108selection #04

108選「回」

当店で選び抜いた、スピリチュアルな本「108選」

淵などでぐるぐるまわる水の形。
それで「まわる、まわす、めぐる」の意味となり、まわることから、「かえる」の意味ともなる。
淵も水がぐるぐるまわって流れる形を示す字である。水がぐるぐるまわりながら流れることをというが、回がそのもとの字である。
孔子の高弟の顔回は、字(あざな)を子淵という。当時の人の名の字とは、回と淵がともに水がぐるぐるまわるという意味の字であるように、関連のある字を選んでつけた。 – 白川 静『常用字解』より


完全なる人間 [第2版]
魂のめざすもの
A・H・マスロー(著)
誠信書房
2750円 (税込)

人は、目の前に正常なものと異常なものがあったとすれば、どうしても異常の方に目が向いてしまうものである。しかし、健全さは当たり前のことでも何でもなく、本来は大いなる価値を持っていることに気がついたのが、心理学者のアブラハム・マズローである。フロイトを初めとして、心理学の世界では人の心の闇に光を当てようとしてきたが、「精神医学」という分野ではさらにこれを「病気」として扱い、治療するというスタンスである。マズローは、このような流れの中、人間の健康的な側面に焦点を当てた。世の中には地位や富に関係なく、豊かで光り輝いている人がいるものだ。マズローはこのような人々を研究することによって、人間の持つ可能性や進もうとしている方向性を見つけることができるのではないかと考えた。それが結果的に現在のトランスパーソナル心理学の流れにつながっている。今ではビジネススクールなどで常識的に使われている「自己実現」という言葉や「50段階の成長欲求」などももとはマズローが考え出したコンセプトだ。ただし、狭い範囲で利用されていることが多いので、ぜひ一度オリジナルに目を通してみるべきだろう。

【used】シャーマンズボディ
心身の健康・人間関係・コミュニティを変容させる新しいシャーマニズム
アーノルド・ミンデル(著)
コスモス・ライブラリー

8250円 (税込)

各地の呪術師やグルとの出会い、シャーマニズムの体験から、われわれの生を豊かにする上で最も大切なのは「共に夢を見ること」だと著者は言う。個人のみならず環境や世界と連動する「シャーマンズボディ」を得る事が、未来を生きる人間のテーマだ。古書。

【used】脱病院化社会
医療の限界
イヴァン・イリッチ(著)
晶文社

5500円 (税込)

根本的には病人がなくなる方向へ向かうことが理想であるはずの病院が、実際には病人ばかりを増やしているのは何故なのだろうか?それは、病人を無くすという目的よりも、病院経営のための経済性や、医療技術のさらなる発達などに重点を置いていることが問題なのかもしれない。西洋医学は、戦場において兵隊をすぐに前線に復帰させることを目的とし、即効性に重点が置かれて発展をした。それとは全く対照的な東洋医学がもてはやされているが、つまるところ組織化された医療の発想がある限り、東洋医学も五十歩百歩と言えるのかもしれない。病院がなくなる方向へと向かう医療をつくり出すことは可能なのだろうか? 本書では、著者イリイチが、「病院が無い社会」というものを真剣に考えている。もう古典とも言えるような古い本になってしまったが、その熱意は今でも伝わってくる。社会を変革しようという思いを現代の日本人はないがしろにしている感があるが、今一度、再認識する必要があるのかもしれない。古書。

セクシュアル・レボリューション
文化革命における性
ウィルヘルム・ライヒ(著)
現代思潮社

1980円 (税込)

人間存在の根源にある<性>を基底に、自然と社会に内在する葛藤としての矛盾を、革命的な経済論として構築した衝撃的文化批判。古書。

夜と霧  新装
V・E・フランクル(著)
みすず書房

1650円 (税込)

