Special Interview #37

「奇跡」に導かれて

香咲弥須子

ニューエイジや精神世界に関心があれば、”A COURSE IN MIRACLES”(『奇跡のコース』、『奇跡講座』)という名を耳にしたことのある方は多いのではないだろうか。
『奇跡のコース』とは、書籍であり、自習のためのカリキュラム。その目的は、「関係性を通して真の自己を知る」というもの。1965年、ニューヨークのコロンビア大学の臨床心理学者、ヘレン・シャックマンが内なる声を聞いて書き留め始め、1975年にケネス・ワプニック博士が編集を完了し、1976年に出版された。『テキスト』、『ワークブック』、『教師のためのマニュアル』から構成される書籍は、27言語に翻訳され、世界中で人々に広く学ばれている。

今回は、日米をはじめ世界各地で『奇跡のコース』の指導を行っている香咲弥須子(かさきやすこ)さんに、『奇跡のコース』との関わりについてお話を伺った。ニューヨーク在住の香咲さんは、1995年に同コースに出会い、その日から寝ても覚めてもその学びに没頭し、指導の他にも関連書籍を数多く著してきた、『奇跡のコース』の申し子のような方だ。彼女の人生は、「奇跡」に出会って、どのように変容していったのだろうか。


『奇跡のコース』とはどのようにして出会ったのですか?

導かれたとしか言いようがないですね。私、オートバイが大好きで、20代の頃はバイク乗りだったんです。私があまりバイクの話をするので、ある時、出版社の方が「どこでもいいから行って、バイク関連でなくとも、また本を書いてください」と、30万円下さったのです。当時、立風書房から出版した『グッバイ!タンデムシート』という著書がそこそこ売れていて、注目を浴びていたのです。

最初はミクロネシアの島々に渡ってこようと思っていたのですが、出発の直前に急に気が変わって、ニューヨークに急遽行き先を切り替えたんです。そうしたら、知り合いの音楽ライターの人とたまたま同じフライトに乗り合わせました。ニューヨークに着くと、クラブを案内してくれたり、現地在住の日本人の友人を紹介してくれました。そして、その紹介で出会った彼と、一年後に結婚することになりました。彼は、アメリカの大学を出て以来、ニューヨーク在住で、私を通して日本の良さを感じ、日本に帰国したくなったのですが、私はどうしても帰れなかったのです。住まいをうちの実家の近くに見つけて、準備は整っていたのですが、なぜか体が動かなくなってしまって。その後、一人でニューヨークにいても、友だちと会ったり出かける気にもならず、何かに留まらされている感じでした。

一年ほど、内側だけを観て、自分の今までのやり方を全部壊していくという、沈黙の時間を過ごしました。例えば、収入も無いのにお金を使うのは、それまではあり得ないことでした。小学生の頃から、毎月収支を計算して生活するということを親に言われてやってきたのですが、全く仕事をする気にならないので、収入もない状態でした。完全な沈黙の中で、ラム・ダスや『バガヴァッド・ギーター』やマルコムXの本をひたすら読んでいました。

そんな時、『The Magical Child Within You』という本に出会ったのです。著者はユダヤ人の成功したセラピストで、『奇跡のコース』に出会って人生が変容したことなどが書かれていました。当時ちょうど、青山出版社が立ち上げの際に翻訳本を探していて、問われるままにその本を紹介したら即決となり、『ガーデンを探して』(ブルース・デイヴィス著 / 青山出版社)というタイトルで出版されたのです。

その本の中の『奇跡のコース』の引用がとても衝撃的で、気になっていました。そして、著者に会いに行った際、彼がケネス・ワプニックさんと友だちだったので、話をしながら私の目の前ですぐに電話してくれたのです。ワプニックさんに『奇跡のコース』について教わって、出会ったという訳です。

その後、『奇跡のコース』を読み始めましたが、自分の解釈が入ってしまって、一人では読めませんでした。指南してくれる先生が必要だと思っていた時、自宅近くのお香とキャンドルの店に「マシュー・ハンソンによるヒーリング・クリニック」という張り紙を見つけました。そこに行ったところ、マシューが私にヒーリングをして下さって、ただ一言「受け入れなさい」と彼に言われました。その時、自分が何をされたかも、何をどう受け入れるべきかもわからなかったのですが、その後一週間、幸せで眠れなかったのです。道を歩いていても、歩いてるのではなく、滑ってるような感じでした。それを繰り返しているうちに、マシューの『奇跡のコース』のクラスに入れてもらうことになり、本格的に学び始めました。

