『Interview Archive』は、
過去の『NewsLetter』に掲載されたインタビュー記事です。

イギリス貴族の家に生まれ、19歳で祖国を離れ、96年に京都、大原へ移り住み、ハーブを中心とした庭づくりや伝統を生かした暮らしを伝えてくれたベニシア・スタンリー・スミスさんが6月21日に他界されました。ハーブを生活に必要不可欠な存在として取り入れた暮らし、自然を守ることの大切さ、毎日を丁寧に生きることなど、自然と人と愛が詰まった生き方は、多くの人の心に響いたのではないでしょうか。ベニシアさんの御冥福を心からお祈り申し上げます。

今回は2011年のインタビューをお届けいたします。


Interview Archive #39

母なる地球の感じ方

ベニシア・スタンリー・スミス

京都、大原の地に住み、ハーブ研究家として広く知られるベニシアさん。
その豊かなハーブの知識やガーデニング術は、多くの人々に生きる知恵と癒し、勇気を与え続けている。

私たちを生かしてくれる母なる地球と調和して生きること、人と人とが共生して生きることを
やさしく伝えてくれるベニシアさんのライフスタイルに、いま、多くの人々が共感を寄せている――


私は革命とかは何にもできへんけど、死ぬ時に、ああいう風にした事が悪かったとか、あれすれば良かったとか、そういう後悔の気持ちで死にたくないからね。

インタビューより

イギリス貴族の家系にお生まれになりながら、現在は京都、大原の古民家でハーブに囲まれた生活をされています。2007年に出版された、ご著書『ベニシアのハーブ便り』(世界文化社)は、とても反響があったのではないですか?

この本が出た時代にハーブの本が売れると思わなかったよね。でも、タイミングが良かったんじゃないかな? その頃からうつ病や子どものアトピーやPTSD(心的外傷後ストレス障害)の人がだんだん増えてきて、なんとなくいまの生活がこのまま続いて大丈夫なのかな? っていうところが、みんなあったと思うのね。
いまは原発反対とかが顕著にあるけど、日本の、特に女性はライフスタイルの中で地球のために何かやりたいと感じていたと思う。『ベニシアのハーブ便り』のときは、私自身でも色々と考えることがあって、次の『ベニシアの京都里山日記』(世界文化社)では娘が病気になって辛かった。だから本を書くことは、何か…何ていうかな、修行みたいな感じかもしれない(笑)。書いている期間は、すごく必死だった。私のエッセイやブログなどのテーマは、しんどくても、いろんなことが起きても、絶対に乗り越えるメッセージを入れてる。『ベニシアのハーブ便り』の最後に私の生い立ちを入れたエッセイがあるでしょ? 編集者の人は「そんなん誰もわからへんから」って言ったけど、「あれは絶対みんなわかると思う、あれは絶対入れたい」と言って入れてもらいました。

生活で使う物を手づくりしたり、ハーブガーデンを作りながら楽しむハーバルライフは生活をいっそう豊かなものにしてくれます。自ずと環境への意識も高まってきますか?