人類の歴史の中でも長く語りつがれていくであろうナチスによるユダヤ人虐殺の事実。人間がどれほど残虐になれるかを思い知らされる、私たちの歴史である。極限状態の中では、人間の尊厳などもろくも崩れ落ちてしまうものなのだろうか? 強制収容所についても、史実として何が起きていたかという情報を得ることはできるが、その中にいた人間の本当の心の内はどうだったのだろうか? 本書は、人がその地位や所有物、人格を一切はく奪され、理不尽な虐殺や暴力が支配していた強制収容所の狂気がうずまく状態の中でも、他人に対する配慮や生の意味を見失わずに自己の内面や他の囚人、監視兵の心情を観察し続けた著者が記した稀有な記録である。このような極限状態の中で、人間が客観的な視点を持ちうること事態、驚くべきことだろう。その筆致は起きていることの悲惨さに反して、静かに淡々としている。だからこそ、人間の持つ残虐性、愚かさと同時に高潔さや可能性がくっきりと浮かび上がり、読む度に驚きを与える本となっている。本書からは現在の飽食の時代に忘れられている、何か大切な真実を見い出すことができるかもしれない。

新版 ひふみ神示
岡本天明(著)
コスモビジョン

8800円 (税込)

約半世紀前、岡本天明によって降ろされた、三千世界の立直しについて数字と記号で記された神示。複数のスピリットが様々なレベルで表現し、全体を構成している。後半にいくにつれ、究極に近づき、より単純な表現になっていく。日々の生活の中で地道に身魂を磨くことで、人生は豊かになり、自分だけではなく、周りも、そして神までも栄えていくという。

新版 言霊ーホツマ
鳥居礼(著)
たま出版

4180円 (税込)

言葉から全てが生み出された、という思想や言い伝えは聖書を始めとして世界の神話や宗教で伝えられている。日本でも、「言霊」という、言葉が持つ霊的な力をとらえる独特の思想がある。極端に言ってしまえば、言葉は口から出たとたん呪術となって、相手に向かうものとは言えないだろうか。言葉を受けた人間は、多かれ少なかれその言葉に反応せざるをえないのだから。言葉によって、人は熱狂もし、恐怖の中に陥れられることもある。漢字が中国から渡ってきたことにより、日本語はひらがなや漢字によって書かれるようになっていくが、言葉自体は、中国の言葉の音感とは著しく違う。仏教や陰陽道なども、元はと言えば中国のもの。日本ではどんな言葉で呪術をかけていたのだろう。本書は、古代日本の言霊観や言霊をもとに展開される古代日本の文明について、「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」の三書から探究。清浄心をもとにした美意識により、独特のやさしさや美しさを秘めていた古代日本の姿が浮かび上がる。

風姿花伝
世阿弥(著)
岩波書店 

572円 (税込)

能の世界では、恨みを持って死んでいった女性の怨霊などがよく登場する。言ってみれば、人間の情念のどろどろした部分を題材にしているにもかかわらず、なぜか静謐さを感じさせてしまうところがある。そして同時に、愛や優しさなどの情念もその舞台からは感じにくい。なぜだろうか?もしも恨みや怨念を、そのままストレートに表現してしまえば、ただの復讐劇になってしまう。しかし能の幽玄の世界というのは、別の次元から表現されているのだろう。たぶん、情愛を超えた次元から表現することによって、これまでにない質を表す結果となったのだろう。世阿弥が「能」の奥義を記した『風姿花伝』は、能の奥義にとどまらず、芸を通して世阿弥が到達した日本の霊性の核心を表している。それにしてもこの時代の日本人の精神性には驚くべきものがある。やはり死と隣り合わせの戦乱の世が、日本人の精神世界を結晶化していったのだと思うが、前述の禅や茶道と言い、その極限まで無意味なものを削っていった透徹した精神と美意識は、もともと日本人が霊性として持っている質なのかもしれない。

いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか
ルドルフ・シュタイナー(著)
筑摩書房

1320円 (税込)