クラスでのヒーリング中、ビルの上階から赤ちゃんの泣き声が聞こえたりすると、マシューは「弥須子、ちょっと泣き声を止めなさい」と言うのです。方法がわからないので、祈ろうとすると、「泣き声を止めてくださいって祈るんじゃないよ」って言われました。ですから、「私たちがこの静けさを保てますように」と祈ると、泣き止んでくれたりしました。

その後、マシューが引っ越すことになり、クラスの引き継ぎを頼まれたので、これまで自分が学んだことのシェアを始めることになったのです。

毎週、大勢が来るようになり、午前一時になってもまだ人が来るほどでした。色々な人が周りにいる地域だったので、「変な人が入ってきた場合はどうしたら良いのでしょうか?」とマシューに相談すると、「君がホーリースピリットと共にいるならば、変な人は入ってこないだろう」と言われました。また、「ヒーリングとは、人にして差し上げるものではなくて、自分自身が受け取るもの。受け取れば相手も受け取ってくれるし、疲れるはずがない」とも言われたので、その通り自分に言い聞かせて、生真面目にやっていました。

そのうちに、「『奇跡のコース』を教えて欲しい」と請われて、英語と日本語のクラスを始めたのです。当時は日本語訳がまだなかったので、辞書を引きながら長い時間をかけて皆で読みました。やがて、皆がスピリットのメッセージを受け取れるようになってきて、お互いにリーディングをしたり、個人的に話を聞くようになりました。

目の前の方の光が見えると、自分の中にも同じものがあるに違いないと感じられるので、私も救われるというか、力になるのです。

そんな時、あるクラスの最中に「本当の自分を思い出して、それをシェアする」という言葉が降りてきたのです。場を作るというアイディアをそのクラスで伝えたところ、皆、大賛成してくれました。生徒の中に不動産屋や建築家がいたので、トントン拍子で話が進み、3ヵ月後にはマンハッタンに学びの場として「CRSセンター(Center for Remembering & Sharing)」が完成したのです。

私は、もう私有財産はいらないと思っていたので、『奇跡のコース』を教えたりセッションで得たお金を全部、センターに捧げました。それが今から19年前のことでした。

センターの経営は、税金が高かったり、改築や拡張工事をしたりで、多額の出費があるのですけど、お金の心配をしないでこれまでやって来ました。ホーリースピリットが助けてくださるという気持ちがあるので、ダメになったら何をしてでもセンターの経営を続けなければ、という思いもないです。

お金というのは、自分のもの、他人のものだと思うからいけないのです。自分のお金などなく、全部ただ回ってるだけですから。健康や命に関しても、たとえば交通事故や病気で死んだとしても、淡々とそのことを受け止められる感じです。

すべてのことに素直に従って行かれたんですね。抵抗はなかったのですか?

最初の一年間、私に抵抗させない力強さで物事が運んだのです。家賃の支払いはあるし、飼っていた猫が病気になって、その出費もあったので、一年後には本当にお金が無くなったんです。そして初めて「どうしよう」と思っていたら、まとまったお金がちょうど入ってきたのです。その時、思わず「なぜ助けてくださるんですか?」と、何ものかに向かって声に出して言ったら、「君は一人では何もできないからだ」という、はっきりした声が返ってきたのです。それを聞いて、目が覚める思いでした。というのも、それまで頑張ってやってきたので、失敗した時もそれは自分の責任だと思っていたのです。でも、その声を聞いた時、頑張ることが何の価値もないことがわかり、心配することは何もないのだと力が抜けたのです。それが私の人生の本当の始まりでした。

『奇跡のコース』を初めて教えられた時に比べて、最近の受講者の方や時代の変化は感じられますか?

感じますね。30年近くやってきて、20年選手もいますが、新規の生徒さんもいます。新規の方は、受け入れる心のドアが本当に開いてますね。ですから、教える時に難しさを感じないです。

でも、人間全体のスピリチュアリティに対する目覚めということにおいては、多分、古代からあまり変わってないと思います。今、人類が目覚めていてアセンションの時代だと言われても、あまりピンとこないですね。実際、この戦争を見てごらんなさい。全然、目覚めてないですよね。

ただ、例えば『神との対話』(ニール・ドナルド・ウォルシュ著 / サンマーク出版)や『聖なる予言』(ジェームズ・レッドフィールド著 / KADOKAWA)の著者たちに会った時に聞いたのですが、「ゴッド(God 神)」という言葉が入る本なんて、どこの出版社を見渡してもなかったそうです。だから、出版までに一年以上かかったそうです。30年ぐらい前のことですが、隔世の感がありますね。