生活にハーブを取り入れるのは好きだけど、趣味みたいには、やってないよね。私には全部必要だからやっているだけ。そして、なるべく穏やかでいたいから朝早く起きるの。朝の時間を使えれば一日が大体まわるのね。それとウチは下水が無いから、川に流れ入るものは全部自分で作ってる。ケミカルな洗剤は一切使わないよ。私は革命とかは何にもできへんけど、死ぬときに、ああいう風にしたことが悪かったとか、あれすれば良かったとか、そういう後悔の気持ちで死にたくないからね。
例えば最近、私が気にしているのは水のこと。水に恵まれている日本で暮らしていると、多くの人は使っている水の量についてそんなに気にしていないと思う。
私の住む大原でも、井戸水があるから水代はかからなくて、前はあまり気にしていなかった。だけど、この間イギリスにいる弟が日本に来て、どこを見ても水が流れてるのを見て、「日本はすごいラッキーだよ。日本は水がたくさんあるけど、中国やインドでは、無くなる可能性が出てきているよ」と言ったの。中国人は今、恐ろしいくらい北海道や滋賀や長野の山をいっぱい買ってるらしいの。始めはリゾート地を造るためかな? 木が欲しいのかな? とか思ってたけど、弟が「違うよ、あれは水が欲しいから山の水を取るんだ」と。「えっ!」と思って。それがもし本当だったら、ちょっと危ないよな、と思った。お年寄りは林業の仕事ができないし、たとえ頑張って一本の杉を売ろうと思っても400円にしかならないそう。中国はそのうちに日本に水を採取しにくるでしょうね。
だから水の大切さを感じて最近始めたことがあるの。お米を洗うとき、何回もとぎ水を使うでしょ? あれは、ただ捨てているだけで、もったいない。その日本の山の話を聞いてからは、3つのバケツを置いておいて、1回といだ後にバケツに入れて、っていうのを何回も繰り返しているの。それで最後に花にあげてる。お米の糠が植物には栄養になるから。台所は、ビショビショになるけどね(笑)。
私は、なんかを始めたら絶対する、と決めているから、結局そういうことを生活の中でたくさんやっていると、本当に一日がすぐ終わっちゃう。
今、次の本の準備をしてるけど、2012年に間に合いません(笑)。2013年になるかな? 自然から教えてもらうこととか、今月は何の仕事をすればいいとかのノウハウも書く。例えば、ここの英会話教室で今月はborage―ボレッジというハーブを教えてるんだけど、ボレッジは、「喜び」「嬉しさ」っていう花言葉を持ってるのね。花言葉を知っていると、その花を見つけたら、なんとなく嬉しいって感じるし、それを食べたら、ちょっと幸せな気分になるよね。ヤロウは、キク科のハーブで、和名は、西洋ノコギリソウ。アメリカ原住民が使うハーブの中では、一番効果があるハーブとして使われてきたの。これは、血液を浄化し、血圧を下げる働きがある。ハーブは面白いの、メッセージや役割があるんですよ。
私の周りには原発反対や環境問題の運動を頑張ってる人がいっぱいいるけど、私はずっと子育てに忙しかったから全くしたことないの。誘われても結局子どものことで忙しい。でも本は家でできるからね。読んでくれる人にソフトに話している感じで書く。私のメッセージで元気になる人もいるかもしれないし、地球のことを考えてもらう、きっかけになるかもしれない。それが私たちに命をくれている地球への私の命のお返しみたいな、地球へのプレゼントという感じで書きたいと思ってるの。

ハーブを暮らしの中に取り入れていこうと考えたのは、大原に越してからですか?

京都市内にある教室で英会話を33年間教えているんだけど、そのクラスでハーブティーを生徒に出していたの。ここには、おばあちゃんたちも習いに来るんだけど、風邪をひいて病院で薬をもらったとかよく話していたので、「そんなのだったら、ハーブでちょっと治したら?」と、ルバーブティーなんかを紹介していたら、だんだんと他の人も興味を示し始めて、私がハーブティーをセットにして150人位に売ることになった。それだったら自分で作る方がいいなあと思って、大原に引っ越ししたときにハーブを育て始めたのがきっかけ。あるとき、友だちに言われたの。「ハーブについて教えないの? あなたは他の人より知っていると思う」「えー、私が教えるの?!」って(笑)。でも改めて考えてみたら、英会話教室とはまた違うけど、ハーブについて教えるのも面白いかもしれない、多分できるって思った。それから、すごく勉強をし始めた。そうしたらハーブの世界は歴史もすごく古くて奥深いとわかったの。それですっかりハマッてしまった(笑)。若いときや、小さな子どもがいるうちは、ハーブを作る時間がなくて難しいと思う。だけど、子どもが手を離れて時間ができると、なぐさめられるとか、安らぐって、よく言われるのよ。それは、テレビ番組を観た人にも言われる。
でも、できたら番組に頼るんじゃなくてハーブを育ててみてほしい。心から何かに没頭したら本当は誰でもできるんだよって思うから。あんまりたくさんの人に番組があるからなぐさめられるって言われるとすごいプレッシャーになるんよ。「私がやめたら、みんな大丈夫か?」とか思うから(笑)。でも番組をきっかけに、いろんなことやってますっていう手紙をもらうから、それはすごく嬉しいよね。

植物が人間の心を感じたり、植物同士で独自のネットワークを持ってコミュニケーションしているという研究がありますが、ベニシアさんは植物が人の言葉を理解していると感じることはありますか?