教育、農業、建築、経済など幅広い分野で、その思想が現在でも大きな影響力を与え続けているシュタイナー。日本でも、シュタイナー教育やオイリュトミーなどはよく知られている活動である。彼の著書も数多く出版されているので、神秘主義やスピリチュアリズムに興味のある人にとっては、一度は手にした、ある意味では最もポピュラーな神秘主義者と言えるだろう。特に本書は、とらえどころのないスピリチュアルな世界を旅するものにとって、道標になりうる内容となっている。感覚的な世界をどのように理解すればいいのか、またどのように扱えばいいのかというのは、非常に微妙な問題であるし、身の回りに体験者がいない場合には、自分の体験をどう理解してよいのかとまどってしまうものである。一歩間違えば、危ない世界に入ってしまうこともある。本書は、わかりやすく体系的に超感覚的世界を解説しているので、まずは適切なガイドブックとしての役割を担ってくれるだろう。しかし、真に霊的な世界に触れるためには、まず現実世界で培った強さや能力が必要とされるということも忘れてはいけない。文庫。

解脱の真理
ヒマラヤ大師の教え
M・マクドナルド・ベイン(著)
霞ヶ関書房

5500円 (税込)

まだ、ヒマラヤが未開の地として閉じられていた頃、ひとりのスコットランド人が、山の中に入っていった。霊的ヒーラーである著者は、ヒマラヤの大師達から真理をさずけられることになるのだが、その様々な過程を描いたのが本書である。西洋の文明社会に生きてきた彼にとって、大師達の教えは、まさに固定観念を根底からゆるがすものであり、そのとまどいと驚きが素直に表されている。また、目の前に起こる奇蹟を鵜のみにするのではなく、否定につぐ否定によって真実にたどりつく著者の姿が、心を動かす。旅行記として読んでもおもしろいぐらいだが、大師達の教えは非常に柔軟かつ高度であり、現代人として生きる我々にとっても、著者が感じたものと同じ様な効果をもたらす力を持っていると言えるだろう。このような本は、時として非常に重い内容になってしまうのだが、本書は爽やかな読後感をもたらしてくれるのが不思議だ。類書に「ヒマラヤ聖者の生活探求」があり、本書と同様に西洋人が出会う東洋の神秘的な世界を垣間みることができることから、隠れたロングセラーとなっている。

ヒマラヤ聖者の生活探究 1
B・T・スポールディング(著)
霞ヶ関書房

2200円 (税込)

約100年前、アメリカの調査団が初めてヒマラヤの奥深く入り、そこで暮らす聖者たちの生活や教えを記録した。驚きを交えながら具体的に描写される神秘の世界。奇跡の連続。秘儀の伝授。そして解き明かされる宇宙の真理。読者は探検隊と共に進んでゆくにつれて、人間の本質、人生の意義、人間が本来もつ無限力の発現方法などを見出してゆくだろう。「啓示の書」として、今 尚、世界各国で支持され続けている隠れた名著。

ブッダ 神々との対話
サンユッタ・ニカーヤ1
中村元 (訳)
岩波書店

1012円 (税込)

紀元前600年頃に誕生した仏陀は教典を何も残さず世を去った。死後、弟子たちが生前の言葉をまとめながらグループを支え、さらに500年を経て、仏教という教団がが作られたと言う。仏教はその後、中国を経緯しながら日本に到達し、もまれながら現在の形を作っていった。しかし、日本の仏教と、仏陀が残した教えとの間には、かなりの相違が生み出されている。禅や密教にしても、場所と時間を経過していくうちに洗練され、日本の中で結晶化したはずの仏教の一宗派であるが、結果的にまったく新しい思想を作り上げてしまったことが、原始仏教と比べてみるとよくわかる。一応、仏教の名を借りてはいるが、オリジナルな意味での仏陀の教えとはかけ離れてしまっている。本書「ブッダ 神々との対話 」や同じ岩波書店から刊行されている「ブッダ悪魔との対話」は、仏陀の死後間もない内に、弟子がその言葉をまとめたものである。いわゆる原始仏教の時代である。後生の僧が作り上げた洗練された教典と違い、仏陀の生き生きとした様子が伝わってくる。神々や悪魔たちと会話することなど、今の仏教に慣れ親しんでいる私たちにとっては常識を覆す内容だが、そのやりとりは非常に興味深いものである。文庫。

ミラレパ
チベットの偉大なヨギー

おおえまさのり(訳 編)
めるくまーる

2530円 (税込)