また、センターを立ち上げた時から、パフォーマンスやコンサートなど、様々なことをやっています。本当の自分、つまり自分とは愛である神の一部だということを思い出したら、それを安心して表現する場としてCRSを使って頂きたいという思いがあったので。でも、「こんないかがわしい名前のところでパフォーマンスはできない」などと、散々言われました。

でも、今は、そのようなことを言う人は一人もいないです。逆に、全員がスピリチュアルな話をしますし、時間がある時にはパフォーマンス前に私がヒーリングをして、自信をつけて送り出したりしています。

長く日米で教えていらして、文化や考え方の違いを感じられますか?

日本では、学んでいる方のお子さんが来てくださることはあっても、20代、30代などの若い世代の方はあまりいませんね。そして、日本は生徒さんのほとんどが女性ですが、アメリカは男性が多いです。

欧米社会はキリスト教が広く浸透しているので、最後の審判のイメージがあったりして、『奇跡のコース』を始めるのはすごくハードルが高いのです。一方で、日本には八百万の神という土壌があるので、一つの神という概念を受け入れることに対して、日本人は抵抗があるでしょうね。

人は誰でも、自分とは何者かということや、生きる意味を多かれ少なかれ考えますよね。哲学にその答えを求める人もいます。たとえばフランス哲学などは、神に関したことが多いですよね。哲学を通して神の捉え方や、神と人間の知性の関係を学んだ人は、『奇跡のコース』を警戒するけれども、学び始めると深く理解します。

神の概念を学んでこなかった大半の人々は、自己啓発を学んだりして、最後の頼みの綱として『奇跡のコース』に来るのですけど、自己啓発の延長としてこのコースを学んでも、どうやって役に立てたら良いのかがわからないのです。「役に立てるんじゃなくて、あなたの人生をこの真実に役立てるようにひっくり返しなさい」と言うのですが、そういった方たちは戸惑います。その困惑も理解できるのですけれど。

東洋文化では「神と私」という概念が明確に区別されていないと思うのですが、『奇跡のコース』では「ホーリースピリットと自分」として書かれていますね。

ホーリースピリットというのは、自分なのです。ただ自分といっても、私たちは本当の自分を知りませんね。

また、日本人にとっては祈りの概念を理解することも難しいですね。祈りとは、拝むことと反対で、神との合意や一体化をすることなんです。拝むというのは、お願いをすることですね。日本人はよく、神社などで拝みます。例えば、病気になった時に、「お願いします、治りたいんです」と言いたくなるのは切実な思いです。でも、その切実な思いをよく見つめていけば、その奥に死にたくないという理由が見えてきます。家族を養う必要があるから、しんどくても生きていたいという思いに気づくかもしれません。でも、病気を治してまた馬車馬のように働いても、病気を繰り返したりします。だから、家族のために稼ぐことを生きる基本にすると、常にそれに脅かされて生きていくことになりますよね。そうではなく、へとへとになりながら生きるのではなくて、「ここに生かされている意味を受け取っていきたい」という願いに気づいていければ、素晴らしいと思うのです。

拝むことがネックになるのは、私たちは自分を弱いものとして拝むからです。弱いというところを出発点にしたら、何をやっても弱いままですよね。でも、人生で本当に安心して良いんだって思うことができ、攻撃も自己防衛もせずにいると、何をするにしても、のびのびとできるんですよ。

人は、自分や家族の病気、または会社の倒産など、問題ばかりを見続けがちです。なぜかというと、問題を見ている間は、自分の本当の生きる意味を考えなくて済むからです。

日本だけではないと思いますが、「ホーリースピリット」や「神」という言葉を宗教に結びつける人が多いですよね。『奇跡のコース』の実践は、コミットしなければ続かないと思うのですが、そのブロックの一つが、「このコースは宗教ではないか?」という疑いや抵抗の心にあるのではないでしょうか。

あります。『奇跡のコース』だけではなく、どんなスピリチュアリティの教えも、紙一重で「最悪のコース」になりかねません。実際にカルトで殺人を犯したグループや集団自殺をしたグループも、同じこと、つまり「時間は存在しない。この世は幻想である。死は無い」と言っているのですから。皆、色々な言葉を通して伝えるけれども、言い方を変えても、「この世は幻想だ」としか言えないんですよね。