『ベニシアのハーブ便り』を執筆しているとき、精神的にとてもしんどかったのね。もうなんかすごい辛い…その上に本…。でも朝早く起きて、庭に出てみたら、なんだかハーブがなぐさめてくれているような感じがしたんだよね。なんか、はっきりと言葉にできないけどね。
人が新しいことを自覚するときは、大体が1つだけの出来事ではなくて、人生の中で少しずつ自覚していくと思うのね。これも縁だなって思うんだけど、あるとき、雑誌でお医者さんみたいな、魔女みたいな、ネイティブアメリカンのおばあちゃんの話が載っていたの。そのおばあちゃんはハーブを切りとる前に聞くんだって。「ごめんなさい、いまから誰誰さんが風邪だから切りますよ、切ってもいいですか?」と。そしてハーブの返事を待つ。その返事は言葉じゃなくて、そよ風が吹くとか、蝶がパッと飛んでくるとか。それがあったらオッケーが出た証拠。切るときも、全部じゃなくて、ちょっとだけ残す。そのとき、「えーそんなこと私全然してない!」と思って。ハーブは好きで肥料や水はあげてるけど、しゃべってないよね(笑)。「あっ、これお茶にしたい」って、ポンポンポンと切っていたの。「これだと、あかんなぁ」と思って、それからは心の中で聞いてるよ。「来年のハーブティーのために、今から切ります。いいですか?」そういう気持ちで切ると、ものすごく自分の心と花の言葉が一緒になってるって感じるのね。うん。で、そのおばあちゃんが、もうひとつ不思議なことを言ったのね。そういう風にハーブに尋ねると、ハーブは風邪をひいてる人のために特別に力を入れるんだって、早く治すために。すごくいい話だと思ったね。
だから日本で除草剤をまいているのを見ると、もう胸が痛くなる。「こんなに草の綺麗なところで、花のいっぱい咲いてるところで、なんで?」って。除草剤をまくことと自閉症の子どもが多くなることは、関係があるってイギリスの新聞に書かれていました。日本人はこのこと、知らん違うかなって思った。英語で除草剤はウィードキラー(weed-killer)って言うのね。でも、weed(草)は、ある意味ハーブで日本のよもぎやノビルも入ってますからね。そういう日本のハーブたちも全部殺してしまってる。そして、その毒が入った土から生まれた野菜を私たちは食べてる。ケミカルなものは身体に良くないというか脳にくるのね。ちっちゃい子とか。だから、許したらあかんって思うね。