鎌倉時代の僧侶、親鸞が唱えた「悪人正機説」の「悪人こそが救われる」という思想の本当の意味は何なのだろうか?善いことを行っていれば救われる、悪行を行えば地獄に落ちるという価値観の中では、悪いことを行わないだけの中途半端な人々よりも、自分は悪であると徹底的に認識している人の方が、逆の方向へ突き抜ける可能性を秘めているからではないだろうか。チベットの伝説的な聖者ミラレパの生涯からは、その逆ベクトルへ突き抜けるエネルギーの壮絶さを見て取ることができる。父親亡き後、自分の母親をだまして財産を奪いとった親戚への復讐のために黒魔術に手を染め、復讐を果たしたミラレパは、後にそのむなしさを悟り修行に励む。しかし、自らの犯した罪のカルマにより想像を絶するような修行を師から課せられる。絶望に陥るミラレパであるが、その絶望こそが彼のカルマを浄化し、後に比類なき聖者となったのである。一見非情に思えた師の振るまいも、ミラレパの修行のために必要であったことが後に明かされる。何が善で何が悪であるかは、どの観点から物事を見るかによって大きく変わってしまうのだ。古書。

ベルゼバブの孫への話
人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判
G・I・グルジェフ(著)
平河出版社

8010円 (税込)

若い頃の過ちで宇宙の辺境へ追放された地球外生命体のベルゼバブは、その後功績を認められ、また宇宙の中心へ呼び戻される。若き日のベルゼバブが訪問した惑星の中には地球が含まれているが、そこで暮らす人間が宇宙の中でもあまりに変わっていたため、帰還途中の宇宙船の中で人間について孫に語りきかせる。ゴルホナールハルハルク、ヘプタパラパーシノクなど長い名前がぞくぞく登場し、そのストーリーも複雑難解さを極める「ベルゼバブの孫への話」。もともとアルメニア語で書かれただけあって、本当はアルメニア語がわからないと理解できないのではと思わせるほど難解な本書は、わざとグルジェフが本書を読みにくくしている意図が見て取れる。(理解するためには3回読めとグルジェフは言う。)読解するには相当の(勇気?)と努力を要するが、一度は挑戦してみたいものである。対照的にグルジェフの弟子であるウスペンスキーが書いた「奇蹟を求めて」は、非常にわかりやすくグルジェフの思想をまとめ、現在でも多くの人に読み継がれている。しかしそれがグルジェフの意図に沿っているかどうかは疑問だろう。

あるヨギの自叙伝
パラマハンサ・ヨガナンダ(著)
森北出版

4620円(税込)

インドの聖者ヨガナンダ(1900-1970)が偉大なグルたちとの出会いを書いた本書。神秘家たちの教えを書かれた本は多いが、彼らがどのような生活を送り、どのような道を通って悟りの境地を開いたのか、という人間レベルの興味を満たしてくれる本は意外と少ない。本書では、ヨガナンダ自身の師であるユクテスワから受けた教えの様子や、ガンジーやタゴール、ラマナ・マハリシなどの偉大な人物との出会いが描かれている。また、神秘家とそれをとりまく人たちの関係はどんなものだったのか、ということも興味深いテーマである。たぶんヨガナンダのエピソードだったと思うが、彼と普通の人であった妻とのおもしろい話を聞いたことがある。あまりに身近な存在であるため、その偉大さを感じられなくなっていた彼の妻は、日々、彼に対して同等の口を利いていた。ところがある日、彼が空中浮揚をしている姿を目撃してしまう。その瞬間、彼女は畏怖の念を抱き、自らを戒め、彼を尊ぶようになった。しかし、3日後にはそんなこともすっかり忘れ、お金がないと彼を元のようにせっついたという話だ。何かいかにもありそうな話だが、人間の愚かさをよく表している。

シークレット・ドクトリン 宇宙発生論《上》 改訂版
H・P・ブラヴァツキー(著)
宇宙パブリッシング

4400円 (税込)