言葉には解釈も色々ありますし、言葉というものは不自由ですね。その不自由な言葉を使って伝えていかなければいけないのですが、その言葉一つ一つにはものすごい深みがあります。「今の自分にはこのようにしか捉えられない」ということを自覚するのは、難しいことですよね。なぜかというと、「この本が何かを変えてくれるかもしれない」とすがって読んだり、自分のお勉強のために読むからです。

多くの人は次から次へと本を読んで、知識を増やして、批判精神を磨いていく感じですね。批判精神は磨かれるかもしれないけども、自分との和解という点では、批判すればするほど自分からも遠ざかっていくのではないでしょうか。

本当は、一冊の本との出会いを大事にする。人との出会いと同じで、「この本は愛し合うために自分の手元に来てくれた本だ。さあ、愛し合おう。君はどんな人?」という気持ちで読めば、自分の中に入ってくると思います。それなのに、「一体、これは何だ? お前は本当に僕を目覚めさせてくれるのか? じゃあ、やってみろ」みたいな態度じゃないですか。まず一冊手に取ってみて、何かあったらまた次を読んでみる。そのように本との出会いを皆が持てたら良いですよね。

撮影場所:ブッククラブ回

お勉強や批判ではなくて、実践や人生に落とし込むにはどうすれば良いのでしょうか?

どうしようもないと思います(笑) 本にすがって読むような人であっても、行間に込められているもの、たとえば著者自身の持っている心持ちやエネルギー、あるいは本作りに関わった人の思いが伝わると思うのです。本というのは神ですし、すべてのものは神ですから、本人が気が付かなくても、どこかで受け取っているんですね。それと同時に、受け取ることに抵抗があるから、逆に批判してしまうこともあるだろうけれども、それを繰り返しながらも、結局は愛が伝わるので、心配はいらないと思います。

だから、批判や、カルトに利用してしまう人たちがいることに惑わされないことが大切だと思います。その人たちを批判するのではなく、このやり方ではダメだと思う必要もなく、私たちは堂々としていれば良いのではないでしょうか。

愛から離れないということが大事なのだと思います。私たちは布教する必要はないですから。自分が自分であれば良いし、『奇跡のコース』でも何でも、受け取ったものへの感謝と恵みを感じていれば良いと思います。

自分らしくあるということは、本来のスピリットとしての自分、つまり愛であるということですよね。100%いつもそれを感じられたら、毎日、至福状態なのでしょうけれども、「思考や感情が自分だ」と思う方に引っ張られたり、また戻って来たりしますよね。

それで構わないと思いますね。人間には、愛を受け入れている人と、まだ先延ばしにしている人の二通りがいます。また、愛で生きることを受け入れて、誰に対しても反応せず、愛の目で見ることができる自分と、それを忘れた時の自分という、二通りが一人の人間の中にあります。どのような種類の人であっても、ホーリースピリットは忍耐と信頼で見てくれているので、自分も自分のことを慈しみの心で見る。全部受け入れるということです。

『奇跡のコース』の先生で、脳腫瘍の末期から奇跡的に回復された方がいるのですが、その先生が教えてくださったのは、回復のプロセスや方法ではなく、自分の心を慈悲の心で見ることができたということでした。なぜ自分が病気になったのか、本当に悲しいし、悔しいという思いを思いやりを持って見ることが、回復の第一歩だったそうです。自分を愛の目で見つめ出すと、あとは愛の目がやってくれるのだと思います。

愛を見るのが難しい時もありますよね。自分にとって嫌な人に嫌なことを言われた時、難しいです。

その相手こそが先生なんですよね。

そうですね、でもその時にパッと、そう思えないかもしれません(笑)

良いんですよ、パッと思えなくて。もう目の上のタンコブで、「こいつだけは違う、愛じゃない」と思いたいですよね。なぜなら、全部のもののエゴを集約して、その人に背負ってもらってるわけですから。そういう時には、「ごめんなさい、今はあなたに愛を見ることができません。ちょっと離れさせてください」という感じで、自分が引くことです。その時の思いは、「今の私にはちょっと無理です」ということであって、「あなただけはダメ」ということではないんです。

引いたら負けだと思ってしまうこともあります。

引けない関係性は多いですよね。例えば家族や会社の人など、毎日その人の顔を見ますしね。でも、体は引けなくても、心が「ごめんなさい、あなたに笑顔でおはようって言えないんです」という時があっても良いのではないでしょうか。自分に厳しくしないことは難しいですけど。人に厳しいということは、実は自分に厳しいということですから。

「ごめんなさい、今は」という状態が結構続くかもしれません。

良いんですよ、10年でも20年でも(笑) 『奇跡のコース』ではよく、「エゴが時間を作ったのだから、あなたが時間の奴隷になる必要はない」と言います。時間はあなた次第で、急ぐ必要はないのです。

愛に至るまでの時間が短いか長いかということで、自分をジャッジしなくて構わないのですね。

そうです。時間というものがある中に生まれてきたわけではなく、自分が勝手に時間という概念を作り、自分で色々とコントロールできているつもりになっている。それで、コントロールができなくなると、騒ぐのです(笑)

『奇跡のコース』から得たもので、ご自身にとって最も印象的だったものは何でしょうか?