魔女や妖精といった神秘的なものを自然に受け入れているイギリスのマン島で若い頃に歌手として活動されてたそうですね。

歌手をしていた18、19歳という若いときは、自分のこれからの人生とか、才能を活かしたいとか、素敵な人と結婚したいとか、みんな考えると思うけど、私の場合は、人の役にたつことを絶対にしないとあかんと思ってたのね。父母が貴族だったせいか、私には彼らが人の役にたってないっていう感じがしていたの。私は自分というのが誰なのかということを知りたかった。自分には何ができるの?って。マン島で、偶然、おばあさんが紅茶の葉で占ってくれて、こう言ったの。「あなたは遠いところへ行って、そこに住むことになるでしょう。この国には戻ってこないようだね」そのときは信じられず、笑っていました。
あるとき、インド人のプレム・ラワットという瞑想の先生がいることを知ったの。私は、なんかわからないけど、そのことを聞いただけで、ものすごい心がドキドキドキドキドキしたのね。絶対これですごい何かが起きるって感じたの。プレム・ラワットは、当時インドの学校に通っていたから、イギリスに来ていた弟子から、彼の「人間の4つの恵み」の話を聞いた。
1つ目の恵みは、人間でうまれること。
2つ目は、神がいるということをきくこと。
これは、特定の宗教とか関係なしでね。
3つ目は、自分にとっての先生に出会うこと。
4つ目は、教えてもらったことを自分で行動すること。
それを聞いたとき、その恵みを絶対欲しいと思った。どういう訳だかは、説明はできない。でも絶対欲しいって。その弟子は、もう少し考えて本当に欲しいかどうか確認する方がいいと言ったけど、私には、なんかわかってたの。もうこれで私の人生が始まるって。そのことを伝えたら、「じゃあ明日来てください」となって瞑想を教えてもらった。そうしたら本当に人生が大きく変わった。それまでは、「なぜ、こんなに悪いことばっかりが私に起きるの?」と、被害妄想みたいな考え方をしていたのね。でも瞑想で、目をつむっていたのに光がみえたんですよ。それがすごく綺麗で、それが私の魂ってわかったのね。その後、この瞑想を教えている、プレム・ラワットにどうしても会いたいと思いインドへ旅立ったの。彼が教えてくれたのは、全てが、自分の中にあるということ。マントラじゃないんですよ。説明できないものをもらった…だから彼は知恵というんですけどね。一つのテクニックは、音楽みたい聞こえるの。気がついていないだけなのね。
でも、本当はこういう感覚はみんな持っていて、自分で気がついてる人も沢山いるんだって。彼にとっては宗教を選ぶことは関係ない。例えば、ベジタリアンの方がいいとか全然言わない。何にも言わない。「結局、あなたは、瞑想すれば自分でわかるから、私が教えるものは無い」って言ったの。びっくりした。彼は12歳だったから。彼はすごく面白い話をするからずっと一緒にいたいと思ったくらい。その後、私はマン島の占いの通り日本へ来たけど、彼は今でも世界を周っていて、1年に1、2回は日本にも来ているし、去年はノーベル平和賞の候補者としてノミネートもされてたよ。

イギリスの美しい環境の中で生まれ育ち、日本とイギリスの両方の文化を生かした暮らしをされています。自然と調和する知恵が詰まったライフスタイルは、本やテレビなどを通じて多くの人に影響を与えていらっしゃるのではないですか?

本当に私はラッキー、恵まれていると思う。英語を教えるのもすごく好きですけど、テレビに出ることで北海道から九州、沖縄まで日本全国の人たちと話すチャンスをもらったと思ってるのね。なぜかというと、何か役立つことしないとあかんから(笑)。それは最初、おばあちゃんに言われたの。「地球をまわすようなことをやりなさい」 幼い頃は、その言葉の意味がわからなかった。ここの英語教室を卒業した生徒たちが沢山いて、その人たちみんなに今日のような話を伝えつづけてます。
そして今、NHKで番組をやってるグループは、すごくいい人ばっかり。ディレクターやカメラマンは、若くてみんな3、40代。でもみんなすごく上手にやってる。『猫のしっぽカエルの手』(NHKで2009年から2023年まで放送)は音楽もいいし、映像も綺麗でしょ? 私ひとりでやってるんじゃなくて、みんなのコンビネーションがあったからこそ。彼たち、必死だもん。大原で撮影が終わったら、また東京に帰って、もう寝ないで編集してるの。たぶん彼らも地球がまわることを感じてるんじゃない?
そういえばこの前、弟が日本に来た日に比叡山延暦寺に連れていったの。ロープウェイを降りたら、そこにイタリア人が2人いて、突然その人が言ったの。「えっ!ベニシア?」。誰この人? 会ったことないと思っていたら、「私、あなたの番組を毎週観てます」 どこに住んでるのか聞いてみるとミラノだと言うんですね。えー!っていう感じで。「いや私は日本が好きで、あの番組を観るとすごいリラックスできるから、いつも観てます」 すごい驚いたの。番組はNHKワールドを通して、日本だけじゃなくて世界各地で観られているみたい。今日も病院に行ったら病院の中の人たちみんなが声をかけてくれます(笑)。「ベニシアさん、元気ですか?」「おはようございます、ベニシアさん」って。最初は有名人になるとは思ってなかったから、あまり慣れてなかったけど、いまは「ありがとうございます」って挨拶してますね。
地球をまわすことを本当にしようと思ったら、一人ひとりの意識の問題じゃない? 国ができないんですよ。例えば総理大臣に「お願いします、この自然を守ってください」と頼んで、たとえ彼がそうしたいと思っても、やっぱり一人ひとりが責任持って動かないと実現しない。特に女の人は買い物をするからね。子どものために安心な食べ物を選ばないといけない。水や空気もきれいな場所のほうがいいじゃないですか。だから本当に情報が無いために、さっき話したような除草剤を使ってしまっている人たちも考えてほしいよね。