神智学協会の設立者であるブラヴァツキー夫人が1888年に出版した『シークレット・ドクトリン』は、「ジヤーンの書」と呼ばれる紀元前五千年以上前の秘教文書についての解説書であり、世界のあらゆる宗教や古代思想はこの教えを源に具体化されたものだという。聖書、カバラ、グノーシス派、ゾロアスター教、ヘルメス哲学、プラトン哲学、ヴェーダ経典、ヨーガ思想、老子、仏典、神道など、古今東西の思想や宗教、哲学や科学の共通点と本質を明らかにし、壮大な宇宙の法則に迫る本書は、アインシュタインやカンディンスキー、イエーツやモンテッソリなど20世紀を代表する人々に多大な影響を与えてきた。1989年刊行版から「シークレット・ドクトリンの沿革」と「議事録」の章を抜いて再編集された改訂版。続編の『シークレット・ドクトリン第2巻第1部』が2017年12月に刊行された。

最初で最後の自由
J・クリシュナムルティ(著)
ナチュラルスピリット

2530円 (税込)

精神世界の中でも、王道的な存在として、あまりにも有名なクリシュナムルティ。否定につぐ否定を通して真理を探究するその思想は、広く支持されているが、特に物事を論理的にとらえる人には人気があるようである。本書は、エゴに悩まされている多くの迷える人々は、一度は手にしている本と言えるだろう。エゴをいかに落とすか、これが精神世界の最も中心的なテーマであることに議論の余地はないだろう。それほど私たちの心に巣くっているエゴという幻想は強大なのだ。とは言うものの、個としての身体を持ちながら生きている限り、エゴをなくすことは難しい。クリシュナムルティの透徹した理性がその迷いをふきとばしてくれる。もともと人智学の中で、特別な存在として成長したクリシュナムルティだったが、ある時から組織としての人智学協会の中で生きていくことに疑問を持ち、袂を分かれたという経歴を持っている。その後は、彼を支持する人々とともに教えを説くことで、前述のように精神世界の中心的な存在として認知されるようになってゆく。和尚(ラジニーシ)とは対照的な世界をつくり出していると言えるだろう。長年再版が待望されていたクリシュナムルティによる名著『自我の終焉』が、新題、新訳で復刊された。私たちの心に巣くっているエゴという幻想は強大で、それをいかに落とすかは、精神世界での最も中心的なテーマである。クリシュナムルティの透徹した理性が、エゴがもたらす曇りを取り払う。

宝瓶宮福音書
リバイ・ドーリング(著)
霞ヶ関書房

7700円(税込) 

数々の偽典や別典が存在する聖書。その中で、何が真実により近いのかは本当のところ、わからないといっていいのではないだろうか。現在正統的なものとして残されている聖書も、時の権力者の都合によって大幅に改ざんされたはずである。むろん伝聞や伝承が織りまぜられたりすることも当然あっただろう。本書は、すべての歴史の情報をそこから引きだすことができるという宇宙に遍在するエネルギー「アカシックレコード」により、真のキリストの姿を伝えられたという著者が記述した書。福音書では空白となっているキリストの青年時代の18年間は、チベットやエジプト、ギリシャやインド、ペルシャの寺院をめぐり、東洋の賢人や予言者や修道士と語らっていたと述べる驚くべき内容である。この内容を真実として認めることには多くの人が抵抗を覚えるだろうが、キリストが本当はどういう存在であったのかを洞察する上で、新たな可能性としてとらえることはできる。キリスト自身が人々の前で、様々な奇跡を起こした人物という神秘的な存在であっただけに、何を持って真実とするかは、最終的には受け取る人の心の中にあるのだろう。

ニジンスキーの手記 完全版
V・ニジンスキー(著)
新書館

3520円 (税込)

踊ることによって神に限りなく近づき、踊りを絶たれたことで、29歳の時から晩年まで、発狂したままであった天才舞踏家ニジンスキー。その境界に執筆された本書は、「神からの啓示」が、悲痛な叫びとなって紙の上で踊る。神の言葉を受け取る者の悲劇とは?