『奇跡のコース』の特徴は、人間関係の中で癒しを経験することです。つまり、瞑想や特別な修行をして、目覚めの道を短縮するということではなく、目の前の人があなたの先生であって、常に目覚めと癒しの瞬間は来ているということです。

私にとっては、母との関係が一番最初の、そして一番大事な経験でした。母は、新聞も隅から隅まで読むし、いろんなことを鋭く見て、掃除などもきちんとしている人なのです。そういう人がそばにいると、周りは本当に苦しいんです。そんな母とは結構、心が離れていたのですが、それが自分にとってすごく寂しいという自覚もあまりなかったのです。

『奇跡のコース』の教えを学んでから、東京で暮らしている母の魂に心から挨拶を送ったのです。そうしたら、母から国際電話がかかってきて、「どうもしないけど、声を聞きたかったの」と言われたので、心底驚きました。それまで用事以外で電話がかかってきたことはなく、生まれて初めて言われたようなことだったからです。また、自分が歩み寄ったら母からすぐ連絡がきたので、母を遠ざけていたのは自分だったことに気づきました。

母との関係性は、それ以降、劇的に変わりました。私が母に対して色々恐れなくなったから、前は言えなかったような文句も言いましたね。母も文句を返すこともあるけれども、言い合いをしても一緒にいる(笑)。しかし、母が変わったというよりも、激変したのは私の心です。

『奇跡のコース』では、心の投影が知覚を作っているという基本的なことを繰り返し言っています。ある事が起こっているから、あなたが傷ついたのではなく、あなたの傷ついた心が傷ついた世界を見せているということです。

何であれ、何かを変えたい、心の傷から解放されたいと願うことがあるならば、自分自身の意識の持ち方が、「激変」する必要があると思います。意識の持ち方が変容するだけで良いのです。『奇跡のコース』は、その激変を助けてくれました。ずっと手を差し伸べて、新しい道を支え続けてくれています。

今回、『奇跡のコース』の関連書籍、『奇跡のコース 最初の5ステップ』(ナチュラルスピリット)を新たに出された意図は何でしょう?

『奇跡のコース』は分厚くて、やっぱりちょっと取っ付きにくいので。初心者向けにまず分厚くない本を書こうと思ったのです(笑)。それから、「こうやって私たちは学んでいます」ということを伝えるためです。こういうふうに書くと、多分、批判する人だって当然出てくるでしょうが、受け取ってくださる方も多いのではと思います。この本の前書きは本当に、『奇跡のコース』に出会った時の私の思い、私のプロセスなんです。

すごく読みやすく、本当にわかりやすいです。あと、詩的で、優しい詩を読んでるような感じがします。愛がにじみ出ていますね。

どうもありがとうございます。この本だけでなく、書かなければいけないことが溜まってきてるので、これからも怠けずに言葉にしていこうとは思っています。『奇跡のコース』の解説本というよりも、自分がどんな風に見て、どんな風に捉えたかという体験を、正直にきちんと表現していくことが必要だと感じています。

これからもご活躍を楽しみにしております。私も『奇跡のコース』を学んでみたくなりました。

あら、是非どうぞ(笑)


プロフィール

香咲弥須子(かさき やすこ)
1988年よりニューヨーク在住。1995年より『奇跡のコース』を学び始める。2004年ヒーリング・コミュニティセンターCRS(Center for Remembering & Sharing)をマンハッタンに設立。国際ペンクラブ会員。国際美容連盟IBF理事。『奇跡のコース』『愛のコース』の教師、作家、翻訳家。CRSを中心に、セミナー、講演会等を世界各国で行っている。



関連書籍紹介


奇跡のコース 最初の5ステップ
基本となるポイントを実践して奇跡を生きる!