ベニシアさんは新しいことにも積極的にチャレンジされています。ご自身の感受性や知恵を高めていくためのキーワードなどあれば教えていただけますか?

例えば新聞を読んでいて自分の興味をひく記事があって、覚えておきたいと思ったら、まずそのページを破って、ファイルしておくのね。今日もとっておいた記事をもう一回読みなおしていたら、統合失調症の約60%が早産の子どもなんだって。それは、脳がまだできてないのに生まれるから。私の子どもも、それで統合失調症になってるのね。ちょうど先月、イギリスや日本の新聞に、ADHDの問題が掲載されていたの。まだ5歳にもなっていない子どもに精神安定剤を与えているって。それは、お母さんや先生がツライからだと思うけど、それでいいのかな? そういう安定剤を脳にずっと与えてしまうと、たぶん脳が賢くなるんじゃなくて、その内に逆になってしまうと思うのね。だから、子どもが早く生まれないようなことを、考えていかないとあかんとすごく思うのね。やっぱり、お母さんたちは、仕事をしないほうがいいでしょうね。リラックスしないといけないし、なるべく子どもが外の世界に出てくるための準備をお腹の中で最後までできるようにしないと。もし早く生まれたら本当に大変なことになる可能性がある。そういう情報を、皆さんどう感じるかわからないけど、もうちょっと考えたほうがいい。
私は、疑問に思った記事を読んだときに、メッセージを書いて、スクラップに入れるのね。スクラップには、子どもについてとか、ガーデニングについてとか、歴史についてとかいっぱいあって、何か書こうと思ったら、まずはそのスクラップを読み直すの。
表立って発言する場合は、あんまりきついこと言ったり、書けないけど、バックグラウンドの頭の中にその意識を持って、その状況に合わないんだったら、じゃあ話し言葉にしてテーマの中で話す。それでもカットされるけどな(笑)。だけど、たいてい全部はカットしなくて、最後にはひとつは残る。大事なのは、番組の最中にアホなことを言わないこと。そうしたらね、全部いいことばっかり言ってるから、編集の人はいいことの中から絶対ひとつ選ばないとだめ。これは若いときに、別のテレビ番組に出たことがあるんだけど、アホなことを言ったら絶対それを載せるのよ、どうでもいいこと。だからどうやってそれをストップできるかっていうと、全部いいことを言うの。そしたら編集の人が、選ぶときに馬鹿なことは入らない。日本は馬鹿番組が多いんじゃない?(笑) 呆気にとられることがあるよ。

日々の中で知識を得ようという意識が強いということ、幅広い関心をもっていらっしゃるということですか?