霊の礎
出口王仁三郎(著)
あいぜん出版

1320円 (税込)

著作の中で描かれている霊界や天界についてのビジョンがあまりに強烈なため、神秘家としてのイメージが強いスウェデンボルグ。実は生涯神秘家として過ごした訳ではなく、貴族院議員として政治的活動を行ったり、スウェーデンの鉱山技師として活躍するなど、十分社会的な役割を果たしていた時期もあった。スウェデンボルグが霊的な世界に興味を持ち始めたのは、意外に遅く50代の半ばからである。彼が二十年に渡って霊的体験を書き記した膨大な記録、『霊界日記』(静思社刊、全九巻)の中から重要な箇所を抜粋してまとめたのが本書である。彼は、神秘的な体験やそこから得た洞察を、見たまま感じたままに率直に書いている。神秘主義やスピリチュアリズムの中には、膨大な知識の体系を作り上げるものの、スウェーデンボルグは知識よりも体験を素直に表現しようとする姿勢を持っているので、その点はとても貴重であると言えるだろう。古書。文庫。

霊界日記
エマヌエル・スウェーデンボルグ(著)
角川書店

532円 (税込)

著作の中で描かれている霊界や天界についてのビジョンがあまりに強烈なため、神秘家としてのイメージが強いスウェデンボルグ。実は生涯神秘家として過ごした訳ではなく、貴族院議員として政治的活動を行ったり、スウェーデンの鉱山技師として活躍するなど、十分社会的な役割を果たしていた時期もあった。スウェデンボルグが霊的な世界に興味を持ち始めたのは、意外に遅く50代の半ばからである。彼が二十年に渡って霊的体験を書き記した膨大な記録、『霊界日記』(静思社刊、全九巻)の中から重要な箇所を抜粋してまとめたのが本書である。彼は、神秘的な体験やそこから得た洞察を、見たまま感じたままに率直に書いている。神秘主義やスピリチュアリズムの中には、膨大な知識の体系を作り上げるものの、スウェーデンボルグは知識よりも体験を素直に表現しようとする姿勢を持っているので、その点はとても貴重であると言えるだろう。古書。文庫。

ツァラトゥストラはこう言った 上 
ニーチェ(著)
岩波書店 

814円 (税込)

これは、危険な書物だ。哲学書のカテゴリーに入れるより、むしろ、霊言書といった方が感覚的にピッタリだ。思わず引き込まれてしまうのは、スピリチュアルな存在から発せられた、ある種のエネルギーに満ちているからだろう。厳格なキリスト教徒の家庭で育ったニーチェは、その反動として哲学者となるべき土壌の中にいた。彼が狂気に陥る前、ギリギリの所で書かれた本書を読むと、ニーチェがこの書を表したことによって、自らの目的を果たしたであろうことがわかる。論理と神秘主義の融合がこの瞬間、行われたのではないだろうか。論理を突き詰めることによって論理を超えた世界に至る、という哲学の本質を具現した本書は、その難解さゆえに人々をはね返しながらも多くの人を魅了し続け、名著として生き続けている。文庫。

孔子伝
白川静(著)
中央公論新社

984円 (税込)

漢字研究の世界的第一人者である著者が描いた孔子像は、これまでの先入観を打ち砕くインパクトを持っている。孔子が起こした儒教と言えば、親を敬い、礼をつくすという、現代の道徳の基礎を作った思想のはずであった。しかし孔子の出生は、そのようなイメージとはまるでそぐわない、呪術集団を母体としていたことが本書で明らかにされている。孔子は、表面的には道徳を説く思想家であったが、その実体は、欲望うずまく当時の中国の中でもかなり特殊な立場にある神秘家であったというのだ。広く世に知られている孔子の言葉の数々も、そうした観点から眺めてみると、これまでとは違った意味を感じさせてくれるから不思議だ。中国には孔子以外にも思想的な巨人がたくさんいる。道を説いた老子、性悪説をとなえた旬子、独特の平和思想を提唱した墨子など、それぞれの独自の思想は、現代まで影響を及ぼし続ける力を持っている。なぜ中国にはこのように思想的な巨人達が数多く存在したのか。それは、もしかしたら漢字とメディアの存在が、そもそも呪文的な質を備えていたことが関係しているのかもしれない。文庫。