香咲弥須子 / ナチュラルスピリット

¥1,980(税込)

ニューヨークに学びの場である「CRSセンター(Center for Remebering & Sharing)」設立、日米を中心に、各地で「奇跡のコース」のクラスを開催する著者による、オンラインクラス、セミナーの内容をまとめた、『奇跡のコース』の解説書。詩的で柔らかな言葉による、始めの一歩のための手引きでもあり、学びの振り返りにも最適な一冊。


奇跡のコース 第一巻 普及版 
テキスト

ヘレン・シャックマン / ナチュラルスピリット

¥4,180(税込)

著者、ヘレン・シャックマンの内なる声を書き取った”A Course in Miracles”(ア・コース・イン・ミラクルズ)。愛、癒し、エゴ、怖れ、ゆるし、理性、夢、目覚めなど普遍的な真理についてが語られる。1976年に出版された原書は、教科書にあたる「テキスト」、実習用の「受講生のためのワークブック」、補助参考書的な「教師のためのマニュアル」の三部構成となっている。本来のエッセンスに触れながら理解を深めたいという方は、原書を携えて挑戦してみるのもおすすめだ。一人ひとりの心の中にある「内なる教師」を発見する深淵なレッスン。


奇跡のコース 第二巻 普及版
学習者と教師のためのマニュアル

ヘレン・シャックマン 著、ウィリアム・セットフォード 編 / ナチュラルスピリット

¥4,180(税込)

完訳が待ち望まれていた”A Course in Miracles”(ア・コース・イン・ミラクルズ)。2010年刊行の「テキスト」に続く、365のレッスンを収めた「学習者のためのワークブック」と「教師のためのマニュアル」の邦訳。


『奇跡のコース』を生きる実践書
奇跡を目撃し合い、喜びを分かち合う生き方

香咲弥須子 / ナチュラルスピリット

¥1,650(税込)

「奇跡のコース」の学びの場、「CRSセンター(Center for Remebering & Sharing)」を設立した著者が伝授する実践書。東京でおこなわれたセミナーの記録をまとめた本書には、エキサイティングなQ&Aが豊富に掲載されている。書物を読み解く理論、そして日常を通じての実践という、『奇跡のコース』とともにある生き方とは。


【used】ジェニーとの旅

ブルース・デイヴィス / 青山出版社
¥1,430(税込)

著者は大学院の公開セミナーを受講した際、アラスカでシャーマンとして人々の治療をしている女性と友人になる。それをきっかけに、夢の中に現れたジェニーと運命的な出会いを果たす。そして2人は『奇跡のコース』を学び、フィリピンへと渡り、心霊療法を学ぶことになった。
著者は、なぜ自分がシャーマンに出会い、フィリピンへの旅を経験をしなければならなかったかを、「小さな信念に凝り固まったエゴを解きほぐすため」だったと言い、全ての人に特別な師や体験が必要なわけではないと語る。
「旅の途上で出会った人々の中には、自然に自分の目的に沿って生きている人たちも大勢いました。彼らは謙虚なのです。謙虚だから、真実に、たやすく、すばやく向かっていくのです」
2人が旅をしたのは1970年代後半だ。無意識と運命に身を任せるという生き方から、運命をコントロールし、人生を自らの手で切り開き、創造する生き方へ。目的と奇跡の両方に満ちた2人の人生の歩みは、時代が流れても変わらないインスピレーションを与えてくれる。

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覚醒への旅
瞑想者のガイドブック

ラム・ダス / 平河出版社
¥1,870(税込)

『ビー・ヒア・ナウ』の著者であり、カウンター・カルチャーのカリスマ的存在ラム・ダスが、当時の若者たちの瞑想のバイブルとして書き記したガイドブック。ヒンドゥー教を中心に、古今東西のあらゆる宗教、哲学、精神運動、武技を探求したラム・ダスが心の訓練法を教える。


神の詩 バガヴァッド・ギーター

田中嫺玉 訳 / TAO LAB BOOKS
¥2,200(税込)

「生まれたものは必ず死に、死んだものは必ず生まれる。必然、不可避のことを嘆かずに、自分の義務を遂行しなさい」。時を超え、国を超え、宗教を超え、今を生きるすべての人びとへのメッセージ。


愛しすぎる女たち
ロビン・ノーウッド 著、落合恵子 訳 / 中央公論新社

¥1,152(税込)

愛することが苦痛をともなう時、それは愛しすぎているのだという。本来、対等なはずの関係において対象を愛しすぎてしまう時、その人の中で何が起きているのだろうか。相手ではなく、自分自身と向き合う生き方へと、変化をもたらすためのセルフヘルプの書。