笑)ということを高校か大学の時に出会ったので、色んなことが「何だ!それでいいんじゃん」という風に思えて、自分の中では影響が大きかったです。生活の一つ一つにそういうことを意識するかしないかで随分変わる、という話なんですよ。「こんな細いところを渡っていかなきゃいけないんだ・・・」って時も、「やばい、やばい」と思って行くんじゃなくて、こういう時こそ肚だなと思って力を抜いて行くと、ススススッと行けたりとか、重いものを持ってずっと行かなくちゃいけない時も、肩で持たないで肚で持つ、みたいな使い方ができます。

―野生の生き物が相手ということで、普段から生死の場面に接することが多いのではと想像するのですが、ご自身の死生観はどのように捉えていますか?

うーん、死んでみたことがないというか、(前世で死んだことを)覚えてないから(笑)。何とも言えないですけど、死ぬのも怖くないわけではないです。でも、どこか引いて見ているところがあるんです。
例えば、すごい金持ちになってゴージャスな生活をして死ぬとか、大変な思いをして死ぬとか、それぞれの人生があると思うんですけど、みんなご飯食べてウンコして(笑)、最初と最後を見れば同じようなものですよね(笑)。その間、色々なことを体験して、学んで死んでいくのが、ミッションじゃないかなって思います。
これも、ハワイのヒーラーのカイポさんとかが教えてくれたんですけど。カイポさんに「人の役目とか、生きている意味ってなんだろう?」って尋ねたら、アロハ――愛情とか愛――を学ぶことが一つだと。それから、この地球上の生物がちゃんとバランスよく生きていくために、人間は生き物の長男だから、全体を見る必要があるということ。もらった知恵を悪い方に使ったら、地球を壊してしまって、同じ地球で暮らしている仲間たちを殺してしまったり、バランスを崩して生きていけなくなったりする。だから人間には知恵を良い方に使ってバランスを取るという役目があるよ、と言われました。

色々な違いで喧嘩したり、テロがあったり、何やかやあるけど、それもやっぱり基本、アロハを学ぶ延長線上にあることだと思います。引いて見れば、例えば戦争でさえ、すごく身近な人を殺してしまったり、失ったりすることで、愛情の尊さとか大事さとか、絶対に戦争を起こさないようにしよう、という学びがあります。そして、自分が平和に生きていることの尊さを感じられるようになることもあります。悪い面だけじゃなくって、戦って失敗したことからも色んなことを学べるという意味でも、すごくアロハを学んでいると思うんです。実際に学びを生かしていって、もう戦争をしないようになったり、違いを超えること、認め合うこと、リスペクトし合うことに行き着かなきゃいけないでしょう。その辺を考えると、今抱えている問題のほとんどが、アロハを学ぶことと知恵を正しく使うという二つのことに集約されますよね。逆に、そういう問題が起きているってことは、やっぱり人は今もそれを学び続けているということ。ちゃんと学ばなくてはと思うのと同時に、人はそのことを学ぶという役目を持ってみんな生きているんだよねって思います。だから、ただ運の良い人悪い人がいて、この世は不公平だという見方では全然ないんです。みんな、それぞれのことを意識するしないは色々あるけど、それぞれの場でアロハを学んでいるというのは感じています。

―「違いを受け入れる」というのは、やろうと思ってもなかなか難しいという人も多いと思います。ご自身で実践されていることは何かありますか。

やっぱり意識することですよね。違う生き物もそうだし、違う人種もそうだし。どれだけ自分以外のものをちゃんとリスペクトして、愛情を持って接することができるか、というところじゃないですかね。それができれば、違いだろうか何だろうか、関係なくなりますものね。そこに仕掛けがあるんじゃないかなって思います。というのは、夜の虹に出会ってから、今度は世界中の虹を撮りに出かけて、ネイティブアメリカンのところにも行ったりしたんです。

向こうで色んな部族に伝わっている「虹の戦士」という有名な話がありますよね。一生懸命に大地を守って生きてきたネイティブアメリカンのところに、白人がやってきて、色々ひどい目に合わせたり、迫害したりした。で、そういうのを見ていた孫がおばあちゃんに「何でこんなひどい目に合わなくちゃならないの?」と聞くんです。その孫はしばらく、おばあちゃんに「お前はまだ子供だから、山に一人で行ってこれをしてこい」とか、色んな宿題を与えられて、だんだん大きくなっていく。そして、「おばあちゃん、そろそろ教えてくれても良いんじゃない」と言うと、おばあちゃんが「実はグレートスピリットがわざわざ白人を寄越したんだよ」と答えるんですよね。なぜかというと、最初は大事なものをちゃんと心に持って生きてきたネイティブアメリカンも、段々、欲とかで他の方向に走ってしまう。そこに白人が来て、最初は何が大事かも分からず、し放題するけど、段々本当に大事なものは何かというのを学んで行き、今度は白人の方がネイティブアメリカンに伝えるようになる。だから、グレートスピリットはわざわざ、そういう肌の違いを作ったんだよ、というわけです。で、「お前はこれからは平和の虹の戦士として、武器じゃなくて、違いを超えるという意味のちゃんとした虹の戦士になりなさい」と言ったところに虹が出る(笑)という話なんです。