うん、何か人に尋ねられたときに返事できなかったら信じてくれないから。私は専門家じゃないけど、例えばADHDっていう言葉も、最近はみんなけっこう耳にするけど深くわかってないと思うのね、私も含めて。早く生まれたら、ADHDが増えたっていう記事を読んだとき、あーそうか、なるほどと思ったの。それはわかるわ。ほんで、それをやっぱり人に伝えないといけない。だからお母さんたちに講演会をするときには、もし、仕事をしなくていいんだったら、しないほうがいいとお話しするのね。私の娘が生まれたときは、1か月半早かったんだけど、貧乏だったからロンドンで仕事してたのね。そのときはわからなかったけど、それもあんまり良くないよね。でも、早く生まれた子が、それでもうADHDに絶対になるとは思わないでほしい。
今、脳に関する本を読んでるけど、お母さんのお腹の中にいたときのように、一生懸命、子どもの側にいて接してあげる。お腹の中は温かいじゃない? そういう感じでお母さんが子どもに接してあげると、統合失調症にはならないって、ある記事では書いてある。
最近は、仕事に忙しいお母さんも多いから、幼い頃に子どもを保育園に預けているみたいだけど、なるべくなら3歳までは、しないほうがいいと思うの。そのときはすごく辛いかもしれない、赤ちゃんがずっと泣いてるし。でもその子どもが大きくなったら独立するんだから。ただ、ちっちゃいときに、あんまり時間をあげてない子は独立しないんですよ。だからそれが怖いんだよ。今、お母さんたちの間で、私の子どもが家から出ないとか、結婚しないとか、孫が欲しいけど生まないっていう話を多く聞くけど、多分それはどっかね、ちっちゃいときに、子どもにかける時間が少し足りなかったからだと思う。
だから日本は、子どもが3歳になるまで、母親は仕事を休んでもいいっていうシステムを作ればいいの。それで、3歳までお母さんは子どもとずっと一緒に過ごして、4歳になると保育園とかに行けるじゃない? ちっちゃい赤ちゃんを保育園に預けたらだめ、泣いてる。すごく有名な心理学の人の本にあるんだけど、子どもは、お母さんとひとつ、お母さんの身体と自分の身体は同じと思ってるらしいの。だからお母さんが遠くにいると不安定になるのはしょうがないんだって。だからもし仕事をするんだったら、家で仕事して、子どもがお母さんも部屋の中にいるってわかってるみたいな環境ね。日本では三つ子の魂百までっていうけど、あれは本当よ!(笑)
だから本では、家族と一緒の時間を作るのは家族に対する一番の愛、と書いているように、私はできるだけ家族と過ごすようにしているの。色々あったけど、今こうして幸せにいられる。あえて、幸せの秘訣みたいなことをいうと、どんな人でもプラスマイナスあると思うのね。だからそのプラスを見て、マイナスのことはちょっと待ってたらいいのね。そのうち、その人自身が気がつくと思う。自分の修行と他の人の修行は違うもの、一緒じゃないからね。だからその人を信じて待っていれば、そのうち落着くと思うよ。

どうもありがとうございました。

ベニシア・スタンリー・スミス

プロフィール

1950 − 2023 イギリスの貴族の家系に生まれる。ハーブ研究家。
英会話学校「ベニシアインターナショナルスクール」主宰。19歳で母国を離れ、バックパッカーとしてインドへ。その後1971年に来日し、78年から京都で英会話学校を始める。96年に大原に移住。自然と共生した「手作り」の暮らしや豊かなハーブの教え、ガーデニング、大原の古民家でのライフスタイルなどが注目を集め、テレビ、著作、講演等、あらゆるメディアで活躍をしている。レギュラー番組にNHK BSプレミアム「猫のしっぽ カエルの手 京都大原 ベニシアの手づくり暮らし」がある。著書に『ベニシアのハーブ便り―京都・大原の古民家暮らし』などがある。


関連書籍

ベニシアのハーブ便り
京都・大原の古民家暮らし

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2090円(税込)

英国貴族の生活を離れて、京都・大原に移り住んだ著者が、自然のサイクルと調和したハーバルライフを楽しむためのオリジナル・レシピ110を紹介した初エッセイ集。四季折々の美しい写真とともに地球にやさしい暮らし方を提案する。


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