老子(全)
自在に生きる81章
王明(校訂・訳)
地湧社

1870円 (税込)

中国で生まれたタオは、つかみ所のない流れをもつ深遠な思想である。老子は、「何かをとらえようとすれば、それはすでに道ではない」と言った。それは、宇宙的なものを得るひきかえに、現世の小さな欲望などにはとらわれないとは考えられないだろうか。2500年前に書かれた「老子道徳経」の原本に限りなく近い重要な資料が近年出土した。本書はその出土資料を校勘した最新のテキスト。中国語と日本語を母国語とする詩人の翻訳によって甦る、「道=タオ」のエッセンス全81章。「老子道徳経」現代語訳の決定版。

復刻版 きけ 小人物よ!
ウィルヘルム・ライヒ(著)
新評論

2200円 (税込)

性エネルギーの研究を行い、生前は評価されることがなく不遇の内に没したライヒ。彼は独自の視点から数々の本を記したが、本書はその中でも一風変わった仕立てになっている。それもそのはず、人間がいかに小人物的であるかを指摘し、どれだけ愚かで自己中心的であるかを述べている本書は、実はナチス批判にもなっている風刺本なのである。彼は単純な政治活動家ではなかったが、人々の固定観念を打ち砕こうとしたという意味においては、まさに革命家であった。そんなライヒの価値観は、当然ナチスから疎んじられるものであったから、ライヒはナチスから逃れるために各国を転々とするしかなかった。ライヒの性理論は、ナチスの様な存在が大衆の支持を圧倒的に受けるような状況についても、性エネルギーと関係していると説いていた。大衆や政治の動きがセックスと深く関係しているという視点は、とてもユニークでおもしろいものだと思う。個人のレベルで考えていないところも、ライヒという人間のキャパシティーの深さを感じさせる。

心の社会
M・ミンスキー(著)
産業図書

4730円 (税込)

人間の心について、宗教、科学、心理学など様々な分野で研究されているが、そのしくみは今だにハッキリとは解明されていない。マサチューセッツ工科大学の人口知能研究所の創立者であり、人口知能研究の第一人者である著者が、「心は、それぞれには心を持たない小さな複数のエージェントが集まってできた社会」という斬新な理論を提唱している本書。「人間は機械である」と、グルジェフも言っているが、多くの場合、人はそう言われることに抵抗を覚えるものだ。しかし、私だと認識している「私」は、様々な環境や関係による反応によって形作られているのも事実である。また、機械的な反応のしくみがわかればわかるほど、それだけでは説明しきれない人間の存在が持っている本当の姿が浮かび上がってくるかもしれない。量子力学によって、「認知によって世界は変わる」という驚くべき事実も見出された現代において、「認知」の科学は、今後もっとも注目されるべき分野のひとつだと言えるだろう。難解な類書が多い中で、本書は、構成自体が短い複数の章から構成されており、読みやすくかつ知的好奇心を刺激してやまない内容となっている。

自然と象徴
自然科学論集
ゲーテ(著)
冨山房
1760円 (税込)

人間が自然をどうとらえてきたかを考えると、古来から自然との共存を軸にした東洋思想や、自然を支配しようと試みてきた人間の優位性をかかげる西洋など、文化や時代によって違いがある。そもそも人間を自然の内部と見るのか、外部と見るのかでその判断はわかれるところであるが、意志を持った存在である人間にとって、自然界は矛盾に満ち満ちた世界であると言えるだろう。人間を自然の一部と見るならば、人間が作り出す人工物でさえ、また自然と見ることができる。要は、視点をどこに持っていくかということだ。このようにして、人間は際限の無い思考の世界に入っていき、自分で「ここまで」と、とりあえずのゴールを決めない限り、考え続ける。詩人、文学者として名高いゲーテであるが、自然科学の分野でも多くの論文を残している。その自然観は科学的な見地に片寄る事なく、直観や神秘主義的な考えも反映された、独自なものである。卓越した知性が、自然と向き合った時、何を感じるのか。その感覚は、現代においても色あせることなく、読む者に感銘を与える力を持っている。

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