あと、ハワイだけでなく、各地に色んな創世神話、つまり最初は絶対的なものだったのが、神々が陰と陽に分かれて世界が出来上がる、みたいな話がありますよね。男と女もそうだし、肌の色の違いで東洋と西洋というのもあって、普通に僕らが生きている世界では、絶対的に何もない世界から、物ができて、物を作るためにプラスの面とマイナスの面ができて、それが創造原理になって、何かが作られていくわけです。それが「違い」を作った意味なんでしょうね。男と女がいなければ子供はできないし、創造原理で「違い」を超えて合体するわけですよね。「違い」は、創造していく原理でもあると同時に、違いを超えるために何かを学んでいく仕掛けとして作られていて、もしかしたら、僕らはそこで生かされているのかな、という感じがします。であれば、ちゃんとそういう意図を意識して、違いを超えていくことが人の役目かもしれないと思って、意識しています。

―写真やエッセイを通じて、今、一番伝えていきたいメッセージは何ですか。

去年、『Dear Earth』という本を出したんです。僕は石巻の出身ですから、震災に遭って実家が津波にやられて、しばらく海の写真とか自然の写真とかあまり撮る気が無くなっちゃったんです。その頃、災害や自然が怖いとか、海も怖いと言う人が多かったんですけど、しばらくして、「俺も一緒になって怖がってたらダメだな」と思うようになりました。それで、地球にホ・オポノポノをする感じで、もう一回、地球の一番綺麗なところを気持ちを込めて撮って来て、地球と仲直りする、みたいな気持ちで本にしました。伝えたかったのは、あまり地球を怖がらないでもっと愛情やリスペクトを持って生きられるように、みんなもそういう目で見てくれるように、ということでした。

あとは、いつも思っているんですけど、例えば海でマグロを獲ったりクジラを獲ったりという話になる時、すぐに海洋資源とか、「何万頭いるから獲ってもいい」というような、モノとしてしか見ていないという印象がどうしても消せなくて。小さくても大きくても命だし、それをもらう時には、ものすごく感謝しなくてはいけないし、無駄にしないようにしなくてはいけない、というのがすごくあったので、『Light on Life』の時には、なるべく小さいものから大きいものまで、色んな命、植物も入れました。みんなそれぞれ役目もあるし、一個一個、等価な命だというのを、感じて欲しいなあと思って作りました。やっぱり、その根底に流れているのは、ハワイで教えてもらったホ・オポノポノで、地球に対しても他の生き物に対しても、リスペクトや愛情を持って見ることができる人を目指したいと思っています。

―今後、気になっているテーマや撮りたい被写体などは何かありますか?

なるべく地球を感じるようなものをもっと撮りたいなと思っています。今のところ、宇宙まで行って地球を撮るわけにはいかないのですが、「ああ、これ地球だよね、写ってるの」みたいなものはどうやって撮ったらいいのかな、と考えています。僕の中では、新刊でもすでに若干始まっているんだけれど、形とか何でも、ミクロの世界もマクロの世界も実は同じ、というところを写真にしたいかな。

あとは、ここ(胸を指して)、内側の宇宙と外の宇宙もね。どうやって撮るのかはわかんないけど(笑)、ちょっと何かやってみたいというのはあります。

―ありがとうございました。新しいテーマの写真も楽しみにしております。


高砂淳二   Junji Takasago

自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て、1989年に独立。海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体のつながりや人との関わり合いなどをテーマに撮影活動を行なっている。ザルツブルグ博物館、東京ミッドタウンフジフィルムスクエア、渋谷パルコ、阪急百貨店、大阪大丸百貨店、コニカミノルタプラザ、オリンパスフォトギャラリーなど、写真展多数開催。著書は、2017年7月出版の最新刊『LIGHT on LIFE』をはじめ、多くの写真集やエッセイ集を出版。

高砂淳二 オフィシャルウェブサイト
http://junjitakasago.com/

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